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アメリカのローカルコミュニティと起業家精神についての話

少し前の話になりますが、「Propelify Innovation Summit」という、今年3年目の開催となるTechnologyとEntrepreneurshipのイベントが、自宅から徒歩15分のHobokenという場所で開催されるというので行ってきました。HobokenはNYからハドソン川を渡ってすぐという好立地ながらブルックリンほど観光地化されておらず、大学と住宅街が連なる静かな町です。ゴミゴミしていないし、関西でいうなら奈良、関東でいうなら埼玉という感覚でしょうか・・?(確証はありません!)マンハッタンのど真ん中ならまだしも、落ち着いた住宅街で開催されるイノベーションサミット。しかもキャッチコピーは「東海岸のSXSW」。ほんまかいなと思いながらも、ちゃっかり参加してみました。

当日はあいにくの雨。会場はHoboken駅近くの広場。広場には2つのステージ、30社ほどのブースと、カフェ、ネットワーキングスペースで構成されたこじんまりとした空間。来場者は2,000人強という感じでしょうか。雨の中でも熱気のある会場を歩いて回りました。とてもSXSWのようには見えませんが、時間をかけて1つ1つの展示やセッションを、じっくり見ることが出来ました。

率直な感想を言うと、展示はそこそこ。スタートアップ、行政、NPO、大学など様々な組織が、事業のコンセプトや研究成果について発表していました。展示以上に面白く、わくわくしたのはパネラーによるセッションとキーノートスピーチでした。特にテンションがあがったのは、以前こちらのNoteでも紹介した100億円もの事業規模を誇るレンタルファッションのサブスクリプションサービス「Rent the Runway」FounderのJennifer Hyman!!こんなところで会えるとは!写真以上に美しいっす。

冒頭、Rain is an entrepreneur’s best friend because it weeds out the people who are not determined (雨は起業家の親友です。何故なら決心がない人をその場から遠ざけるから。)というクールなフレーズからスタートしたセッションでは、彼女が学生中に何故起業家を目指したか、どんな失敗があったか、どんな風に資金調達したかという具体的で泥臭い話をしていました。まさに起業家のためのイベント、という雰囲気で、飾らないスタイルが印象的でした。

他のセッションを見渡すと気づくのが女性登壇者の多さ。参加者も約半分が女性です。そもそもHobokenは人口5万人程度の小さな街。NYに近いとはいえ、世界中からスタートアップが集まる街ではありません。その街で開催されたお祭に2000人を超える参加者が集まっており、更に年齢、性別、人種も様々。日本でいう「意識高い系」のような雰囲気は全くありません。
話す内容も「仲の良い友人を雇った後に経営が悪くなり、給料を払えなくなった時に友人関係もなくなってしまった。友人を雇う時は気をつけて。」など当事者目線での対話が続きました。

もし、もしですよ。これが私の地元、奈良県の生駒(人口12万人ほど)で開催されたら。そこにいる地域の起業家は確実にネットワーキングされるし、地域の若者もセッションの様子を見てエンゲージメントを高められるでしょう。そういう地域のサイズにあったイノベーションフェス、という雰囲気が逆に新鮮に感じたのです。

このイベントは全米規模のイベントか?と聞かれたら答えはNO。ここから世界に広がる革新的なサービスが生まれているか?も、今のところNO。でも小さな町でも濃密な起業家イベントが開催されて、そこにいる人が繋がったり助けあったりすることが出来ている。
そして恐らくHoboken以外でも各地でこのようなイベントが開催されている。起業家マインドとそれを受け入れる国民性、挑戦と変化を受け入れる姿勢、これこそがアメリカの強さなのではないかと改めて感じました。

(市長が登場。初のインド系Hoboken市長さんです。)

(セッションの途中にはライブが。酒と音楽とプレゼン!!)

(朝からみんな酒を飲み、ホットドッグをかじります。)

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