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アシスタント徒然

 今回は普段のライティングノートとはまた違った記事を書いてみたいと思います。無料記事です。先日スポットでのアシスタントをSNSで募集したところ、ありがたいことに複数の応募を頂きました。そのうち4人ほど実際お会いしたのですが、それぞれできることや経験がバラバラでした。そこで今回はざっくり僕のアシスタントをしてくれている方がどんなことをしているのか、どんなことが求められているのかをお話します。

 あくまで須田の場合で、他のカメラマンによっては求められることが違います。車の運転やパソコン周りのセッティングは僕は自分でするので、カメラマンによってはそこもアシスタントがしたりします。特に車の運転は免許必須で募集される方が多い印象です。


◇アシスタントの服装

 カメラマンによっては必ずこの服を着ていかないといけないとか、頭にカラーヘアバンドをしなくてはいけないとかあるようですが、僕の場合はそこまで厳密な決まりはないです。動きやすく清潔感がある服装であればOKです。ただ、デニムは白いペーパーやホリゾントに膝をついて作業すると色が付くのでNGです。それと赤や黄色など色の強いものはモデルの目の中のキャッチライトに入りこんだり、光が反射して色被りしたりするので避けた方が吉です。無難なのはやはり黒などの暗い色味の服装です。

◇アシスタントの持ち物

 アシスタントが現場で常に持っていた方がいいものは、ペン、ハサミ、カッター、パーマセル、メモでしょうか。そのうち、ハサミ、カッター、パーマセルは須田の荷物に常にあるので持参しなくても大丈夫です。パーマセルは消耗品ですし高いですからね。。。ペンとメモは持参して、須田のライティングをメモるなり、現場で言われたことをメモるなりするときっと役立ちます。

◇アシスタントの現場での動き

□集合

 僕の撮影は主にハウススタジオかテレビ局が多いです。スタジオの撮影も多いのですがスタジオの場合はスタジオマンがいるのでアシスタントの仕事があまりないのです。ハウススタジオやテレビ局で撮影するときにはスタジオマンはいないので、機材の運搬やセッティングを全て自分たちでやらなければなりません。そこでアシスタントの力を借ります。

 まず撮影前日、もしくは数日前に撮影日の場所と集合時間をお伝えします。取材日とよばれる複数の媒体が時間ごとに撮影していく撮影は撮影時間が急に巻いたり(早まったり)押したり(遅くなったり)することが多いので余裕をもって来ていただけると安心です。僕は車移動で渋滞が怖いので大体30分から1時間くらい前には現場の近くにいたりします。

□搬入

 現地に集合したら機材の搬入です。テレビ局の場合は入館証を受付で先にもらっておいてもらうこともあります。駐車場がある場所は駐車場集合でそこから台車で荷物を運び、駐車場のないところは荷下ろしできるところで先に機材だけ下ろして車を外部パーキングに停めに行く間機材を見ていてもらいます。

 その後、大体の場合クライアントと合流し、撮影場所まで移動します。クライアントが機材を一緒に持ってくれることもありますが、好意に甘えず、極力須田とアシスタントで持ちたいところです。

□設営

 撮影場所についたら機材の設営です。ハウススタジオの場合は一旦中をロケハンしてどこでどういう順番で撮るか須田が考えます。それに合わせてセット指示を出すので一緒にライトをセッティングします。テレビ局の場合は背景紙を使っての撮影が多いので、どこに背景を立ててどの向きに撮るかを考えます。

 次にやることは電源の確保です。ハウススタジオはコンセントがどこにあるかを確認、テレビ局の場合は取材撮影用の電源がどこから引かれているかを確認します。

 そして機材のセッティングです。須田の指示に従ってライトをセッティングします。アシスタントの力を特に借りたいのは背景紙スタンドを上げる作業です。上手(向かって右)下手(向かって左)のスタンドを同時にあげないと垂れ下がった背景紙が寄れて折れてしまうので同時に息を合わせてあげます。上げたらスタンドのネジを締めて固定します。この固定が弱いと撮影中にスタンドが落ちてモデルに当たる危険性があるので硬く締めます。

