見出し画像

僕の周りにはみんながいた4

ガチャ

〇〇「ただいま」

歩幅の短い足音が2つ

トタトタ トタトタ

芽実「にぃににおかえり!」ギュ

愛奈「お兄ちゃんおかえり!」

1つ年下で双子の妹、しっかり物の姉、愛奈、甘えん坊の妹、芽実

〇〇「芽実〜もう中3なんだから、にぃには恥ずかしいな〜」

芽実「にぃにはにぃにだもん!」

〇〇に抱きついたまま顔を胸に埋める

〇〇「お姉ちゃんの愛奈はお兄ちゃんって言ってくれてるよ〜」

愛奈「芽実!お兄ちゃん困ってるでしょ!」

芽実「やだ!にぃにはメメの事嫌いなの?」

顔をあげウルウルした目で上目遣いをする

〇〇「う…そんな目をされるとこれ以上は」

芽実「にぃにはメメの事嫌いなの?」

〇〇「嫌いじゃないよ…」

芽実「じゃあ好き?」

〇〇「うん、好きだよ」

芽実「メメも好き!!」

愛奈「はぁ、お兄ちゃん芽実に甘すぎ!」

〇〇「愛奈ごめん、この目を見せられると無理だ!」

芽実は純粋無垢な笑顔を〇〇に向けている

〇〇「芽実〜そろそろリビングに行きたいから離れてもらえるかな?」

芽実「えーもう?」

愛奈「早く離れなさい!」バシ

芽実「いったーい、にぃに!マナがぶった」

〇〇「はーい、上がりますよ〜」

抱きついている芽実を抱っこし部屋に行く

愛奈「私もにぃにに甘えたいのに」ボソ

〇〇「学校から帰ってきて何してたの?」

愛奈「宿題終わらせて、暇だったからテレビ見てた」

芽実「私もすぐ終わらせたよ!偉い?」

〇〇「2人とも偉いね」ナデナデ

愛奈「ンフフ」

芽実「マナだけズルい!」

愛奈「さっきずっとにぃ…お兄ちゃんに抱きついてたでしょ!」

〇〇(愛奈はお兄ちゃん呼び頑張ってくれてるんだ、健気で可愛いなぁ)

