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日本では殆ど見かけない?アメリカで密かなブームを迎える「缶ワイン」とは

以前、何気なくつぶやいたツイートに大きな反響が寄せられました。

nomadicaというブランドのついた缶ワイン。185mlというグラス一杯分程度の缶でスパークリング、ロゼ、赤、白など様々な種類のワインが売られていました。この缶を見つけたのは、マディソンスクエアガーデン横のデザインホテルの中に入っていた、おしゃれなセレクトショップ。

「缶詰にされたワイン」という意外性と可愛くデザインされたパッケージを見て、思わずつぶやいたツイートは3,000 RT・6,000 Likesを超え、今も多くの方に拡散をいただいています。そもそも日本では殆ど耳にしない缶ワインという商品。今回のツイートをきっかけにどうも気になり、マーケットや商品の魅力について、リサーチをしてみました。
最後に仲間集めもしているので、興味があれば読んでみてください。

目次
・そもそも缶ワインってどんな市場?
・nomadicaっていったい何者?
・日本でもし缶ワインを売るならどうする?

そもそも缶ワインってどんな市場?

ニールセンのレポートによると、缶ワインがアメリカ市場で関心をもたれ始めたのはここ最近のようですが、直近の数年で大きな成長を遂げています。

この発表の後、2017年度の売上は3,200万ドル(約36億円)と発表されました。まさに倍々ゲームで市場自体は伸びていると言えます。

ただ市場を席巻しているかというと、そこまででも無いようで、

こちらのグラフの左端の数値が示す通り、米国のワイン市場全体に占める缶ワインの割合はわずかに0.2%と、極めてわずかです。この状況に対して、ニールセンと、ワイン専門メディアのVinepairは以下のように述べています。

熾烈なワイン市場では、パッケージデザインが重要な購買要因となっています。 2016年に缶ワインの市場性が見直され始めましたが、それでもガラスの瓶が依然としてワインの総売上高に占める割合(73%近く)を占めていることは明らかです。しかし、缶ワインや紙パックのワインなどの代替商品のデザインが注目を集めており、著しい成長を遂げていることも事実です。
最近の調査では、ワインを飲む人はピクニック、フェスティバル、バーベキューなどの屋外イベントでは缶ワインを好みます。ワイン生産者は顧客をすみ分け、代替パッケージを好む客への購買を促進させることで、安定的な成長を図ることが出来ます。(ニールセンより。翻訳の上、引用)
缶ワインの最大の利点は、その手軽さです。缶のサイズは消費者が平日に飲むアルコールの量や、輸送の手軽さ、そして冷やしやすさの全てにおいて理想的です。缶のワインが氷の入ったバケツに突っ込まれていたら、ついつい手に取ってしまうのではないでしょうか。気を付けないといけないのは、375mlの缶はワインボトル(750ml)の半分に相当するということです。生産者は缶ワインを気軽なクラフトビールのように見せようとしますが、良いアプローチとは言えません。消費者がアルコールの消費量を見失わないようにするために、さらに少量のサービングが好ましいと言えます。(Vinepairより。翻訳の上、引用)

このように、「注目度は高いんだけど、まだブームを迎えているというほどでは無い」アメリカの缶ワイン市場。しかし、ニューヨークの酒屋さんを回ってみると、各所で缶ワインが売られているのを見つけました

これ、だいたい殆ど缶ワイン!!

Trader Joe'sでは、商品棚1つまるまる缶ワインが陳列!

マンハッタンを回って訪れた15件の酒屋さんのうち、12件は缶ワインを扱っていました。意外とちゃんと取り扱われている!今まで足しげく酒屋さんに通っていても、なかなか気づかないものですね。

nomadica っていったい何者?

