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『何度も読みたい広告コピー』ー刺さる言葉のつくり方、コピーライターの創作プロセス、名言を生むRoland

買って良かったマーケティング本をリストしていくnote、その14冊目。


マーケティングやセールスをやる上で、言語能力は基本的な素養として求められ必要とされるものです。刺さる言葉をつくる能力があるかないかが、成果に大きな差を生みます。

一握りの人だけが持ち得る能力なのかもしれないが、せめていい広告コピーを眺めて、センスを磨きたい。

そういうニーズがなくならないからこそ、いままでもそしてこれからもたくさんの「コピー集」が生まれては消えていくのでしょう。

けれども、

・特定の選者が独断で集めたコピー集ではないもの
・コピー部分だけでなく、実物の広告が写真で収録されているもの
・そのコピーを書いたクリエイター本人のコメントが添えられているもの

この条件が全て揃っているのは、現状おそらくこの本以外になく、今後もそうそう生まれないのではないでしょうか。

広告主、広告代理店、写真家、イラストレーターそしてコピーライターと、こんなに関係者を巻き込むと権利処理で出版が難しくなるはずにもかかわらず、全ページでそれをきっちりやり切っているのがすばらしい本です。


特にすごいのが、左下のここ。

コピーライターが自身が、自分の作ったコピーについてその思考プロセスやクライアントとの交渉プロセスを含めて開陳しているのです。なんとも生々しい!


各クリエイターがコピーを作る時に心がけている視点や着想の手順は、ほんとうに人それぞれ。

コピーを書く時誰かに取材をしますか、という質問をされる。もちろんしないわけはないのだが、誰に一番聞くか、と問われれば、これは圧倒的に自分なんですね。自分に取材する。
この商品をどう思いますか。好きですか。欲しいですか。他社の商品と比べてどうですか。このコピーをどう思いますか。他の言い方はないのでしょうか。(P15)
ボディコピーの役割は、商品あるいは企業の良いところを読み手に伝えること。その手法は乱暴に分けると「共感」か「説得」です。(P053)
最近は、コピーの「見た目」も重要だと感じています。この豚汁の広告も、ボディコピー全文を書き上げるより先に明朝体の箱組レイアウトで行くことを決めていました。(P087)
万年筆で大切な人に手紙を書くように。(P105)
「ボディコピーを読むのは、コピーライターと得意先だけ」と、言われたことがあります。(P161)
クライアントのキーマンは、その理念に接し続けて20年以上の宣伝部長だったりするので、生半可な理解では太刀打ちできません。ですので、なるべく多くの資料や本を読むようにしています。頭を飽和状態にしておいて、一番芯になるコアコンセプトを見つけます。ただそれは予定調和だったりして使い物にならないことも多いので、次に、どう伝えていくかのストーリーづくりをします。(P169)

「クリエイティブに“正解”などない」という当たり前を再確認できます。


さて、いつもご紹介しているマーケ本は、知人のマーケターの紹介やオススメで知った本がほとんどなのですが、この本を勧めていたのは、ちょっと変わった御仁。

元歌舞伎町ナンバーワンホストとして有名なローランド(Roland)さんです。


ローランドと言えば、サービス品質を追求するため自身は酒を飲まずに接客し、お客様のツケ払いは認めないという、非常識な方法でナンバーワンになった異色の人物。

「世の中には、2種類の男しかいない。俺か、俺以外か」
「上に行くと風当たりが強くなる。大変だけど、見上げる人生より見下ろす人生のほうがいいよね。下界は無風でしょ。」
「学歴は飛行機の座席。ファーストクラスは勿論快適に目的地に着くけども、着いてしまえば誰がファーストクラスで来たかエコノミークラスで来たかなんて分からない。 大事なのはその目的地でどう過ごすか。 ファーストクラスで来たからって幸せな旅行になるとは限らないからね!」

など、次々と“名言”を繰り出すことでも有名ですが、「ホストは言葉を扱う仕事だから」これで勉強していると、この動画で語っています。


私たちマーケターも、言葉を扱う仕事ですから。



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