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たほいや広辞苑!!初版(note創作大賞・応募作)

はじめに

この「たほいや広辞苑」は、「たほいや」という言葉遊びをまとめて一つの辞書(作品)にしたものです。「公募ガイド」誌で昔、芸人・サンキュータツオさんが募集していたコーナー「サンキュータツオのたほいや」にTwitterで投稿した応募作が基になっています。

「たほいや」とは、数文字のひらがなをお題として出して、その架空の意味を自分で妄想?して考えるという言葉の魅力を最大限に使ったゲームです。ネットで調べたところ元々はイギリスで作られた遊びで、日本にも広まったとのことでした(これは本当)。話半分で「こういう人とか作品とかあるかも」って思ってくれたら嬉しいです。

基本、五十音順にしましたが、架空のバンド「たまおち」にまつわる記述をたくさん書いたので、お題「たまおち」だけ最初に持ってきました。

因みに応募規定のことも考え、念のため、選ばれて雑誌掲載された2作品は載せませんでした。ここに掲載したのは、Twitterのみに昔投稿した作品(一部、推敲あり)と、書き下ろしです。

プレゼン

例えば書籍化するなら、イラストと合わせて一冊の本にしたり(私は絵が下手なので誰かに描いて貰うことになりますが……)とかどうでしょうか。幻冬舎コミックスさんで漫画にしてみてもいいかも。

KADOKAWAさんならメディアミックスの本家本元なので、実写化、アニメ化、そこからのノベライズなど浮かびました。

テレビ東京さんとメディアミックスするなら、深夜の3〜5分番組で「今日のたほいや」なんてどうでしょう?毎回一つのたほいやを紹介して、それの(架空の)意味を手短にドラマ化するという……。架空の熟語、人物、曲、本、漫画、映画、食べ物、地名や歴史的事実などを再現したらマニアックながら面白くなるのでは、なんて思ったりします。視聴者が応募した作品もドラマ化したら盛り上がるかもしれませんね。
特にテレビ東京さんの短いドラマがとても好きなので、あのチャレンジ精神に満ちた映像作品に名を連ねられたら、なんて図々しくもプレゼンしてしまいました(笑)。

どうぞ読んでくだされば幸いです!

たまおち

【たまおち】

丼ものに卵を落とす無料サービスのこと。戦後ほどなく老舗のうどん屋がはじめて、のちに定食屋なども真似するようになった。使い方は「たまおち三器(さんうつわ)に二オチずつ」(三人前の器にそれぞれ二個ずつ卵を落とす)といった言い方。

京都大学の名物教授・玉城敬一の講義のこと。期末試験はすべて記述式で、履修した八割の生徒が不合格になることから「タマシロの殆ど落ちる講義」の略。それでも、彼の「近代日本文学論Ⅱ」は人気が絶えず、単位を落とす覚悟で受講する学生が絶えない。

多摩出身のバンド。「落合」姓の従兄弟で結成され、2ndシングル「さよなら、ボクのresistance」は2003年のヒットチャート8位にランクインした。

『さよなら、ボクのresistance』
2003年の2ndシングル
曲紹介
親、先生、学校、塾、劣等感に失恋…十代を縛り付けるあらゆるものから自由でありたい。そんな自意識との戦いも終わりを告げる19〜20歳の誕生日前を歌った曲。タイアップはリクルートスーツのCM。
2010年に女性テクノポップアイドルグループ「MIX FRUITS」がカバー、再ヒットする。
商業的にはこの後の曲の方が成功するが、この2ndシングルが今尚彼らの代表曲である。

あ行

【あだん】

亜談
亜流の談話。後追い論で、大したことのない発言をすること。

『ア弾』
バンド「たまおち」5枚目のシングル。潜入スパイの恋を描いたアニメ『アイシテルの弾丸』の主題歌。激しいロック調になっており、新境地を開拓した。各パートの歌い出しすべてがア〜オの母音になっており、言語学者の早坂航から「国語の教科書に乗せたい愛の言霊」と激賞されたこともベストアルバムのライナーノーツに書いてある。