 設営で守らなければいけない一番大事なことは安全性の確保です。
電源コードに人が引っ掛かりやすくなってないか飛び出た機材に人が当たる危険はないかライトスタンドが倒れる危険はないか。どういうライティングを組んでいるか見て学ぶ前にまず安全が確保されているか確認するのが最も大事です。

□スタンドイン

 設営が終わると露出を図ったり、カメラとPCの準備をしたりします。多くのカメラマンの場合、この作業もアシスタントがすることが多いですが、僕は自分でします。ライトを微調整したり、光量を変えたり色々していますが、何をしているのか聞いてくれれば全てお答えします。

 大体の準備が終わったらいよいよテスト撮影です。アシスタントがモデルの立ち位置に立ってテストを撮ります。これをスタンドインするといいます。なるべくモデルになりきりましょう 笑

 すべてのセッティングが終わったら僕に断りをいれてよきタイミングでライティングセットの写真をスマホで撮っておいてください。ご自身の復習にも。

 □撮影

 すべての準備が終わるといよいよ撮影です。撮影中は芸能人が目の前にいるのでついついそちらを見てしまいがちですが、アシスタントが見るべきはそこではありません
 すべてのストロボがきちんと飛んでいるか(音や発光しているか目視で確認します)、クライアントやヘアメイク、スタイリストがライトとモデルの間に入っていないか(ライトが遮られ影になります)、ピントや露出はあっているか(PCに飛んでくる画像をみて確認します)などカメラを覗いているカメラマンが見てないところをケアするのがアシスタントの仕事です。

 あと、撮影の流れの中で床に座ったり、椅子に座ったり、小道具を入れたりする場合があります。その場合は椅子や小道具を途中で入れてもらったり、モデルの高さが変わったらライトを下げたりします。このときは安全のために一旦モデルに立ち位置を離れてもらってから作業します。

 撮影後、クライアントやモデルの事務所の方が何か気になることを言っていたりしたらこっそり教えてください。

□撮影後

 撮影が終わったら速やかに撤収します。取材日は同じ場所ですぐに次の媒体が準備をする場合もあるので、場合によっては邪魔にならない場所に機材を移動してそこで片づける場合もあります。機材は必ず出した場所に入っていた状態で戻すことを守ります。なので、設営の段階でどこに何が入っていたか覚えましょう。覚えられなければスマホで写真を撮ってもOKです。

 人が引っ掛からないようにコードなどをパーマセルで床に止めていたらそのテープのゴミも忘れずに回収します。

 撤収中、横でインタビューをしている場合もあるので、なるべく静かに片づけます。音の出るマジックテープを使った機材などはインタビューが終わったあとに片づけるか、現場の外に出て片づけます。

 この時も背景紙の片付けがアシスタントの力の見せどころです。上下でスタンドを同時に下ろすのですが、それと同時に垂れている背景紙を巻かないとたわんで皺になります。息を合わせて頑張ります。

 あとは搬入の逆で車に運びます。

◇解散後

 解散後はLINEでその日の撮影セットの写真を送ってください。アシスタントをしてくれる方の中にはセット写真に光量や役割を書き込む方もいれば、文章で撮影の流れや気が付いたことを書いてくれる方もいます。

 最後に月末にその月の請求書を僕の会社宛てにPDFで結構ですので送ってもらって完了です。

◇まとめ

 ざっくり書きましたが以上が僕のアシスタントをしたときの流れです。
細かい諸々はきっとアシスタントをしていく中で沢山出てくると思いますが、分からないことは聞いていただければなんでも答えます。(分かれば)そして失敗は隠さずすぐに教えてください。時間が経つほど取り返しがつかなくなることの方が多いので。

 僕は現場は楽しくいいものを作りたいと考えています。なのでアシスタントにも緊張感は持ちつつも楽しめる現場であって欲しいと思っています。

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