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物語と文章のマガジン

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記事一覧

ミステリは卒業できないけど

最近、ミステリを書くにしても読むにしても、ホワイダニットに関心が絞られてきた感覚がある。
もちろんハウダニットやフーダニットが主軸の作品も読むし、読めば実際面白い。でも心には残らない。1年後にはどんな話か思い出せなくなっている気がして、積極的に手に取ろうとは思わなくなってきているのが本音だ。
本格ミステリが嫌いになったとかそういう話ではない。ないのだけど、変に読み慣れてしまったせいか、新しい仕掛け

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第十八回ミステリーズ!新人賞の反省

第十八回ミステリーズ!新人賞に応募しました。
反省点が山ほど出てきたので整理します。

1.書き始める前にもっと考えよう
・そもそも設計段階でメッセージ(この作品を通して何が言いたいのか)を考えていなかった。最大の敗因。仕掛けやトリックばかりに気を取られていた。もちろんそういうもののないミステリも多いが、自分には合ってない。それがわかったのは進歩。
・書き進めたはいいものの、「この物語を必要として

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第四十二回小説推理新人賞に落選しました。

先日、第四十二回小説推理新人賞の中間発表がありました。
僕の作品は一次審査落選でした。

シンプルに悔しいですし、普通に凹んでます。
ただ、あれこれ理由をつけてその気持ちに抗うのではなく、いったん素直に受け入れることにしました。悔しいとかつらいとか、そういう感情が自分のなかにきちんと存在するのをよく憶えておきます。

それはそれとして、自分なりに考えた敗因を以下に洗い出しておこうと思います。でない

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新年の抱負をTwitterに書くのは悪手だと思った。

なぜなら数日で流れていってしまうから。
というわけで比較的流れの遅いnoteに抱負を残しておくことにする。
もう明けてだいぶ経つけど、去年の内に考えてしまうとそれは去年のものなので鮮度が落ちる。したがって新年の抱負は年が明けてから考えるのが妥当。そしてその精査にもそれなりの時間を要するのだから、今が適度な頃合いと言えないこともないかもしれない。本当はただサボっただけです。

本題。抱負としては3つ

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第二十三回伊豆文学賞の反省の反省

上記記事内で、こんな反省をしていました。

>反省としてはシンプル。
>ひとまず最後まで書ききる。それから直していく。

これって間違いだよね、という話。

当時はひとまず最後まで書き上げてから修正していくのが自分に合ったやり方だ!と思っていました。根っこは間違っていないんですが、心構えとして正確じゃないな、と最近気付きました。

イラストやシステムなどなんでもそうですが、ものづくりはまず要件を決

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第四十二回小説推理新人賞の反省

※この記事は2019/12/1にはてなブログに投稿したものを最低限の手入れだけして移植したものです。

第42回小説推理新人賞に応募しました。
https://www.futabasha.co.jp/news/suiri_award/index.html

結果は待つしかないし運も大きいと思っているので、反省点だけ書いたらひとまず存在を忘れます。



今回はあまりにもやらかしが多すぎました

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第二十三回伊豆文学賞の反省

※この記事は2019/10/16にはてなブログに投稿した内容をそのまま移植したものです。

第二十三回伊豆文学賞に応募しました。
https://compe.japandesign.ne.jp/izu-bungaku-2019/

原稿用紙換算82枚でフィニッシュ。
無駄は削ったつもりですが長くなってしまいました。
規定には80枚「程度」とあったので、まあ、ギリギリ土俵には上がれそうです。

かけ

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第二回仙台短編文学賞の反省

※この文章が記されていたテキストファイルのタイムスタンプによると、2018/11/24に書かれた内容らしいです。つまり受賞前(というか投稿直後)ですね。他の賞の反省を投稿するにあたって掘り返しただけなので細かい修正等はしていません。

【最終成果物】
1万字弱の短編小説。
未公開であることが応募条件なので、結果が出るまでは公開しません。
また、万が一のリスクも想定し、当記事で本編の具体的な内容に触

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数字の意味を考える

数字の意味を考える

物語のなかに具体的な数字を織り込む際、重要なのは数字そのものではなく、その数字が示す事実なのではないか、という話です。

本題たとえば、以下のような文章があったとします。

その高校は1年生が30人、2年生が30人、3年生が40人ほど在籍していた。
主人公Aは1年生で、各学年を含めても唯一、ある中間テストにおいてすべての科目で満点を取っていた。

この例文の悪いところは、数字そのものにあまり重要性

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リアリティと必然性の関係

リアリティと必然性の関係

以前書いた以下の記事をラジオで取り上げた際、リアリティと必然性は何が違うのか?という話になりました。

そのときは「ドラえもん」を例に出し、非日常作品における(非日常要素のない)日常を丁寧に描写するとリアリティが生まれるという話をしました。

また、必然性はミステリの文法になぞらえて、納得感に繋がるものだとも言いました。

これらについて、僕の考えは変わっていません。
ただ、説明不足だったなと思う

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人間観察の観点リスト

人間観察の観点リスト

物語を書くとは人間を描くことという考え方もあります。
人間を描くには人間を知らなくてはいけない。
では人間を知るためにはどうすればいいか。
ひとつの方法として、よく「人間観察」が挙がります。

でも、実際、何を観察すればいいんでしょう?
僕なりの観点を整理してみました。

本題ふと時間ができて、カフェに入ったとします。
そこでスマホを見たり読書をするのもいいですが、人間観察に時間を割くのも悪くあり

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「エモい」の正体に迫る

「エモい」の正体に迫る

「エモい」という言葉についてずっと考えています。

去年か一昨年くらいからよく目にするようになりました。
最初はネットスラングだったように思いますが、例によって既に一般化したように感じます。

でも、誰もが「エモい」という言葉の定義を考えて使っているわけではなさそうです。
僕自身も、勢いで使ってしまうことがあります。

ただ、物書きとしては、定義が曖昧な言葉を使い続けるのも気が引けます。
なのでず

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タイトルをどう考える?

タイトルをどう考える?

あなたはどのタイミングで自分の作品にタイトルをつけますか?

タイトルから決める人もいれば、書き終えてからタイトルをつける人もいるでしょう。
ちなみに僕は後者で、作品の内容に基づいてタイトルを決めるという流れが僕のなかの定番です。

そのときにどんな順番でどんなことを考えているかをご紹介します。ただのケーススタディにしかならないでしょうが、何かの参考になれば幸いです。

本題①仮タイトルをつける

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テーマって必要?

テーマって必要?

「この物語のテーマは~」という文脈をよく目にします。

テーマは〇〇だと聞くと、なるほどそれっぽく聞こえます。

でも実際のところ、物語におけるテーマってなんなんでしょう。
テーマってどうしても必要なんでしょうか。

本題良い脚本には必ず、脚本家の論点や主張がいろいろな形で提示されている。

僕のバイブル『SAVE THE CATの法則』からの引用です。

この「論点」や「主張」こそ、テーマと呼ば

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