か行

【くわた】

「ク」ールに、「ワ」イドな視野を持ち、「立」ち向かえ、略して「クワ立」から「くわた」。1970年代後半の新書から生まれた流行語。当時働くサラリーマンの訓示としてもてはやされた言葉。

『鍬多』
明治時代の小説。鍬を振るえど振るえど、生活が楽にならない地方農家の暮らしが描かれている。文明開化に沸く日本の裏側を綴った農民文学の金字塔。

さ行

【さいたらばたけ】

小説『さいたら畑でつかまえて』の作者、野崎誠の愛称。パロディ作品群『土器よさらば』、『短距離走者の至福』など外国文学の題をもじったシリーズが好評を博したものの、次第に寡作になり「本当の意味で和製サリンジャーになった」と評された。

フォークバンド「たまおち」の14枚目のシングル曲。ドラマ「さいたら畑で抱きしめて」の主題歌。タイアップの影響もあり、たまおちが出したシングルで最多の売り上げを記録した。

さいたらばぁ feat.TAKEの1stシングル。沖縄出身の大物ラッパー、TAKEが企画。同郷の民謡ユニット「さいたらばぁ」をプロデュースしてデビューさせ、大ヒットした。

2000年公開の映画。もう一つの埼玉県、パラレルワールド「埼多良」の農村地域に迷い込んだ主人公が亡き祖父母と再会するヒューマンドラマ。

た行

【だだらだいじん】

惰堕落大臣
もともとは「だだらくだいじん」と呼んだが、語呂合わせを良くするために「だだらだいじん」になった。読みやすくするために一文字を略するところに怠惰な政治家を揶揄する意味も込められている。

打打裸大人
東南アジアの密林に住む人種。裸のまま太鼓を叩く文化があり、体長が2メートルある。

The ダラダイ陣
19世紀初頭に、ナポレオン率いるフランス軍の侵略を阻止した小国・ダラダイの戦争における布陣。その後、20世紀に入り英語圏の陸軍に相次ぎ採用され、定冠詞「The」がつけられるようになった。

【だびらせば】

駄美楽洗馬
1967年初出の、長野県塩尻市を舞台にした高校の吹奏楽部を描いた青春小説。駄(だ)=くだらない、ながらも美楽(びらく)=音楽や芸術が得意、から来ている。洗馬(せば)は塩尻の地名のこと。一時は絶版も2018年に復刊され話題に。

ホセ・アントニオ・ダビラセバ
スペインの映画監督。1956年生まれ。少年時代に観た『荒野の用心棒』に衝撃を受け、映画の道を志す。スペインの風土と西部劇を融合させた『荒野のドン・キホーテ』などの作品は「パエリア・ウェスタン」と呼ばれた。

ダビラ・セイバー
1986年に発売された、セイバーを持った勇者・ダビラが魔物を倒す2Dゲームの略称。制作したメーカーは、マリオと同じくイタリアに多いダビラという苗字を授け大ヒットを祈願したものの、あまり売れなかった。

エッセイスト・三田村鯨が提唱した平成後期の造語。「ダ」ントツで「ビ」リでも「ラ」クして「セ」ンス良く「バ」カして、生きようぜ、という意味。マイペース志向のゆとり世代の価値観と絡めて語られる。

荼毘La Ceiba
葬儀屋の著者が、土葬の多い国ホンジュラスの港街・La Ceiba(ラ‐セイバ)で火葬業を営んだ28年間を綴ったルポタージュ。2013年に刊行されベストセラーとなった。

2018年のベストセラー『だびらせば、夢は叶う』の略。アイススケーターの著者が住む雪国の方言「だびらせば=ひたむきになれば」どんな夢も叶うと話してくれた恩師との日々と、オリンピックでの金メダル獲得までを描いた自伝。

陀・びらせばる
ミュージカル『レ・ミゼラブル』のカトリックの部分を仏教に置き換え翻案された演劇。初演は2006年。宗教の壁を越え多くの国で喝采を浴びた。題名は上記の通りだが、最初のパンフレットに「る」の文字が抜けていて渾名は「だびらせば」。

