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苦手秋田にリベンジ。期待の終盤戦

アルバルクがホーム立飛に帰ってきました。
実に1月26日の名古屋戦以来1ヶ月半ぶりの3月16日、しかも対戦相手は12月にアウェイ秋田の地で連敗を喫している秋田ノーザンハピネッツです。

結果は79-69で雪辱を晴らしました。
簡単ではありませんでしたが、アルバルカーズとしては苦手相手の勝利に胸を撫で下ろしておりました。


秋田は我々ファンからしても厄介な相手という印象があります。今回その相手に勝利した事で前回の対戦時からアルバルクには成長があるのではないかと思い検証してみようと思います。

相性の悪さを感じる秋田


秋田対してアルバルクは激しいプレスディフェンスからターンオーバーを連発してシュートの確率も落としている印象があります。

実際に12月11日、12日の連戦の時のアルバルクの2ポイントシュートの平均は19.5/49.5本(39.4%)3ポイントシュートの平均はわずか4/17.5本(22.9%)でした。

一方でアルバルクの今シーズン3月18日現在までの平均は2ポイントが24.5/46.8本(48.74%)3ポイントが6.7/19.4本(34.5%)です。

実に秋田戦ではいつもより2ポイントで5本、3ポイントで2.7本少ない事になります。点数にすれば18点です。それだけ秋田のディフェンスはアルバルクには効果があると言えます。

さらに秋田はBリーグでもっとも3ポイントシュートの確率が高いチームです。(3/18日現在秋田の3ポイント確率は38.68%でリーグ1位)
また、1試合当たり3ポイントをメイクする本数は川崎、島根、名古屋に続き9.4本でリーグ4位です。

一方でアルバルクは3ポイントの確率は現在34.54%で11位、また1試合当たりの3ポイント試投数、成功数は共にリーグ最下位です。(6.7/19.4本)

ディフェンス効率が高いチーム同士(ディフェンスの方法は違いますが)ではありますが、今シーズンは3ポイントシュートの考え方、アプローチに於いては全く両極にあるチームと言えそうです。

戦術的には秋田はディフェンスではプレスディフェンスから速攻アーリーオフェンスを仕掛けます。そのためスティールは多く(平均9.1本リーグ2位)ターンオーバーを多く奪いますが、自らのターンオーバーも多いです。(平均14.3本リーグ20位)
オフェンスでは5アウトのアライメントからアドバンテージを作り3ポイントを確率良く入れてきます。
※スタッツは3/18現在の数字です。

その中心が現在3ポイントリーグ3位グリンの他古川、田口、保岡と良いシューターがいます。
またリムプロテクトではアイバーソン、デイビスがおり前回はアルバルクのペイントアタックを阻んでいました。

ただし、リバウンド、セカンドチャンスについては前回もアルバルクに分がありました。(リバウンド数平均アルバルク45.5本、秋田37.5本)

ひとつお返し、対戦成績は2勝2敗



今レギュラーシーズン秋田との対戦は最後となりました。対戦成績はこれで2勝2敗のタイです。

今節、アルバルクが前回秋田と対戦した時と大きく違ったことはインサイドペイントの得点効率の高さです。
そこに大きく寄与したのはセバスチャン・サイズに違いありません。

オフェンスリバウンド10本トータルリバウンド26本というとてつもないスタッツを残してくれました。


そこからのセカンドチャンスやピックからのペイントアタックなどでペイントの確率は19/32(59.4%)。

さらにアルバルクオフェンスの特徴であるBリーグ1のペリメーターアタック(ミドルレンジからの得点)が7/17(41.2%)、ペイントの得点との2ポイント合計で26/49本(53.1%)でした。(筆者調べ)
今節も確率の悪かった3ポイント5/18(27.8%)の得点をカバーしました。

アルバルクはハーフコートオフェンスをしっかりしています。基本的なセットのアライメントは4アウト1インでした。サイズがローポスト、大貴などPGがトップ、カークがハイピックのためサイズと対角のウィングの高い位置。小酒部と安藤周人などシューターは左右のコーナーです。


基本はカークがピックに行って大貴やテイラーがピックを使ったり、リジェクトしたり(ピックを使うふりして使わない)もう一度リピックしたりして、ドライブしたりミドルを打ったりロールやダイブしたカークにパスを出します。シュートが落ちたらサイズがリバウンドをとるというパターンです。このリバウンドがよく取れていました。

