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家の明かりをどうつけてるかによって、文明の尺度がわかる

※この記事は2022年1月2日にstand.fmで放送した内容を記事に起こしたものである。


2022年がどんな年になるのかを「文明の変化」という観点から話してみたい。

2022年は去年と比べて経済が回復してくるように思われる。2年前から始まったcovid-19に対する対策にも徐々に慣れてきて、ヒトとの直接な接触を避けて、買い物は基本ECサイトやアプリで済ませるようになったし、仕事もリモートにしたり、ギグワークやフリーランスの形で「雇用されない」働き方に切り替えた方もたくさんいると思う。

そうやって、これまでの暮らしから変化せざるを得なくなった僕たちは、制限されてるが故に、人との繋がりを求めて、時に「お金」という小道具も駆使しながら、新しいテクノロジーや働き方を取り入れてきた。今年は、その2年間を経験を活かして、さらに進化したライフスタイルに移行していくはずだ。それは、たとえリアルには会えなくても人と繋がれる道具を駆使することで実現できる。これに気づく人がさらに増えて、人が去年より活動的になれるから経済も回復していくだろうと僕は思っている。

・今回「文明の変化」というテーマにしたのは、まさにこういう変化が激しい時代を観察する上で都合がいいと考えたからだ。

今回のタイトルは実は僕が考えたフレーズではなく、18世紀から19世紀に活躍したブリトゥンの物理学者マイケル・ファラデーという人物がとあるクリスマス公演の中で使ったフレーズだ。

ファラデーという名前を初めて聞いた方のために簡単に説明すると、彼は「電磁誘導の法則」という、磁場と電流の関係について研究したことで有名な人物だ。
例えば、いま僕が喋ってるこの音声これがなぜ皆さんの耳に届いているかというと、スマホやpcについてるマイクが空気の振動をコイルの動きに変えて、磁石の周りで動かすことによって電気信号に変換しているからだ。

他にも電車の改札をくぐるときに使うsuica やPASMOのようなICカード。あれがなぜワンタッチで通過できるかというと、改札の読み取り機から流れている磁場をICカードが受け取ると、カードに電流と磁場が発生して、そのカードによる磁場を今度は読み取り機が読み取ることで、カードと読み取り機の間で情報の通信ができているから。
これらの技術は全て、ファラデーの研究した電磁誘導の応用だ。そう考えるとだいぶ身近な人物だといえるだろう。

そんなファラデーが生前に残した有名な著作の一つに「ロウソクの科学」というのがあるが、今回のタイトルは、この本の中で述べられているフレーズのうちの一つだ。


「人間はこれまで自分の家を照らすために様々な手段を用いてきた。古代には松明、そこからロウソク、ランプ、電球と変化してきた。そしてその変化に応じて文明全体も進化していることがわかる。つまり、家をどう照らしているかによって、その時代の文明の進み具合を知ることができる」

僕は、この言葉が、時代の変化を観察する上ですごく的を射ていると思う。確かに、十年前までの日本での明かりの付け方と言ったら、スイッチを押して電球をつけていた。ところが今では「Hey,Siri」とか「アレクサ」とか言ってホームスピーカーに音声認識させるだけでで明かりをつけることができる。もう何年かしたら、そんなこといちいち言うまでもなく、家に帰ってきたと同時に電気がついて、お風呂をも湧いているかもしれない。

こんな感じで、時代の変化を観察するには、自分が普段身近に使ってる道具が、昔とどう変わってきたかを見てみるとよく分かる。日常の変化から文明の変化を読み取れると言ったファラデーの視点は、変化が激しい時代には特に刺さる。僕もそれを見習って、日常の変化をよく観察しながら、2022年を賢く順応していけたらと思う。

より一層、変化の激しい年が始まるということでこんな話をしてみた。

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