子供番組の怪獣マスコット・ダビラの歌う『昴 -すばる-』の替え歌『背張ル -せなかいたい-』というシングルCD。独特のしゃがれ声と脱力的な歌詞が老若男女問わず人気を博し、爆発的にヒットした。初版のクレジットタイトルのみタイトルの「ル」が無い。

【とぶらるこ】
ものまね芸人・お笑いタレント。ジョン・トラボルタのマニアックなモノマネで有名。昔、ツッコミの「さみゅえるん」とコンビを組んでいて、当時からタランティーノに傾倒していた。流暢な会話による15分の漫才「レザボア・キャッツ」と、斬新な構成による45分のコント「パルプ・ドキュメント」は、キングオブコントとM-1では規定より時間が長すぎると予選落ちしたものの、その場にいた若手芸人を中心に伝説となっている。

な行

【なんねい】
「南寧」
作家・佐田誠による大正12年発表の短編小説。南向きの部屋に越した貧乏書生の一日をユーモラスに切り取っている。

【のんの】
飲ん乃
東京・新橋にある老舗の飲み屋。日本酒の宝庫とも呼ばれており、多くの財閥、芸能、文化人が出入りして来た。入り口すぐにあるサインの数は「一つの飲食店にあるサインの数」にギネス認定されている。

は行

【ひこひこ】

真山武彦と田之倉和彦による漫才コンビ。90年代のお笑い界でカルト的人気を誇った。2001年に喧嘩別れで解散するも、のちに脚本家に転身した武彦のドラマ化作品を俳優になった和彦が出演した事で和解した。

2010年代、女子高生を中心に流行った言葉。ドン引きした、という意味。「そいつマジでーだわ〜」

十代向け番組「弾こう!弾こう!」の略称。「新しい楽器へのチャレンジ!」がテーマとなっており、弦楽器の演奏場面や専門家による手ほどきなどを放映し根強い人気を誇る。

フォークバンド「たまおち」3ndシングルのカップリング曲。正式な表記は「hi-ko! hi-ko!」。2ndシングルの大ヒットを受け、人気ラッパーTAKEとの共演により生まれた曲。インディーズ以来のフォークソングから一転、ユーロビートが取り入れられている。

曲名・歌詞の由来は、たまおちメンバーの名前に「彦」がつくことから。本来は企画シングルでA面化する予定だったが、売れっ子となりかえって世間に不信感を抱くようになったボーカル・落合光彦が断固として拒否した。

光彦はのちにこの時期を振り返り、「『さよなら、ボクのresistance』で折り合いをつけていたはずの大人の世界にまだ抗っている自分がいた」と語る。

従兄弟でベーシストの政彦による「光彦のイヤイヤ期は手がつけられなかった、正直最初のバンドの危機だった」との回想がベストアルバム「たま、おちません」のライナーノーツに記載されている。なお、「hi-ko! hi-ko!」は同アルバムにファン投票12位として収録されている。

一方、TAKEは光彦の歌詞から並外れた言語感覚を感じ取り「本でも書いたらどうかな」と助言する。それがのちに光彦の自伝小説『ひこひこ』に結びつく。

『ひこひこ』
フォークバンド「たまおち」のボーカル・落合光彦による自伝小説にしてデビュー作。光彦、政彦、慶彦ら、「ひこ」が名前につく従兄弟たちや一族とのとの思い出、小学校での友情、初恋を光彦少年の目線から描いた作品。
小説家の田名部寿人に「痛々しいほど瑞々しい」と激賞され、本屋大賞の第3位になった。

【ぶりしゃり】

1992年公開の映画『ぶりっ子ほどしゃっきり』の愛称。純朴な青年が大学で出会った後輩に翻弄されるさまを描く。原作は直木賞受賞作の『悪女って聖女』。映画通の間で「ぶりしゃり何回観た?」は常套句となっている。

