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焦点距離で表現は変わる -レンズの選び方-

みなさんこんにちは、シオタニです。
今回は表現と焦点距離について書いていこうと思います。
早い話が「何の為にズームするのか」という話です。なんだか哲学的な問いに見えてきました。広角から望遠にズームすることで、どんな風に写真が変化するかを見ていきたいと思います

焦点距離とは

レンズに書いてある〇〇mmという表記のことです。この数値で写せる広さ、つまり画角が決まります。〇〇の中に入る値が小さいほど広く、大きいほど狭く写せるレンズということです。
一般的に、24mm以下を超広角、24-35mmを広角、35-70mmを標準、70-100mmを中望遠、100-300mmを望遠、300mm以上が超望遠と言われている焦点距離になります。単焦点レンズの場合は、この焦点距離が1つで固定です。ズームレンズの場合は18-55mmのように、変化させることのできる焦点距離が決まっています。
多くの人の認識としては、広角は広く写すもの。望遠は遠くのものを大きく写すもの。と行ったものではないでしょうか?確かにそれは間違っていません。しかし、その認識で撮影を行うのはもったいないです!

なぜズームするのか

ここから本題に入っていきましょう。なぜ焦点距離を変えるのか。なぜズームするのか。それは写真の写り方が変わる為です。更にいうと、強調される部分が変化するからです。
言葉では分かりにくくなってしまうと思いますので、実際に画像を見ながらご説明します。今回比較する写真は15mm、24mm、50mm、135mmの4つです。f値は全てf2で撮影しました。

15mm


24mm


50mm


135mm


いかがでしょうか。人物の顔が同じ大きさで写るように撮影しました。被写体の前景、後景が変化しているのが分かるでしょうか?小分けにして説明したいと思います。

広角レンズ(15mm, 24mm)

広角レンズでは遠近感が強調された写真を撮ることができます。手前のものがより大きく、後ろのものはより小さく写るのが特徴です。右側の家に注目していただくと、手前側から奥に向かって小さくなっていくのが分かると思います。これがパースと言われる効果です。この効果のおかげで、広角レンズではインパクトのあるダイナミックな写真が撮れます。

また、被写体の前後が広く写る為、ストーリーのある写真を撮ることもできます。
望遠レンズでは背景が狭く、どこで撮影したのかわからない写真になることもあります。広角レンズでは背景を巻き込んだ写真が撮影できるのが面白いポイントです。被写体を引き立たせるための背景選びを楽しむことができます。

しかし、背景が広く写るということが弱点にもなります。背景に無駄なものが入り込みやすいのです。これが広角レンズが難しいと言われる理由ですね。他にも背景がボケにくいため、被写体と背景を分離しにくい。被写体が歪むなどの弱点があります。個人的には、その弱点を補って余りあるインパクト、爽快感のあるレンズです。まとめると。

メリット
・前景、後景を広く写せることで撮影地を活かした撮影ができる
・遠近感を強調した、インパクトのある写真が撮れる
デメリット
・背景に無駄なものが入らないよう注意が必要
・背景がボケにくい
・被写体の顔が歪むため、接写に不向き

といったところでしょうか。

標準レンズ(50mm)

標準レンズは人が見ている画角に近いと言われています。広角レンズの写真と比べるとかなりパースが落ち着いてるのではないでしょうか?そのため非常に汎用性の高い画角になります。ほどほどのパース効果があるおかげで、広角レンズ風に撮るとこもできれば、ぐっと寄って望遠レンズ風に撮ることもできます。まさに万能な画角なのです。

今回用いた50mmという画角はザ・定番の標準レンズです。人が何かをジッと見ている時の画角と言われています。そのため、「世界の一部を切り抜く」ようなイメージで撮影してます。視線を集中させたいものだけを切り抜く感じです。また汎用性が高いため、多様な表現が可能なレンズでもあります。まさに、1本だけ選ぶならこのレンズ。そんな感じです。

この標準レンズの弱点は、汎用性からくる器用貧乏さです。人間の画角と近いということは、インパクトが弱くなりやすいということでもあります。広角レンズでは、撮っただけで人間が見れない世界を見せてくれます。しかし、標準レンズではそうはいきません。工夫無しでは良い写真が撮れないということです。
かくいう私も、このレンズに撮らされている下手くそです。精進していきたいと思います。まとめると

メリット
・人の目に近い画角で使いやすい
・汎用性があり、多様な表現が可能
デメリット
・インパクトが薄い
・良い写真を撮るには工夫が必要

という感じになります。

望遠レンズ(135mm)

望遠レンズで撮った写真は、広角、標準と比べて木々が密集しているように感じませんか?これは望遠レンズの圧縮効果によるものです。広角レンズとは真逆の効果で、近くのものと奥のものが似た大きさで写るようになります。先の4枚の写真を、電柱に注目して見直してみてください。焦点距離が大きくなるにつれ、電柱も大きくなっているように感じませんか?

圧縮効果により、繰り返すパターンを強調することができます。特に、スカスカの並木でも、望遠レンズを使えば所狭しと木が並ぶ並木道に早変わりです。このように背景の情報量を増やすことができるのも望遠レンズの特徴です。
他にも、背景がボケやすいため、被写体と背景の分離がしやすい。背景が狭く写るため、背景の整理がしやすい。といった長所があります。

その代わりに、かなり使う場面を選びます。被写体から離れないと使えないレンズですから、前後が広い場所で有効です。また、広角レンズは広さを、望遠レンズは奥行きを表現しやすいという特徴があります。そのため、背景の奥にストーリーを持たせると良い写真になりやすいです。僕は道など、奥に続いていくものがあるところで使うのが好きですね。

メリット
・圧縮効果で背景の情報量を増やすことができる
・圧倒的なボケ
・背景の整理がしやすい
デメリット
・使う場面を選ぶ

といったところでしょう。

まとめ

いかがだったでしょう?焦点距離によって特徴があるのがお分かりいただけたでしょうか?
より広く撮りたい、より大きく写したい。そう思ってズーム、レンズ交換で焦点距離を変えるのは間違ってません。しかし、それ以外にも意味があることをぜひ知って欲しいです。パースのついたダイナミックな写真が撮りたいから広角を。背景ボケで被写体を浮き立たせるために望遠を。そんな選び方ができるようになると表現の幅が広がります。
皆さんも自分の表現にあった焦点距離を見つけてみてください。

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