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ハー・マインド・イズ・ポップコーン

劇団コケコッコー第四回公演 「ハー・マインド・イズ・ポップコーン」が無事終演しました。前作から2ヶ月半で新作を書き下ろした令和喜多みな実の野村の頑張りは恐ろしい。

今回はクールジャパンパーク大阪のSSホールでの公演でしたが、実はこの劇場はお芝居をするには中々難易度の高い劇場なんです。

普通はどの劇場にもある幕が一枚もないし、基本舞台も1メートル四方のポータブルステージなので、僅かな段差が出来たりします。

結果的に幕が無いから袖の足音とかもスゴく響いていました。袖の幕はそういう袖のノイズも遮蔽・吸収してくれます。

さらに仕込みの時に、照明を吊る為のバトンが昇降しないので(キャパ200を越えるような劇場は大半が昇降する)照明さんがゴンドラに乗って高所で吊り込みをしなければならない。

このゴンドラが動く場所にはセットはおろか、基礎舞台すら組めない。

なので、ゴンドラ動線以外にモノを配置して出来る所から仕込みを始めるのですが、もう壮絶な現場です。

基礎舞台の固定にも凄く手間が掛かります。

運搬の手伝いでバイトさん6人来てくれましたが、彼らは金づちや電動ドライバーを使えないので、今回のセットは大道具さん二人と僕と実質三人で組み上げました。

中々ハードでした(笑)

でも美しく汚されたセットは本当に素晴らしいデザインで、美術家の柴田さんには毎度驚かされます。

そしてこういう段取り事や交通整理が多い現場でこそ、舞台監督の手腕が問われます。常に五分後にすることを念頭に置いて処理を始めます。照明のゴンドラが移動する数分前には動線からモノをどけたり、逆に移動した場所はポータブルステージを組み上げて、舞台面積を増やして作業しやすくする。

狭い劇場なので、効率よくやらないとどんどん時間が遅れていきます。

公演でもうひとつ苦心したのが、ポップコーンの匂いを場内に出すことでした。開場中に場内に匂いを充満させたり、袖でポップコーンを弾いて客席に匂いを漂わせる。

開場ギリギリまで全技術スタッフでポップコーン弾いてました!

これは最終的に編み出した、ポップコーンを作りながら液体バターを染み込ませたタオルの匂いを風で飛ばす作戦!!

場内には充満するのですけど、やはり開場してしまうと匂いが逃げてしまうので、開場すぐに来られた方と開演直前に来られた方ではその臨場感に差があったかとは思います。

いかんせん、SSホールはロビーと玄関が近く、すぐに空気が屋外に流れてしまうので。。。

だから僕はそれをなんとかしようと、ポップコーン送風装置を開発しました!!

段ボールの中には出来立てのポップコーンとタオルバターが入っていて、その先はホースが付いている。

ドライヤーで箱に送風すると、ポップコーンとバターの匂いがホースへ圧縮されて送られ、セットの隙間から場内には常に新鮮なポップコーンの匂いが供給される!

商品化して特許を取りたい逸品です!

劇団メンバーからは「前田でんじろう先生」と呼ばれたり「貴方はスゴすぎます!」と称賛の雨、嵐でした🤣

いよいよ電源を入れるとドライヤーは唸りを上げて風を送りだしました。

いいぞいいぞ!!
と僕はホースの先端に匂いを嗅ぎに行きました。

するとどうでしょう、ホースの先端からビニールの匂いだけがフワァ~っと匂ってきました。

し、失敗や…。

まさかホースの匂いがこんなにも強かったなんて…。鼻息荒く完成させたのに恥ずかしい…。

そこからは地に足をつけてポップコーンをただひたすらシンプルに弾き、扇風機で匂いを飛ばす日々でした(笑)

ポップコーン送風装置もただの段ボールに戻り、ポップコーンの墓場という不名誉なお名前で出来上がったポップコーンを納めていくだけの存在に。。。

しかし!!ポップコーン送風職人として、そんな不名誉な立ち位置は許せん!そう思い、ポップコーンの墓場をもう一度ちゃんと密封して、穴だけ残すことで、「ポップコーンバズーカ」という

箱を叩けばポップコーンの匂いがボンボン撃ち出される装置に早変り(笑)

開場前は段ボールに叩いて練り歩くスタッフ、ポップコーンをがむしゃらに弾くスタッフ、風量をコントロールするスタッフなど、全員野球ならぬ、全員ポップコーンでお客さんをお迎えしたつもりです😊

すこーしだけでもセットの臨場感に彩りを足せていれば嬉しいのですが。

そして前回の雨やどりの時に書いたnoteに訂正が。

この本文で野村が台本を書くとき「やり直し、書き直し」と書いたのですが、間違えてました!彼は書き直しややり直しを行わないそうです。失礼しました。

訂正します!
が、どんな脳ミソしとんねん!とスペックの高さにちょっとひいてます…。

今回のお芝居は独特の言い回しや表現など、これまでとは違う感じで少し難しく見えたかもしれません。

僕自身、何回か観なければ解らないとこもありました。そして劇ではありますが、世の中には彼らみたいな生き方をしている人も多くいて、自分の存在に苦しむことも少なくないと思います。

普通とは?当たり前とは?

世の中は競争と比較を矛にして、盾を持たない人を傷付けてしまいます。自分が迷惑被ってるわけでも攻められた訳でもないのに。

興味があるかたはぜひ、上記のリンクを読んでみて下さい。発達障害の小学校四年生の発表をまとめた記事です。

僕は今回の作品ではケントが好きでした。


僕も数学が好きなので、彼みたいに数学に没頭出来るようなキャラクターに牽かれるのだと思います。

多様性の時代です、色んな個性を寛容に受け止める流れは少しずつ出来つつありますがまだまだでもあります。

そして、最後にジョークをひとつ。

人は大きく三つに分けられます

世の中には
数が数えられる人間と
数えられない人間がいる。

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