流行歌「ぶりしゃり音頭」の略称。大正時代を舞台にした白黒映画の傑作『銀ブラしてもよくってよ』の主題歌で、レコードは記録的な売り上げを打ち立てた。

フランスの詩人オリヴィエ・ブリシャリに傾倒した日本人文学者の俗称。ブリシャリアン。主に、幻想的な描写で一世を風靡した処女詩集『無花果の声』に多大な影響を受けた明治後期の詩人たちを指す。

ま行

【みみずから】

美味's color
ミシュランで二つ星を得ている創作和食店。オーナーの結城美央が本場のイタリアンを勉強するうちに和の魅力に気づき、欧州料理と和食を融合させた品々で人気を博す。女性の社会進出にも関心があり、自身含めシェフもスタッフも全員女子。
①の❷
『美味's color』
グルメ漫画。定食屋の娘・結城美央がイタリアに武者修行し、そこで気づいた日本の良さを基に、和と洋を融合させた創作料理の店を開くまでを描く。女性漫画誌で連載したところ大ヒットし、アニメ、ドラマ、実写映画など多くのメディア化と作中レシピのハウツー本も人気を得た。

『実、自ら』
果物栽培で年商10億円を得た著者が「果実は俺が咲かせるんじゃない、自然になるから美味いんだ」の信念をもとに、全ての結実に通じる成功論を書き綴った新書。本文中の「ブドウの畑にゃツバを吐け」はネットで炎上するとともに流行語大賞にノミネートされた。

【むすこびや】
『息子ビヤ』
1924年に公開されたサイレント映画。ビヤホールに通いつめるバカ息子と、彼を心配する母親のドタバタコメディ。当時としては珍しい現代劇。フィルムは焼失などで現存しておらず、幻の名作として語り継がれている。

や行

【ゆうきゃっこ】
2012年の新書ランキング一位に輝いた一冊。タイトルの意味は「言うっきゃ来ない!」で、自発的なコミュニケーションの取り組みを促す内容。

【よみず】

『読ズ』
読書指南の雑誌。1976年刊行。当初は若年層の女性向けだったが、段々と老若男女に向けられるようになった。

「夜水-ヨミズ-」
フォークバンド「たまおち」の10枚目のシングル。深夜ドラマ『滴るふたり』の主題歌。タイアップの影響もあり、アンニュイなメロディと官能的な歌詞が話題になった。

ら行


【らいそん】

フォークバンド、「たまおち」の1stシングル。リリース時の正式表記は「LighT SonG」で各単語の始めと終わりが大文字だったが、後に全て小文字表記に直された。light song(軽い音楽)という彼らの良さが存分に出たデビュー作。
ライブの終わりに落合光彦が「light?」と言って観客が「song please!」と叫んで演奏が始まるのが恒例。ベストアルバム「たま、おちません」のDISC2の10曲目(全曲中3位の人気)に収録されている。

雷村
村一番、転じて各地域の逸材を雷で射抜くように見つけること。または引き抜くこと。「名将が自ら視察して〜してきた天才だ」

磊尊
心が広く他者を尊重する気持ち。「これからも〜に努めて精進して参りたいと思います」

2006年公開の映画『ライバル、存続』の略。男女混合フットサルチームの奮闘を描いた青春恋愛映画。演技力を度外視し当時の人気アイドルをかき集めたキャスティングで興行収入年間3位を記録するも、評論家からは「史上最低の商業映画」と罵られた。

来孫
孫が来る時のように待ち遠しい日のこと。「私、本日の授賞式を来孫として心待ちにしておりました」

わをん

【わんだね】
『ワンだね!』
動物番組。視聴者の中から応募した家族の家に出向き、ご自慢のペットを紹介してもらうという内容。当初は犬限定だったが、縛りがなくなり最近ではスッポンの登場も話題になった。

最後に

いかがでしたでしょうか?何だか、本と映画の登場率が高すぎた気もしますが、他のことも書けるようこれからも考え続け、自作のたほいや広辞苑を幅広くしたいと思います。ひとまずnote創作大賞の応募作はこの初版にします。最後まで読んでくださった方、一部でも読んでくださった方、どうもありがとうございました!

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