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GTSportsをやり込んだら絵がうまくなった話

私は趣味で絵を描いている。絵といっても色々あるが、私が描くのは俗に言う萌えイラストというものである。昔から絵を描く事自体は好きだったのだが、去年からデジタルイラストを描くための設備を整えて本格的に絵を描くようになった。
描き始めて2,3ヶ月は毎日筆を持ち、how to本を読みつつ、とにかく絵を描いていた。しかし、初心者であるが故に効率も悪くとにかく時間と労力がかかってしまう。なので絵に取り掛かっている期間は、なかなか他のことが出来ない状態になってしまっていた。
更に、同時期に私の周りで「グランツーリスモスポーツ(GTS)」が空前のブームとなったことで、GTSに割く時間が多くなっていき、半年間で5枚のイラストを描いたあたりで筆を一旦おいてしまった。
その後全く絵を描くことがなかったのだが、ある時友人が車を購入するというので、せっかくなので納車記念イラストでも描いてみようかと思い立つ。すでに前回絵を描いてから一年ほど期間が空いてしまったため苦戦するかと思いきや、これが意外とそんなこともなく、なんなら以前よりスムーズに描けるようになっている。
出来上がったイラストも以前と比べて明らかにクオリティが上がっており、公開した際の反響も上々であった。
ではなぜ練習を全くしていなかったのに絵がうまくなったのか。この期間に仕事以外で一番時間をかけていたのは間違いなくGTSだ。
つまり、GTSをやり込んだことによって絵を描くスキルが養われたのである。


んなわけない。


こんにちは。今回が実質的な初回ということで何をテーマに書こうか悩んだが、初回からディープな話(ex.ギャルゲーにおける妹シナリオ論)をぶち込むのは流石に読者をふるいにかけすぎなので、比較的ライトなテーマを選ばんでみた。
さて、いきなり序文をひっくり返したが、んなわけないと書きつつ、実はGTSとイラストの上達には関連性があると私は感じている。今回はその関連性について書いていきたいと思う。


当然であるが、GTSをやり込むことで自然とイラストを描くスキルが養われるなんてことはない。そんな理論が成立してしまうのであれば、世の中の神絵師はみんなGTSをするだろう。では、なぜイラストが上達したのか。その鍵となるのが”比較”と”考察”だと私は考えている。そしてここにGTSとの共通項があるのだ。

そもそもとして、絵を描いてない一年間、絵から完全に離れていたかというと、実はそんなこともなかった。筆自体はもっていなかったのだが、その代わりとして、自分が好きだと感じるイラストをとにかく見た。見たといっても、ただ眺めるわけではない。自分のイラストと何が違うのかを比較し、違いによって印象がどう変わるのかじっくり考察した。
全体のバランス、顔の各パーツの配置、色の塗り方など、とにかく自分のイラストと違う点をピックアップしていき、それをベースにして次に絵を描くときにはどうすれば良くなるのかをイメージする。しっかりとしたイメージがあれば、描き始めの悩む時間も減るし、途中で違和感を持った時に、その原因がどこにあるのかが容易にわかるようになった。
また、対自分のイラスト比較だけではなく、様々な絵柄の作品を比較することで、感覚的で曖昧なものだった「好きな絵柄」が具体化され、目指す山の頂上を明確化することが出来た。これもまた、方向性がしっかりと見えていることで手戻りが減り、効率的に絵を描くことに繋がった。

GTSも同様だ。今よりも速く走ろうと思ったら、まず自分よりも速い人の走りを見てみればいい。そして自分の走りとどこが違うのかをしっかり比較する。いっぺんに全てを見ることは出来ないだろうから、まずはラインを見てみる、次はブレーキに注目して比較する、と一回一回に目的意識を持てばよりその効果は上がるはずだ。
GTSとイラストの上達には関連性があるというのは、つまりこういうことなのだ。自分の立ち位置をしっかりと認識した上で、自分よりも上手な人は何が違うのかをしっかりと比較し、なぜその違いでタイムが変わるのかを考え練習に落とし込む。とにかく数をこなすだけの練習による上達度が一次曲線なら、比較考察する練習での上達度は二次曲線と言ってもいいくらいの差が出ることもあるだろう。

