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外は狼、内は子犬9 出会い後編

もう何回やったか分からない勉強会に

少しでもお礼をとクッキー焼いたの

ひより「上手く焼けて良かった〜」

犬や猫の動物の形をした可愛いクッキー

渡す相手は決まってる、愛しの〇〇君!

いつもの集合場所に行くと…

ひより「…誰?」

〇〇君よりも背が少し低くて綺麗な顔立ち

大人な雰囲気の女性と仲良く喋ってる

女の人はボディタッチ多いし

そういえば彼女いるとか聞かなかったな

聞けば良かったな

まだ彼女と確定してる訳じゃないのに

なんで、こんなに胸が締め付けられるの?

2人を見ていたくなくてその場から逃げちゃった

多分、ううん、大泣きしながら走ってた

その時の記憶はうる覚えなんだよね

必死に走って逃げて、いつの間にか美穂に捕まって公園のベンチで美穂に縋って泣いてた

ひより「…うぅ…美穂ぉ…」

美穂「うん。」

泣き止むまで抱きしめて背中を摩ってくれた

ひより「…うぅ…っひ…うぅ…」

美穂「嗚咽までして、もう全部出しな」

ひより「…うわぁぁぁん」

長い時間泣いてた気づけば夕暮れ時

美穂「もう上着が涙と鼻水でぐしょぐしょ」

笑いながらもずっと背中を摩ってくれて

ひより「…ありがとう…」

美穂「もう全部出した?」

ひより「…ぐす…うん」

美穂「あーぁ、可愛い顔が台無しじゃん」

カバンからハンカチを取り出してメイクでぐちゃぐちゃな顔を丁寧に拭いてくれて

美穂「話したくなければ言わなくていいけど何があったの?」

話そうとすると2人を思い出してまた涙が出てくる

美穂「あぁもう、思い出さなくていいよ」

ひより「…ううん、ばなずがらー」

ひより「あのね、うぅ…勉強会にね…行く前にクッキー焼いたの」

美穂はずっと隣で変わらず背中を摩って「うん」と相槌を打って聞いてくれてた

ひより「集合場所に行くと…うぅ…うぅ…」

ひより「っひ…〇〇君の隣に…どなりにぃぃ」

ひより「女の人がいだのぉぉ…」

ひより「仲良ぐ…ばなじでだのぉぉ」

美穂「その2人を見て悲しくなって走ってたと」

号泣しながら頷いた

美穂「ひより?」

ひより「…はい」

美穂「その人は彼女なの?」

ひより「じりばぜん」(知りません)

美穂「彼女か確認もしてないのに諦めるの?」

ひより「ながよぐばなじでだ」(仲良く話してた)

美穂「それはもしかしたら友達かもしれないよ?」

ひより「…」

美穂「まだ負けてないよ」

力強い声で美穂の摩っていた手に力が入っていた

美穂「ひよりはまだ負けてない!」

美穂「諦めるの?諦め切れるの?」

ひより「…むり!!…いやだ!!」

美穂「じゃあ確認しないと」

ひより「うん。」

美穂「はい、こっち向いて、もう明日絶対目腫れてるじゃん」

またハンカチで拭いてくれた親友

ひより「〇〇君から電話きてる」

美穂「うーん」

急に考え込む親友が放った言葉に驚いたの!

美穂「恥ずかしいと思うけどこのまま聞きに行こ!」

ひより「えぇ!嫌だ!こんな泣き顔見られたくない!ブサイクになってるもん」

美穂「この勢いのまま直接聞いた方が絶対良いって」

美穂の説得の末、電話をして会う事になった

それが大正解だったんだ!

ーーーーー

ひより「緊張する…」

美穂「大丈夫だよ」

ひより「ブサイクじゃない?」

美穂「大丈夫!メイクで隠してあるから」

後々聞いたけど目はもう腫れてたみたい

嘘つきみほちー

ひより「〇〇君だ」

美穂「よし、心の準備はいい?」

ひより「やっぱり…」

美穂「はい。行くよ!私が隣にいるから」

親友に手を引かれてあなたの元まで心臓の不安の音が凄かったよ

〇〇「あ、ひよりちゃん…すみません、あなたは?」

美穂「私はひよりの友達の渡邉美穂と言います。ひよりが勘違いをしていると思って一緒に聞きにきました」

〇〇「そうですか、勘違い?…分かりました」

勘違い?美穂は確かにそう言った

美穂「ほら、自分の口で言いな」

美穂に背中を押されて目の前に立った

質問の答えが怖くてなかなか言えずにいると

あなたはいつもの様に優しい声で言ったんだ

〇〇「大丈夫だよ。待ってるから。」

ひより「今日の勉強会サボってごめんなさい」

〇〇「心配したけど大丈夫だよ」

ひより「あと、今日一緒にいた女性は誰ですか?どんな関係ですか?」

急に喋ったから驚いたと思うけど

それくらい不安だったんだよ

〇〇「女性?」

真剣に思い出してくれてるけど

その時間はネガティヴな事ばかり考えてた

〇〇「あ、姉さんの事かな?」

お…お姉さん…?

え、え?

ひより「もう一度言って」

〇〇「齊藤京子、2つ上の姉だよ、お昼に偶然会って話してんだ」

ひより「み、みほぉー」

安心してまた涙が、、

美穂「こっちじゃなくて前!前!」

指さされた方を正面にいるあなたの方に向き直る

〇〇「え!え!?泣いてる?なんで?どうしよう」

ひより「良かったよぉ」

〇〇「良かった…?」

ひより「彼女かと思ったからぁ」

〇〇「彼女なんていないよ」

私の勘違いに気づいて微笑む顔を見て嬉しかった

〇〇「あのさ、聞きたい事があるんだ」

ひより「はい」

〇〇「俺、ひよりちゃんの事が」

その後の言葉が欲しくて嬉しくて頭が真っ白になったの

〇〇「好きなんだけど、この気持ちを持ったままこれからも会っていいかな?」

ひより「え、え!?…うぅ…」

〇〇「あ、ごめん、嫌だったね、ごめんね」

ひより「ううん…ちがう…」

〇〇「え?」

ひより「私も…〇〇君の事が…大好きなの」

ひより「…だから…嬉しいのぉぉ…」

ひより「うえぇぇん」

嬉し泣きで〇〇君に抱きついたの

後日、美穂からまさか告白までするとは思わなかったと言われた

でも美穂のお陰で私達はお付き合いする事ができたの

これが私と〇〇が出会ってから付き合うまでのお話でした〜

ーーーーー

〇〇「会った時にはもう目腫れたもんね」

ひより「もう!言わないで!美穂はばっちり隠れたって言ってくれたから信用したのに」

〇〇「本当に美穂ちゃんのお陰だね」

ひより「うん!最愛の親友のお陰」

〇〇「どこの大学だっけ?」

ひより「日向學院大学スポーツ科」

〇〇「頭良かったもんね」

ひより「頭良し、顔良し、運動良し、性格良しどこにも隙がないの」

〇〇「羨ましい」

ひより「私よりみほちーの方が良いってこと?」

〇〇「違うよ、ちょっと濡れるから、傘もっと真ん中にさ」

ひより「浮気者には傘はあげません」

〇〇「万能な事を羨ましがっただけ」

ひより「ふーん」

〇〇「俺が好きなのはひよりだけだよ」

私には最高の彼氏と最高の親友がいるんだ〜

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