秋田の5アウトに対するディフェンス


この日秋田のグリンは6/12本の3ポイントを沈めて終盤まで勝負はわかりませんでした。グリンの3ポイントは対策する必要がありました。第1クォーター3本、第2クォーター1本、第3クォーター2本沈めた3ポイントも第4クォーターには0でした。グリン以外のシューターは田口、古川、中山それぞれ1本に抑えています。グリンに対するアジャストは勝敗に大きく影響しました。

対策のひとつは秋田の5アウトに対するチームディフェンス。
もうひとつはグリンに対する吉井のマークに見えました。

5アウトのオフェンスで狙われて1番派手でメンタルに響くのがバックドアカットです。

第1クォーター残り8分15分
アイバーソンがトップでエントリー、左ウィングに長谷川、左コーナーにグリン。右ウィングに古川、右コーナーに中山の配置です。右ウィング古川がマークの周人とコーナーのマーカー大貴の間を左コーナー向かいにカッティングします。左コーナーのグリンはリフト。古川のカットに周人は追います。大貴は古川を目で追います。

その刹那中山はフェイントをかけて大貴の裏を取りゴールに向かいます。アイバーソンからのパス一閃が中山に通りました。

裏を取られた大貴はブロックに飛びファウルで中山を止めました。

中山のフリースロー2本は外れました。    

ファウルしてでもバックドアは止めないと決められるとやられたという印象が残ります。この後のオフェンスで大貴はピックからスリーポイントを決めます。


秋田はトップ1人、フリースローラインに4人が並んでゴール下のスペースを広くとるアライメント(UCLAカットの形)からローポスト、ハイポストにスタガードスクリーンを展開して3ポイントを狙うセットを使いました。

第1クォーター残り2分6秒
川嶋がトップ、フリースローライン上横に左から田口、デイビス、アイバーソン、保岡が並びます。アルバルクはトップの川嶋には元基フリースローラインには左からテイラー、吉井、サイズ、周人がそれぞれマンマークにつき激しくディナイします。そのためなのか、デイビス、アイバーソンはUCLAカットのためのスクリーンに行けませんでした。そこで左ウィング田口が単独でゴール方向にカット。川嶋は左方向にドリブルしてデイビスにパスを送りました。


この動きに合わせてアイバーソンが右ローポストに、保岡が右ハイポストに2枚のスクリーンをセット(スタガードスクリーン)田口がこの2枚のスクリーンを使ってカールアップ。狙いは田口のトップからの3ポイントです。

この間ボールを受けたデイビスは左ローポストに移動して田口にキックアウトパスを狙うのだがマークの吉井とヘルプのテイラーのダブルチームでディナイされ潰されてトラベリング。ターンオーバーとなりました。

吉井の成長


この試合前述の通りグリンのシュートタッチがよくスリーポイントは6/12で射抜いています。
第3クォーター56-59と逆転されたアルバルクは第4クォーターグリンを止めたいところでした。        
6分27秒にコートに入った吉井は入るなりデイビスからスティールします。

マッチアップしたグリンにハイポジションでもビタビタにくっついてディフェンスします。
201センチ101キロのグリンは Bリーグではビッグマンの部類に入りますが、本来は3番SFプレイヤーでしょう。ですから、シュートもハンドリングも上手にこなします。しかし、吉井のマークには明らかにストレスを感じていたように見えました。


第4クォーターグリンは疲労もあったとは思いますが、シュートメイクすることはありませんでした。

この日第1クォーターには秋田のプレッシャーに奪われそうになったサイズからのハーフコートラインのバウンズパスから豪快なワンハンドダンクも披露した吉井はこの日のお立ち台にも立ちました。

吉井はロシターの怪我で出場時間を得ているのですが、チャンスをしっかり自分の手にしてアルバルクの重要なファクターになりつつあります。(シュートはもっと上手くなると思いますが)

CS出場に向けて


CS出場は昨年出場すらならなかったアルバルクにとっては至上命題でしょう。これからほぼ休まなく毎週3試合が続きますが、このバイウィーク中にとてもよい練習ができているように感じます。

アルバルクはインサイドでしっかりと着実に得点できるようになっているように見えます。それがリバウンド獲得によるものであるとも思いますし、アルバルクだけが積極的に取り組んでいる高確率のペリメーターショットにあるのかもしれません。


課題は3ポイントシュートの確率がいまだに上がってきていないという点はあります。3ポイントシュートは爆発力がある一方、当たる日もあればそうでない日もあるのは事実です。

今、流行りのファイブアウト、3ポイントと異なるチーム戦略で果たしてどのように戦っていくのか?
これからの終盤戦のアルバルクの戦いに期待していきたいと思います。


photos by kii

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