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米国は各都市がそれぞれの分野で世界と戦っているという話と、我らが関西の話

目次
・アメリカの各都市の特色と、得意な産業についての話
・日本は東京一極集中で、地方に対抗馬がないのではという話
・関西は実は世界と戦える都市なのではという話

実は出張族で、アメリカ各地にうかがう機会があります。ラスベガス、サンフランシスコ、デトロイト、LA、ボストン、オースティン、一度だけカナダのモントリオールなど。各地に行く度に思います。「もはや別の国やな。」と。
アメリカは国土が広いので当たり前かもしれませんが、気候だけでなく文化や街の雰囲気自体が大きく違って見えます。これは産業にも言えることで、アメリカのテックブームはシリコンバレーだけで起こっているように報道されているかもしれませんが、実は地域に特性があり、産業もまたばらけているような印象です。Amazonはシアトル、WeWorkはNY、通信最大手のAT&Tはテキサス、Walmartはオレゴン、P&Gはオハイオ、Coca Colaはアトランタに本社があり、どれだけ拠点が分散しているかは、以下の地図を見ていただければわかりやすいと思います。

(出典:Fortune500 トップ企業本社の位置(円の直径は売上高の大きさ))

地域特性でいうと、NYはまさにアート・ファッションのメッカに見えます。ボストンはバイオテクノロジー、デトロイトは古くから自動車、LAはハリウッドがあるから映画、シリコンバレーのお膝元サンフランシスコはソフトウェア・サービスといった感じでしょうか。各地がそれぞれの専門性を持って世界と戦っているように見えます。サンフランシスコの友人曰く、中国人やインド人のエンジニアがシリコンバレーでサービスを作り、地域の中で成功して、投資がある程度集まったら、次なる展開はインドか中国になるそうです。アメリカ内で拡大させる気がそもそもなく、母国に持って帰ってスケールさせる。だからアメリカの中でもサンフランシスコの人しか知らない新サービスとか、結構あるような印象です。言われてみたら、ファッションもそうですよね。NY・ミラノ・パリにトレンドが集まるわけで、北米全土にハイブランドを最初から展開させる必要はないのかもしれません。

(出典:Grist.org

一部の大都市に産業が集中するようなイメージは、日本で育ったからこそ、持ってしまうのかもしれません。日本ならまず、東京で成功するか否か。(地方発の場合は、創業の地で成功してから東京へ持って行く。)その後、大阪、名古屋、福岡、札幌、と各地へ展開して、日本中を制覇できたら海外進出、というイメージを少なくとも自分は持っていたので、最初はこのギャップに大きく驚いた次第です。
そう考えると産業規模に関して日本は東京と、それ以外の都市で差があり、東京以外の都市には、アメリカの各都市のそれほど、大きな産業の特色が無いのではないかと感じています。自分は関西出身だし、勤務先が大阪のエレクトロニクス企業なので、大阪のモノづくりについては最低限の知識は持っていると思いますが、それを都道府県ごとに言えるかというと、うーん・・・ちょっと自信がないです。

東京一極集中を強く感じるのが外資企業の日本進出です。ほぼ全ての大手外資企業の日本本社が東京にあります。GAFA(Google・Amazon・Facebook・Apple)は勿論、Microsoft、IBM、金融もコンサルもメーカーもアパレルも東京に集中しています。思いつくのはネスレとP&Gが神戸にあることなどでしょうか。他にあれば、教えてください。いま東アジア各地で深セン、上海、ソウルなど個性ある都市が成長している中で、もし「東アジア進出したいけど、東京じゃないねんなー。」となってしまえば、中国・韓国に行ってしまうのではないでしょうか。日本には、世界と戦える東京以外の対抗馬が無い。関西出身としてはそれが残念でなりません。

数年前になりますが、日本市場が伸ばせないP&Gはアジア本社を神戸から、シンガポールに移設し、日本人幹部も去ったというニュースもありました。
P&Gで人事に大ナタ、問われる日本の存在感

ではどの地域が、どの領域で、世界と戦うのか。少し妄想してみました。
(ここからは、完全にわたしの妄想です。)例えば京都、どうでしょう。圧倒的な世界遺産・国宝の山だし、文化庁移設があるからカルチャーむちゃ強いな。更に任天堂、ROHM、村田製作所とか世界で活躍するテクノロジー企業あるからR&Dから量産まで強みあるよな。あと大学の数、異常に多いし、東京に比べて就職先絞られてるから若い頭脳を獲得しやすいかもな。実はソフトディバイスのように、UI/UXの開発をデザイン思考ブームの前からやってたデザインファームたくさんあるから、ユーザー中心設計のプロも多そうやな。。実はめっちゃポテンシャルありませんか?京都。

次は神戸。神戸考えてみよ。神戸ITフェスが開催されるくらい、IT・ソフトウェア開発の層が厚いな。あと上記にもある通りネスレやP&Gなど世界的な外資企業が東京じゃなく、神戸に本社を置くくらい国際色しっかり出てるな。078.kobeみたいなSXSW的イベントが開催されるくらい、テクノロジーと市民の距離が近いし。震災を乗り越えただけあって、市民の繋がりと業界専門性の横串が通っている神戸すごくないですか?元々自分が、TEDxKobeのスタッフを2年間やっていたので、その辺り自信ありです。

次は大阪。大阪どうやろ。東大阪の町工場の技術あわせてロケット作ろうとしていたし、製造業では今もシャープ、パナソニック、ダイキン、キーエンス、クボタと世界的なメーカーが大量にあるな。吉本がNetflixと提携してお笑いカルチャーを世界に出していこうとしてるし、食文化で見てもうどん、お好み焼き、懐石料理と庶民料理から高級料理まで幅広くあるし、何より住みやすい街世界第3位。経済規模がしっかり整っているのに物価が安くて住みやすい大阪。最高じゃないですか?

・・・ということでアメリカに住むほど、日本のすごさ、地元のすごさについて考える日々です。東京のように全ての領域でトップにならなくても、「アジアでこの分野なら、この都市がナンバーワン」と行った感じで目指す領域を明確にしてタレントを集めることが大事なのでは、とアメリカを見ていて思います。
これから多くの外国資本の企業がアジア進出すると思いますが、その時にアジア各地の街の中から、東京じゃない日本の街が選ばれたらすごく面白いと思うし、将来そんな仕事に携われたらいいなと思う日々です。(将来帰国した時に東京のラッシュアワーに巻き込まれて働きたくないというのもあります。。)

Noteに書く前にTwitterでも幾つか呟いているので、覗いてみてください↓


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