芽実「おかえりのギューだもん!」

〇〇「はい!ケンカしない!」ナデナデ

芽実「ヘヘ」

〇〇「よし!俺も部屋で宿題やってくるね」

芽実「も〜行っちゃうの〜」

〇〇「じゃあ…ダメだ!宿題やらないと!」

愛奈「いってらっしゃい」

ーーーーー

〇〇「ふぅ終わった〜」

芽実「宿題終わった!?」

途中部屋に乗り込んで来た芽実がベッドから起き上がる

〇〇「2人が大人しくしてくれてたから順調に終わったよ」

芽実「愛奈は寝ちゃったけどね」

芽実と一緒に来た愛奈は気持ちよさそうに寝ている

〇〇「起こしちゃ悪いからそっとしとこうか」

芽実「お姉ちゃん可愛いのにメメがすることにケチつけるからお顔がムスッてなる」

芽実はモノマネのように変顔をする

〇〇「フフそんな変な顔してないよ、そんな顔してるといつかそんな顔になっちゃうよ」

芽実「そうなの!?ヤダ!でも、そんな顔になってもにぃには可愛いって言ってくれるもんね?」

〇〇「あの顔だと笑いながら言っちゃうね」

芽実「えー酷い!」

〇〇「嘘だよ〜芽実も愛奈も2人共可愛いよ!」

愛奈「う…ん…にぃに…」

目を擦りながら起きる

〇〇「ごめんね、起こしちゃったね、おはよ愛奈」

愛奈「ううん、おはようお兄ちゃん」

芽実「愛奈にぃに呼びしてた」

愛奈「間違えただけだもん」

芽実「本当はにぃに呼びしたいくせに〜」

愛奈「フン!」

〇〇「起きてそうそうケンカしないの、そろそろご飯作ろっか」

愛奈「私手伝う!」

芽実「今日何作るの?」

〇〇「さっきの冷蔵庫の中見た感じだとハンバーグ作ろうかな」

芽実「やった!」

愛奈「パンパンやる!」

〇〇「空気抜く時のパンパンね、やろっか」

3人がキッチンで和気藹々とハンバーグを作る

愛奈「これで卵とパン粉入れて」

〇〇「そうそう、あとは混ぜる」

芽実「メメやる!ヒャ 冷たい」

〇〇「最初は気持ち悪いよね笑」

芽実「だんだん冷たいのが気持ち良くなってきた〜」

芽実「コネコネ〜」

〇〇「2人は告白されたことある?」

2人は急な質問に目を合わせる

愛奈「急にどうしたのお兄ちゃん」

芽実「愛奈もメメもあるよ〜」

愛奈「芽実なんで言うの!」

芽実「え〜だって本当のことじゃん」

〇〇「やっぱりあるよね〜こんだけ可愛いかったらありますよね〜付き合わないの?」

芽実「好きじゃないもん!」

愛奈「お兄ちゃんいるから彼氏いらない」

〇〇「いつかはブラコンも卒業してもらわないといけないね」

芽実「じゃあ、にぃにもシスコン卒業しないといけないよ」

〇〇「それは無理そうだな〜」

芽実「じゃあ私たちも卒業しませーん」

愛奈「お兄ちゃんそろそろいいんじゃない」

〇〇「そうだね!パンパンしよっか」

1つずつ形を作り空気を抜いていく

パンパン

愛奈「この作業が1番楽しい」

〇〇「それはストレス発散かな?」

愛奈「違うよ」

芽実「そういえば、この前クラスの男子にイタズラされて怒ってたじゃん」

愛奈「毎日やってくるからもう我慢できなくて言っちゃた笑」

〇〇「それって愛奈の事が好きだからじゃないの?」

芽実「その子に告白されて振ったでしょ?」

愛奈「うん、好きじゃないって言った」

〇〇「おぉ男の子気の毒に」

愛奈「それからちょっかいかけるようになってきたの」

芽実「いっその事嫌いって言ってやれば?」

〇〇「男の子が不登校になっちゃう」

愛奈「次ぶん殴ってやろうかしら」

芽実「やっちゃえ!やっちゃえ!」

〇〇「暴力はいけません。そんな言葉もいけません。」

愛奈芽実「はい。ごめんなさい。」

〇〇「はい!じゃあ焼こうか!」

ジュー

フライパンから香ばしい匂いがキッチンに広がる

芽実「早く食べたいなぁ」

〇〇「そんな近付くと火傷するよ〜愛奈もいつまで抱きついてるの」

愛奈「さっき芽実だけギューしてたから」

〇〇「はいはい」ナデナデ

ガチャ

眞央「ただいま!いい匂い!」

〇〇「おかえりなさい」

愛奈芽実「ママおかえりなさい!」

井口眞央は母親、夫は3年前に他界し、それ以降、女で一つで3人を育ててくれている。

眞央「3人ともいつもありがとうね!ハンバーグ美味しそう!」

芽実「みんなで作ったの!」

愛奈「パンパン楽しかったよ!」

眞央「そう!楽しくできたのね!じゃあ美味しくできてるわね!楽しみだわ!手洗ってくるね」

愛奈芽実「行ってらっしゃ〜い」

〇〇「そろそろ焼き上がるかな〜」

蒸し焼きにしていた為、蓋を開けるとより美味しそうな匂いがキッチンに広がる

芽実「すごい良い匂い!」

愛奈「もう出来た!?」

〇〇「良さそうだね!準備したお皿持ってきて」

愛奈芽実「はーい」

眞央「さっきより良い匂い!うわ!すごい美味しそうじゃない!」

〇〇「もう出来るから席で待ってて」

妹達がお皿を持ってくる

〇〇「ありがと」

見栄え良く飾り付けを3人でやり、机に持っていく

眞央「すご〜い!美味しそう♪」

愛奈「私の見て!シナモンにしたの!」

愛奈の大好きなキャラクターの形にしたハンバーグを眞央に見せる

眞央「上手に出来てるわね〜」

芽実「メメはね、ハートにしたの!」

ハート型のハンバーグを眞央に見せる

眞央「芽実もよく出来たね」

〇〇「じゃあ食べよっか」

眞央「はい、じゃあ」

4人「いただきます」

ーーーーー

満腹になってソファで仲良く寝る双子と

食べ終わり皿洗いをする眞央

カチャカチャ

〇〇「別に俺がやるのに」

眞央「いつもやってくれてるから少しくらい母親らしい事させてよ」

〇〇「仕事してくれて、家族守ってくれてるから感謝しかないよ」

眞央「いつもありがとね」

〇〇「母さんもいつもお疲れ様」

眞央「なんて良い子に育ってくれたのかしらあの人も安心してくれてるわね」

〇〇「母さん…俺…」

眞央「どうしたの?」

〇〇「毎日楽しいよ!愛奈もいるし芽実もいるし学校に行けば久美も美玲も芽衣も健太もいるから心配しなくても大丈夫だよ」

眞央「そう。良かった。また何かあったら遠慮なく言いなさいよ。私はあなた達が宝物なんだから。」

〇〇「うん。」

それから会話はなくとも井口家には居心地の良い空気が家族を包んでいた


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?