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思考のピボットとBTC人材

世界的なデザインコンサルへのオフィス訪問

とあるご縁から招待をいただき、IDEO NYのオフィスを訪問して来ました。IDEOはシリコンバレー発祥のデザインコンサルティングファームで、「デザイン思考」の概念を確立した巨匠ティム・ブラウンにより創設され、日本でも青山に拠点を持つ世界的なファームです。NYオフィスはSOHOにあり、グループ企業の「kyu」・「SY Partners」の三社が一拠点にオフィスを構えていました。

実はこの3社、いずれも博報堂のグループ会社なんです。博報堂が北米進出をすべくkyuを作り、kyuがSY PartnersとIDEOを傘下に持っているという感じです。(詳しくはこちらをどうぞ。)

オフィスとは何なのか?わからくなるような美しい造り。1枚板のテーブル、キッチン、プロトタイピングのための工作室で構成された、職場というよりもカフェのような環境。奥には勿論、個人のデスクがあります。

デザインコンサルティングファームの多様な活躍

NYでは恒例となりつつある華やかなオフィス訪問が終わったあと、各社の事例紹介になりました。興味深かったのは、SY Partnersの事例。IDEO(戦略立案・事業創出が得意)に対して、SY Partnersは職場環境改善・風土改革に向けたコンサルティングを得意としており、デザインの力を使って、企業のカルチャーや職場環境を改善すると言います。

ケースで紹介していたのはアパレル大手Ralph Laurenでした。曰く、Ralph Laurenは創業者ラルフ・ローレン氏により1967年にNYで創業された企業。創業者はまだご存命で、社内でもカリスマ的な存在だそう。ただ世代転換を図る必要があると考えた経営陣が、大手消費財メーカーなどから幹部を引き抜いたことが社内の確執に繋がったと言います。

創業者を慕う昔からの社員と、最先端の経営を行おうとする幹部との確執を埋めるために彼らが使った手法が、トレーディングカードを使ったコミュニケーション。社員を2種類に区分するのではなく、考えの根幹にある「ビジネスにおいてその人が大事にしていること」を20種類の「SuperPower」と定義し、ひとり一人の特性と、意思決定の裏側にある考えを探る形でのワークショップを通して、職場の課題を解決していったそうです。

「Superpower」カード。実際のコンサルに使ったものとは違うデザインということでしたが、お土産としていただきました。

問題解決に必要な、クリエイティブの力

従来の経営コンサル領域からは少し外れたような人事・風土テーマも同社は手掛けていること、更にその親会社は、日本の広告代理店の博報堂であることからも、従来の業種を超えた事業参入・市場の再構築が進んでいる様子を感じました

デザインは商品やサービスの開発に直接的に影響を与えるだけでなく、会社の経営や企業風土にもダイレクトに関わっていて、またその取組をコンサルティングファームとしてクライアントに提案しているということに、一言では理解しきれない世界の変化を感じた次第です・・・!

ある人は、次世代の事業に必要な人材は、B(ビジネス)T(テクノロジー)C(クリエイティブ)の3領域を理解できるBTC人材だと言います。これまで自分自身が存在していたビジネスの領域から越境し、複数の問題解決の手法を知ることで多面的なものの見方があることを理解すると共に、それぞれの専門知識を学ぶだけでなく、その背景にあるものの考え方を知り、思考のピボットが出来るように、学んでいかなくては!と思いました。

BTCモデルでは、技術とクリエイティブが分かる人材をDesign Engineer、ビジネスとクリエイティブが分かる人材をBusiness Creativeとし、この2領域が日本では特に不足しているとされています。

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