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「エモい」の正体に迫る

「エモい」という言葉についてずっと考えています。

去年か一昨年くらいからよく目にするようになりました。
最初はネットスラングだったように思いますが、例によって既に一般化したように感じます。

でも、誰もが「エモい」という言葉の定義を考えて使っているわけではなさそうです。
僕自身も、勢いで使ってしまうことがあります。

ただ、物書きとしては、定義が曖昧な言葉を使い続けるのも気が引けます。
なのでずっと「エモい」の指し示す対象やら範囲やらを考えているのですが……。

本題

「エモい」
TwitterなどのSNSを覗くとやたら目にするこの言葉。

まず、便利なんですよね。

感情が揺さぶられているけどその動きを詳細に言い表せないときに、とりあえず使う。
あるいは、感情が高まりすぎて言語中枢が働かないときに自然と出てしまう。

当初は、そんな言葉という印象を持っていました。

わかりやすいところで言うと、「海に沈む夕陽」とか「ライブの爆発的な盛り上がり」とかは「エモい」の一部ですよね。

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他にも、個人的に誕生日のサプライズをされたときに「エモい」と感じた記憶があります。

つまり「エモい」とは「感動した」や「昂った」の言い換えであるようにも思っていた……のですが、今は少し違う気もしていて。

なぜかというと、僕の場合、「深夜のサービスエリア」とか「廃線」といったモノに対してもエモさって感じるんですよね。

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それらによって特に感情が大きく揺り動かされる(感動する)わけではありません。
単に「なんか知らんけどいいな」って思うだけです。
でも、僕にとってはそれも含めて「エモい」なんです。

ということは、「エモい」には「感動」以外も内包し得るわけで。

そう考えていくと、「好きだなあ」という気持ちなんじゃないか、というところに着地しました。
もっと違う言い方をするなら「フェチズムを感じる」という感情の動き、でしょうか。

そういった前提に立ってみると、他にもいくつか「エモい」にエントリーできそうな感情が思い浮かんできます。

以下、僕の思う「エモい」に内包されるであろう感情の動きと、それを口語っぽく言い換えたリストです。

「理想の実現」 → これをやりたかった(見たかった)んだよ!
「理想の発見」 → 自分もああなりたいなあ。
「驚嘆」 → すげえ!想像以上だ!
「共感」 → めっちゃわかる!
「センチメンタリズムの感受」 → なんか切ない(寂しい)な。
「フェチズムとの合致」 → ああ、めっちゃ好み…。

思ったより挙げられませんでした。
これでもきっと「エモい」のほんの一部分なんでしょうね。
エモいって奥深い。

でも、こうして一覧化してみると、動的なエモさと静的なエモさに分類することもできそうですね。
そして、やはり基本的にはポジティブな感情と関連していそうです。

もう少し掘り下げられるかもしれませんが、今回はこの辺りで。
また別の機会にもう少し踏み込んで考えたいと思います。

まとめ

「エモい」とは、感動する気持ちや好きだなあという気持ちを内包し得る、範囲の広い言葉である。

現時点でのまとめとすれば、こんな感じでしょうか。
しかし結局のところ、「エモい」の正体はまだ掴みきれていません。

そしてこれはふと思っただけなんですが、もしかしたら、時流と共に「エモい」の実態も変化していくのかもしれませんね。

うーん。
それはそれで、エモい。

……言いたかっただけちゃうか、と。はい。

綾部卓悦の情報

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