Bリーグが見せる観戦文化(良いところ)

長らく国内のバスケットボールは停滞と腐敗を続けてきたのだけれど、FIBA及び川淵チェアマンという怪物の前に成す術もなく瓦解させられ、Bリーグというコンテンツに至った。
2シーズンを終えて、個人的な、率直な感想のうち良いと思った側面をまとめてみたいと思う。数年後に振り返った時にどんな違いが見えるかを対比するのに使えたらと思う。

第3のリーグと言うだけあって恐らくプロ野球やJリーグとはコンセプトが違うと感じる。以下概略を。

違うと思う理由
     1.鳴り物を許容しない
     2.チアリーダーが半ば主役
     3.女性、こどもが多い
     4.相手チームへのリスペクトが凄い
その違いをどう捉えたか
     1.女性という視点が社会の動きとリンク
     2.相手を讃えるというスポーツマンシップ
     3.つまりは観戦におけるポリティカルコレクトネスの達成
まとめ

以下詳細。


違うと思う理由

1.鳴り物を許容しない

野球にしろ、Jリーグにしろラッパなり太鼓なりで応援を統率する。しかしBリーグはそれを否定する。何チームかの試合を見てその効果を見出せた

「コアサポ(応援団)という概念を消す」という部分で。

意図したかは定かでないが、室内競技でMC付き、音楽もひっきりなし、こういった状況も手伝い、コアな集団が引っ張っているという印象は全体的にない。これによりクラブの意図しない先鋭化を防ぐというクラブマネジメントに対する効能を感じた。


2.チアリーダーが半ば主役

自分の経験が少ないだけかもしれないが、チアリーダーの女性達が活躍するタイミングが他のスポーツに比べ非常に多い。
結果的に彼女ら自身を応援するファンも少なくない。客席とコートの近さもあって彼女らの表情や動きがとてもよく伝わるのである。
プレーやジャッジに不満が募り、タイムアウト時に怒鳴りちらしたくなっても彼女らがニコニコしながら会場を盛り上げているのを見るとブレーキが掛かる様に思った。綺麗なお姉さんに白い目で見られるのを避けたいという感覚かもしれない。


3.女性、子供が多い

2016-17シーズンの栃木ブレックス対川崎ブレイブサンダースの決勝戦では観客の女性比率が53.2%Jリーグの38.1%、「カープ女子」という単語まで生まれた広島カープで36.9%(NPB全体は弊方では未調査)と比べ、女性客の多さが突出している。
体感的にだが、子連れの比率も多い。勝手な想像だが雨天、荒天を避けたい小さな子連れ夫婦にとっては屋外よりも計算できる屋内の方が気楽に計画しやすいということが一つ。加えて上記の様にチアリーダーが盛り上げる環境も小さな子どもが飽きにくく、リピートにつながりやすいのではないかと感じた。(秋→冬→春というシーズンで、お出かけ自体が屋内を選ばざるを得ない状況で地方では買い物以外のライバルが少ないのかもしれない。)


4.相手チームへのリスペクトがすごい

さらに驚くのが、とにかく試合後(2連戦なら2戦終了後とか)に相手チームのコールを掛けたり、トーナメントで負けた後も勝ったチームへのエールを飛ばしたりと、この2年間で見ていくとJリーグ(J1)なんかと比べるとそこまでするか?という感覚すら覚える。
ただし、これは長期間のバスケ界の不遇さを憂いていた根気のある一部のファンが現状の幸福感から実施している状況と、ここ数年で観戦を始めたビギナー的なファンによって織り成されている様にも見える。
もう少し長いスパンでリーグを続けて行けば因縁の対決の様な状況も生まれるだろうし、この部分の最終回答はまだ出せないかもしれない。



その違いが何だというのか

1.「女性」という視点が社会の動きとリンク

昨今、女性の活躍推進法など「女性」の参画が一つのキーワードであるのは異論は無いと思う。
その点で行くとスポーツ観戦という女性より男性が多いイメージを持つ分野において女性がわずかばかりでも上回る状態というのは世の動きに非常に良くリンク出来ていると思う。
これが圧倒的に女性ばっかりとなると「共生、共同参画」というイメージとかけ離れてしまうのではないかと考えている。男女の壁を取り払うというコンセプトがあるとするならこの男女比が同じ位ということは非常に重要なファクターとなると見ている。


2.相手を讃えるというスポーツマンシップ

これに関しては他のスポーツだって当然試合が終われば相手に対するリスペクトは持っている。でも違うのだ。そういうことではないのだ。
試合が終われば例え負けた相手だとしてもエールを送るそういう、子どもたちに模範的なスポーツマンシップなのである。
学生が「壊せ」と言われればマジで破壊しに行ってしまう、そういった文化に対するアンチテーゼとして「ほら我々はこんなに美しい世界を構築しているのですよ」とはっきりと示せる。
それは心の中で思っているとかそんなのでは証明できない。「言外のコミュニケーション」に美学を感じる人にとってはあざとくすらある、こういった行動がエビデンスとして広く世の中に対する訴えになる。


3.つまりは観戦におけるポリティカルコレクトネスの達成

乱暴な意見かなとは思う。だがそれでもこの様な印象をこの2年で感じている。
観戦サイドとしてこれほど行政や社会の空気感に応えられるバランスになっているのは凄いと。
絶対値ではないが、比率で見た際に本当にバランスが良くできているのだ。教科書に理想的な状態として紹介されるんじゃないか、という位に。
良く政情不安であったり危険地帯を知っている外国人サッカー選手などが日本の安全レベルや試合運営の良さを語るのを目にすることがあるが、それを更に研ぎ澄ました様なレベルなのである。
「日本では女性や子どもが安心してスタジアムに来れる」というレベルを超えてるのである。
ただ一つ注文をつけるとすると市民体育館などを会場としている為に、ハンディキャップを持つ観戦者にとっては環境改善の余地は大きいと感じる。

まとめ

Bリーグにおける、この2年間で良いと思う部分、特徴として現れていると感じた部分を簡単にまとめてみた。
当然試合会場や、観戦したゲームによってその感想が違う場合も多々あるかもしれないが、率や総体としては社会的な動き、言い換えれば「世相」がそれなりに反映されたリーグとして歩みを始めている様に捉えている。

個人的にイマイチと感じている部分は別の日記に記す。


                              以上

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