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「星野源のオールナイトニッポン」と私

 金曜、深夜1時。「バナナマンのバナナムーンGOLD」を聴く。
日村さんの47歳バースデー回に星野さんがゲスト出演していた。
 僕はバナナムーンで星野さんを知り、ファンになった。3人の共演をリアタイしない訳にはいかない。

 メールを紹介するパートで設楽さんが僕のラジオネームを読み上げた。
どのメールが読まれるかな?なんてワクワクしていた、その時。
 『お。僕の番組のリスナーです。』と星野さんが言った。

 僕の番組のリスナー。

これほどラジオリスナーがぐっとくる言葉があるだろうか。しかも、僕が初めて星野さんを知ったバナナムーンで。
嬉しいやら、恥ずかしいやら、恐れ多いやら。
 ドキドキして眠れなくなってしまった。翌日は仕事中、眠気で気絶するかと思った。


 僕は「星野源のオールナイトニッポン」のリスナーだ。
唯一、初回から追いかけてきた番組。
 2016年の春、「アルコ&ピースのオールナイトニッポン0」の最終回の出待ちの時、ニッポン放送のロビーで番組開始のポスターを見かけた。
 星野さんのラジオが、自分の中でこんなにも大きな存在になるなんて。あの時は思ってもみなかった。

 それから、数え切れないほどのメールを番組に送った。カッコいいネタメールではない。くだらない生き様だ。
 1カ月間のオ○禁にチャレンジした話や、AV女優の握手会に潜入した話。海にダイブする音声を送った事もあったし、恋愛相談みたいなメールを送った事もあった。

 クソみたいな毎日を笑い飛ばしたい。なにより、尊敬する星野さんに笑ってもらいたくてメールを送り続けた。
 僕のメールを読み、星野さんは『バカじゃないの!』と笑ってくれた。時にはガチっぽく説教してくれた。あの星野源が、僕みたいなやつに。
 星野さんのトークと音楽に救われてきた。何度も。
「僕の番組のリスナー」なんて言われて感動しない訳がない。


 星野さんに「ありがとう」と伝えたい。
バナナムーンを聴いて、勝手にそんな気持ちになった。
 星野さんのラジオにメールを送る事にした。もちろん、送るのはボケが入ったメールだ。

 「日村さん47歳誕生日の歌」の歌詞に、『おめでとうはメロディの中』というフレーズがある。
 歌の中で酷い言葉を浴びせるけれど、このメロディを聴けば思いは伝わるだろ?
この曲にはそんな気持ちが込められている気がした。

 それなら僕は、メールの中に思いを込める。
『ありがとうはメールのボケの中』だ(マヌケな響きだな)。
 星野さんのラジオは3日後。全力でやってやろうと思った。


 火曜、深夜1時。「星野源のオールナイトニッポン」を聴く。
バナナムーン出演の話題で番組は大盛り上がりだった。

 僕のメールが読まれた。バナナムーンの感想メールだ。
ホシペキ兄さん。秩父のカナリア。日村さんの年齢を少しだけ盛る。
メールに散りばめたボケの中に、星野さんとバナナマンへの「ありがとう」を込めた。

 ジングルのコーナーでは音ネタも採用された。
自分で打ち込んだインストに乗せて、AVメーカーの名前を絶叫しまくった。
気合いを入れたバカの極み。これまでの音ネタの集大成だった。

 星野さんは、手を叩いて笑ってくれた。
『バカだなぁ!』の言葉に、ぐっと奥歯を噛みしめた。
嬉しかった。本当に。

 放送終了後、じっとしていられなくて家を出た。
公園を歩きながら、radikoでメールの採用部分を何度も聴いた。
メールに込めたありがとうの思いは、星野さんに伝わっただろうか。
そんな事は、星野さんが笑ってくれればどうでもいい事なのだけれど。
 またくだらない生き様をぶつけて行こうと決めた。


 これからも僕は色んなラジオを聴いて、ラジオに救ってもらうと思う。死にたいと思う事ばかりだけれど、ラジオがあればなんとかなる。
 「星野源のオールナイトニッポン」が続く限り、笑って生きていようと思う。
 「僕の番組のリスナー」という言葉を心の支えにして。