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テーマって必要?

「この物語のテーマは~」という文脈をよく目にします。

テーマは〇〇だと聞くと、なるほどそれっぽく聞こえます。

でも実際のところ、物語におけるテーマってなんなんでしょう。
テーマってどうしても必要なんでしょうか。

本題

良い脚本には必ず、脚本家の論点や主張がいろいろな形で提示されている。

僕のバイブル『SAVE THE CATの法則』からの引用です。

この「論点」や「主張」こそ、テーマと呼ばれるものだと僕は解釈しています。

たとえば、

「恋人と法律、どちらが大事?」(論点)
そう問うだけでは伝えきれないことがあるから、作品にする。

「愛って素晴らしい!」(主張)
でもそのまま説いても伝わらないから、作品にする。

と、いった風に。

逆にテーマのはっきりしない作品はよろしくない。熱意を感じない。
そういう意見も見たことがあります。

確かに間違ってはいないと思うんです。
主張が作品の核になる。伝えたいという気持ちが創作のエネルギーになる。
そういうことは有り得ます。

でも、それがすべてではないと僕は思います。
もしもテーマありきでしか物語が書けないのであれば、まず自分なりの明確な回答を用意しないと何も書けなくなってしまいます。

繰り返しますが、物語にテーマが必要というのは同感なんです。
ただ、あらかじめ決まっている必要はないというのが僕の意見です。

自分の疑問に思っていることや、あるいは疑問にすらなっていない靄のような意識。
そういったものをスタートにして、物語を創り始めるのは、有りじゃないでしょうか。

そして描き進めていくうちに、その疑問に対する回答や、自分の考えたかったことがはっきりする。
そこからテーマを再構成してもいいですし、いっそ問い掛けのまま作品を完結させてもいいと思います。

問い掛けとはつまり論点ですからね。
「こういう風なこと、考えてみない?」という問いを読者に投げることも、創作の意義のひとつだと僕は思います。

画像1

そしてもちろん、主張ありきの創作も大事です。
自分のなかにあるはっきりとした気持ちを創作によって世に出すのも、同じく素晴らしい営みだと思います。

まとめ

物語にテーマは必要。
ただ、それが最初から決まっている必要はない。
テーマが曖昧なまま描き進めていくというのも、ひとつの選択肢。

現時点で、僕の考えは上記の通りです。

以上です。

綾部卓悦の情報

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