Googleの取組から考える、社員と企業の新たな関係と可能性について

実はアメリカにくる以前、よく周囲からこんなアドバイスを受けました。

「アメリカはワークライフバランスの国だから。仕事とプライベートはきっちり分けてね。」
「日本みたいに飲み会とか休日の付き合いとか、やりすぎたら駄目だよ!」

はいはいはい。確かにそんなイメージあるわ。みんな5時に帰って、家族とディナーなんでしょ。「フルハウス」はそうやったもんね。仕事と家族は分けて、みんなお互いドライな関係なんでしょ、と。わかってるよはいはい。


渡米前にイメージした、アメリカ人のアフター5


でも、来てびっくり。
(人や職場環境によると思いますが、)全然そんなことありませんでした。


そもそもLinkedInみたいなSNSがあって、社員がめっちゃ会社のニュースについて休日でも発言するし、会社でもしょっちゅう社員を集めて、パーティやイベントやるし(今日はミレニアル!今日は女性むけ!と色々やってる)、NYに行けばコワーキングスペースどころか「コリビングスペース」まで出来て仕事場と住処が一緒になったようなサービスまであるし、WeWorkの創業者なんて、「愛を中心に、仕事と世界と家族をつなげるんだ...!」みたいな壮大なDREAMをぶち上げてる。

↑WeWork 創業者のMiguel McKelvey氏


ちょっとみんな、仲、良すぎでは?
「仕事とプライベートは別!」じゃないの??


というのが働き始めた頃に、特に感じた印象です。思うに、周囲の方が言ってたことが嘘なわけではなくて、引き続きワークライフバランスというのは社会生活において大切なものであることに変わりはないのでしょう。でもそれに加えて、会社と個人の境界を無くして、みんなが「良き仲間」「良き友人」「良き同僚」でありたい、というマインドが、特に若い会社を中心に広がっているように思います。(※当社が完全にそうかというと、ひょっとしたらまだまだなところはあるかもしれません。周囲のスタートアップの雰囲気なんかも見ながら、発言してます。)


そんな組織で働く人たちの意識の中には、終身雇用でないからこそ、


「今の組織にいるうちは、この場所にしっかり貢献したい」
「この会社に寄り添って評価されることが、転職する時の自分の価値を高める」

という想いを強く、感じます。「ずっと一緒にいないからこそ、今はしっかり貢献したい。」というのは日本人からすると、少し不思議な感じでしょうか。「長く勤めることがロイヤリティ、辞める人は薄情者」だと、思う人もいるかもしれません。だからこそこの差に、渡米直後の僕は少なからず衝撃を受けました。これが、

こんなに強い想いとやる気に溢れた社員に対して、会社は今まで通りの関係を続けていていいのかな?

という疑問を持つきっかけになりました。


そんな時に見つけたのがGoogleにおける黒人女性の多様性確保に向けた一連の取組について。少し前の話ですが、GoogleのValeisha Butterfieldさんは、同社の女性と黒人コミュニティエンゲージメントにおけるグローバル責任者(Global head of women and black community engagement)という立場に就任しました。日本ではあまり馴染みのないニュースですが、この内容を理解することが、これからの会社と個人の関係を考える上で重要だと思ったので、記事を抜粋・翻訳して紹介します。

Google幹部のValeisha Butterfield 氏は、テクノロジー業界における、ダイバーシティ&インクルージョンの拡大を次なる次元へ引き上げるべく新たな役職を得ました。彼女はコミュニティエンゲージメント、多文化マーケティング、そしてコミュニケーションストラテジーの専門家、また同社の女性幹部として、黒人コミュニティエンゲージメントのグローバル担当に昇進。この役職により、彼女は同社をさらに多様性に富んだ企業文化に変えていくための、体系的で測定可能な変化を促していく責任を持つようになりました。また、採用とリテンションにおいて、女性とアフリカ系アメリカ人が平等な機会を持てるよう、グローバルで施策を主導します
彼女は39歳で、2016年に黒人コミュニティのエンゲージメントの責任者としてGoogleに入社しました。そこで、彼女はダイバーシティ&インクルージョンの戦略策定と実践に乗りだしました。勤務している間、彼女は黒人グーグラーに社内でプロモーションするためのステップを教える「デコーディングリーダーシップ」シリーズを含む様々な手助けを行い、彼らを昇進させるためのイニシアチブを執りました。
テクノロジー産業は、いまだに差別と偏見に満ち溢れています。このような先進的な取組の一方で、Googleは女性社員への不当な支払い慣行に関する連邦政府の調査の下で訴訟に直面していますし、数週間前には、世界最大のテクノロジーショーであるCESにおいて、多様性の欠如が問題視されたばかりです。多様性の拡大には、まだまだ時間と努力が必要とされます。

(全文はこちらから。)

つい最近まで僕はこの女性のことを知らなかったのですが、会社の黒人女性の同僚が彼女ファンということで、彼女のことを熱く語ってくれて、興味を持ちだしました。その中でGoogleなど幾つかの多国籍企業には、差別や偏見を持たれる対象(有色人種、女性、外国人、障がい者など)の権利を確保し、多様性を進めるための担当役職が存在すること、その人が対象の社員をエンゲージするためのイベントを企画したり、人事制度を立ち上げたり、会社の幹部に対して多様性の拡大を進める提言をしたりすることを仕事にしているということです。

自分をとりまく困難は、自らが声をあげ、周囲に働きかけて解決する
これは多様性の国アメリカならではの取組かもしれませんが、日本企業にも差別や偏見に苦しむ当事者が、企業内の多様性を広げるための役職を持ち、その声をしっかり経営者に届けることが出来れば、企業文化を良い方向に進められるのでは...と考えるきっかけになりました。

この取組において、企業と社員の関係を振り返ると以下のような感じになるのではないでしょうか。

社員は、社会的弱者の代表として組織を変え、本人が生きやすい社会を作る。
企業は、社員の提言にあわせて会社を変え、社員の能力を最大発揮できる組織を作る。


余談ですが、「社員の声を経営者に届けられる企業」「社員の顔が分かる企業」みたいな発信って、日本では採用を目的として行われることが多いように思います。「採用ブランディング」という言葉がバズワードになっている?のか、最近「顔を見える会社にして、採用ブランディングにつなげよう!!」という記事やイベントをよく見るし、それ自体は大事なことだと思います。

ただ、もっと視点を高くして、「個人と会社はどんな関係と作りたいのだろう?」と経営者と社員が考えて対話することで、関係を作ることが大切で、採用ブランディングというのはその一環かな~と思ったりしています。

ではでは、またお会いしましょう。

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たくみ@ニューヨーク駐在

1987年生まれ、奈良県出身。2017年よりNew York近隣で仕事をしています。関心を持った英語記事の翻訳や、現地で見つけたユニークな店舗の紹介などをしています。
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