調和する世界から

自然は完璧だ。


水はただ流れるだけ。

ただ流れるだけで世界中を旅することができる。

怖い人に飲み込まれても、胃の中をするすると通り抜け、次の日にはオシッコになって下水道へ。


でも、ペットボトルで閉じ込められた今回の旅はあまり良くなかったね。

やがて海に帰ったら、こんどは雲になって世界中の空へ。

木は一日中寝ていても腹が減ることもない。

太陽を浴びて、土と会話する。


広がる宇宙について。

うごめくマグマについて。

それらを支配しようとする人間について。


土との付き合いは長く種の時からずっとお世話になっている。

知り合いの木は200年ぐらい一緒にいるんだそうだ。

秋には毎年、葉っぱをプレゼントするのが僕らのルールなのに

ここ50年ほどはあまり渡せていない。

風のうわさでは今は資本主義なんだという。

一番蓄えているやつがこの世界を動かしてるんだそうだ。


手に余るほど持つことなんて出来ないはずなのに

彼らは蓄えることができるんだそうだ。



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