なんてしたり顔で説明したが、ここまで書いたことは別に目新しい話でもないし特別なことでもない。GTSや絵を描くことに限定される話でも当然ない。仕事、勉強、趣味、なんにでも当てはまることだ。なので、普段の生活の中で意識せずにやっている、出来ている人も数多くいるだろう。
ただ一方で、比較と考察はセットで行うから意味があるにも関わらずその一方だけしかやってないという場合も多い。比較のみだと、違うなーと思って終わりになるので当然意味はない。
考察だけ、つまり比較対象を設定せずに自分で考える場合は意味がない上に、比較のみよりもたちが悪い。比較対象がないから、考えた結果が大間違いでも気が付かないし、更には自分なりに考えたという満足感さえ残ってしまう。それを繰り返すことで上達しないまま自信とプライドだけはある厄介な存在となってしまうのだ。
勘違いして欲しくないのだが、自分で考えるという行為が悪いわけではない。というか考えるという行為は必要だ。ただ、その際に目指すべき山の頂上をしっかりと設定しておかないと、気付かないうちに海に潜っていたという事になりかねないよ、という話である。

この海に潜っている現象、仕事や勉強に比べてなぜか趣味の世界で多い印象がある。ここでいう趣味とは、今回取り上げたGTSやイラストもそうだし、模型制作なんかも明確に上手い下手が目に見える類のものだ。そういう趣味においては、もっと上手くなりたい!という思いを持って趣味に取り組んでいる人も多くいるはずだ。が、なぜか仕事や勉強では出来ている上達プロセスが、趣味だと出来なくなってしまう。仕事や勉強の場合は明確に自分の立ち位置が数字化され、他人との違いを意識せざるをえない。対して、趣味の場合は比較機会が少ないので自分の立ち位置を把握しづらかったり、好きなことで自分が人より劣っているという事実を受け入れたくないという防御反応が働くからではないだろうか?
ツイッターでしばしば、下手な人間が上手な人間になぜか上から目線で講釈を垂れるという場面を見かけるが、これも自分の立ち位置をちゃんと把握できていないor受け入れられていないことが原因だろう(もちろん他にも理由はあるが)。上達したいという気持ちが少しでもあるのなら、しっかり自分の実力を客観視し、しっかりとそれを受け入れるところから始めてみるのが大切だ。
(優劣がつけにくい、つかない、個人の世界で完結する趣味も多いだろうし、上達が目的じゃないようなものも多いだろう。そのような趣味については今回の主旨に必ずしも当てはまらないことを付記しておく)

さて、ここまで内容をかなり乱暴に要約してしまうと「上達するためには上手い人の真似をしろ!」とも言えなくないので、「真似していたら最高でもその人にまでしかなれない!独創性も生まれない!」というような反発も予想できる。
もちろん、真似を極めても最高到達点はそこ止まりだ。が、そもそもそんなことは一合目で考える必要はない。五合目あたりまで来てから考えればいいことだ。そこまでいけば一合目から見える頂上とはまた違って見えるはずだ。そこまできてから、このまま登り続けていいのか、それとも別の山に登るのか、新しく自分で山を作るのか考えればいい。
基礎があり、最低限評価される実力がついてから独自に色々試していけばいいのだ。基礎も実力もない人の独創性なんてただ下手くその変な行動にしかならない。
経験が少ないのにレシピに思いつきで隠し味や食材を足してとんでも料理を作る人、といえばわかりやすいだろうか?料理の上手な人は、まずはレシピ通り作る、つまり先人の真似するところから始まり、経験を積んでいく中で自分の好みだったり食材に合わせてアレンジしていくとうい過程を踏んでいるはずだ。

世の中にはいきなり独学でうまく出来てしまう人もいる。が、それはほんの一握りの天才と呼ばれる人間だ。
上手な人の大多数は"正しい努力"を積み重ねてそこまで辿り着いている。自分の才能を信じることは大切だが、結果が出なければどこかでその現実に向き合わないといけない。
向き合った上で、現状の立ち位置で満足するのか、上達を目指すのかは各々考えがあるだろうし、必ずしも上達を目指す必要性はない。しかし、上達を目指すと決めたのであれば、自分の立ち位置と山頂の距離をしっかりと把握し、どうやってその山を登ればいいのか作戦を立てないといけない。そのために比較と考察が重要なのである。

なんだか偉そうなことを書いている私だって、絵にしろGTSにしろ、それ以外にしたってまだまだ山頂には程遠いところにいるし、私が”正しい努力”と定義している方法が全てではないだろう。とはいえ、ある程度の結果が出ているので、今回このような内容で一本の記事としてまとめてみた。というかタイトル詐欺っぽくなってしまったが、今後もおそらくそのような記事がちょくちょく混ざってくると思うのでそういうものだと思ってもらいたい。内容がないようなので、色々な意見があると思うので、コメントなりリプライで送ってもらえれば、次回以降の記事以降でそれについて触れたいと思う。よろしくお願いします。


※当noteは全文無料で読めるようにしてあるが、兼業ライターという立場もあるので、形式上有料設定を入れさせていただきます。いわば投げ銭のようなものだと思っていただければいいので、もし面白いと思う内容があれば購入していただくと、ありがたくビール代にさせていただこうと思います。

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