クラフトビールのように沢山の種類がある缶ワインですが、その中でも特にnomadicaがとても気になっています。

まずInstagramの世界観がとても良い。「ワインはバーやレストランで椅子に座って飲むもの」というステレオタイプに対して、缶ならピクニックでもプールでも、何処にも持っていける。「NOMAD」が含まれているだけあって、場所の制約から取り払われるようなメッセージ性に惹かれます


次に生産者、アーティストとの関係。缶の裏側にご注目ください。

ワインラベルの裏側に、生産者と、ラベルデザインをしたアーティストのInstagramアカウントが書いてあります。Webサイトを見ると更に詳細が。

更にこのジャケットの絵、ウェブから買えます!

アーティストとワイナリーを組み合わせ、オリジナルブランドを作り上げている様子について、メディアでも以下のように取り上げられています。

nomadicaは、ストリートアーティストによってデザインされた缶ワインを作ることから始めた。彼らはぶどう畑を所有しておらず、代わりにワインメーカーと協力して、特定の品種を買い付けている。これらのコラボレーションによってコストを低く抑え、世界各地から多種多様なワインを販売することを可能にすると言う。 187mlが5ドル、250mlは6から7ドルで流通されている。(記事翻訳の上、引用。)

ラベルの美しさもさることながら、生産者・アーティストと共にメッセージ性のある商品を作っていることも、魅力の1つなのではないかと思います。

日本でもし缶ワインを売るならどうする?

「nomadicaのワイン、日本で売れば結構売れるのでは...」と思っていたところ、既に友人がリサーチ済でした。ただ、(ここでは書かないけど)条件的に少し日本で売るのは難しそうだ...ということが分かりました。

じゃあ自分たちで缶ワインを作れないのか!?という謎(笑)のモチベーションで調査を続けていたところ、オーストラリアの企業が缶詰の特許を日本で持っており、国内では誰でも作ることが出来るわけではないことが判明。ではもし製造部分はまるっと特許の保有先に委託するとしたら、どんなユニークな商品作りが出来るだろう?差別化出来るものって、ラベルのデザイン程度しかないのでは...。

ここでふと、AwayとGlossierという2つのブランドを思い出しました。どちらもD2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー、流通を挟まずにECなどを使って商品を直接ユーザーに販売する、小売製造業)として、アメリカで話題の企業です。

例えばAwayは旅行カバンの製造、販売をしているのですが、自社のことをカバンメーカーとは呼ばず、「旅をプロデュースするブランド」としてPodcastで旅のプランを紹介したり、雑誌を発行したりしています。特に旅雑誌「HERE」は、インテリアとして部屋に飾りたくなるような美しい仕上がり...。我が家にも飾ってあります。

差別化について簡単にまとめてみると、以下のようなイメージ。カルチャーブランドになることは、商品に機能や価格だけで無い、世界観やコンセプトといった付加価値をつけることが出来、とても面白いアプローチなのではと考えています。

この缶ワインも「気軽に持ち運べる」「少量で、酔っぱらわずにおしゃれに楽しめる」「ワインを野外で味わえる」などの魅力は、カルチャーブランドとしてブランディングするにあたってのポテンシャルが猛烈にあるのでは...!?と思い、実は気の合った仲間と、いそいそと企画を進めています。

すぐに大きなことが起こるわけではないけど、何かしら面白い形に進めばいいな。特に生産側の折衝、ワインの輸入、日本での販売について知識のある方、良かったら力を貸してください...!!!

まとめます。

缶ワインは2015年以降、倍々ゲームで成長を遂げ、現在36億円超の市場。ただし、アメリカのワイン産業全体の1%未満にとどまっている。
ラベルを凝ることによる見た目の可愛さと、ピクニックやフェスなどにおける持ち運びの手軽さ。更に少ない量で飲み切れることが人気の原因。
日本では特許の課題などもあり、アメリカ以上に缶ワインの商品が無い。ただし、「ワインを気軽に楽しめる」「写真映えが良い」「外に持ち運べる」など、若者のニーズにあった価値を活かして、魅力的な商品を作ることが出来るのでは?その時にはコンセプトをしっかりもったカルチャーブランドとしてブランディングすることが大切だと思う。

記事にする前の気づきを日々、呟いています。


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