ゲーム部プロジェクトの解散騒動を受けて世界を変えたくなった話

皆さんはゲーム部をご存知だろうか?

今や動画再生ランキングは11月から連続でトップをとり続ける、VTuber界で不動の1位を維持している4人組だ。桜樹みりあを除きそれぞれのゲームでトップクラスの実力をもっており、それぞれが尖った個性を持つ集団である。私は最初の動画が出た当初から追い続けている、最も推しているVtuberのチャンネルの1つだ。そんな彼女ら魅力はここに書き尽くすことはできないので動画をみてほしい。(ちなみに最推しは楓ちゃんだ。はるかえは至高である。)

だが4月6日、twitterにて衝撃のニュースが流れた。


ゲーム部が解散するというニュースだ。それも嵐の時のような平和なものではない。過酷な労働条件に加え、ひどいパワハラを受け続けた上で魂(VTuber界では声優に対して魂と呼ぶのが一般的であるためこの呼び方を使用する)が4人揃って仕事を辞めたというものだ。


到底信じられなかった。自分の大好きなコンテンツは彼ら、彼女らの多大な犠牲の上で成り立っていたのだ。平和な世界と言われ、トップ層と走り出しの人でも仲良くできるコンテンツで、いざこざもない初期の世界は崩れつつあった。だが今回の事件は完全にその”幻想”を打ち砕いたのである。自分の楽しんでいたコンテンツは作る人間が苦しみながら作り出した産物なのである。その事実を突きつけられたとき、涙を流さずにはいられなかった。


我々がゲーム部を好きにならなければ彼女らは苦しまずに済んだのではないか…我々が動画を求めすぎなければ彼女らは苦しまずに済んだのではないか…なんならVTuberが流行らなければ彼女らは苦しまなかったのではないか…そんな考えが永遠とよぎってしまう。(誤解がないように言っておくと私はVTuberが大好きである。今まで存在したどのコンテンツよりも好きである。この葛藤は本気で好きだからこその考えだろう。)


思えば動画を1日2本出し始めた時から疑うべきだったのだ。

3d、動画形式で1日2本出せるVTuberは他にキズナアイしかいなかった( 2dで生放送を中心に行う人々とは労力が違うため話は別である、アドリブ力が必要な点では負担が大きいが総合的な労力という点では動画のほうが必要である)。この時点で彼ら及びエンジニアの負担は相当なものだったことは容易に想像ができたはずだ。だがあの時点でそれを危惧する人間などほとんどいなかった。いや、実際はいなかったのではなく事実に目を背けていただけだろう。自分たちの楽しみなコンテンツが今まで以上に見れる、その喜びのために彼らの苦労を無視したのである。認めたくはないがもちろん私もその1人だ。本当に認めたくない。彼女らを最も苦しめたのは運営に違いないが我々も苦しめた人間なのだ。彼女らの逃げ場をなくしたのは間違いなく我々だ。我々も加害者なのだ。


なぜ気づかなかったのだろう、彼女らが苦しんでいたことに。なぜ気づけなかったのだろう。結局ゲーム部最高!と騒いでいた我々はゲーム部のことなどほとんどわかっていなかったのだ。


そしてこのようなひどい労働環境を与えて魂を苦しめたとされる企業が生み出していたコンテンツに喜んでいた自分自身が本当に憎らしい。結局我々がその企業体質を増長させたのは間違いないのである。


今回の事件はVTuberというコンテンツの悪い部分が全面的に露呈してしまったものでもある。VTuberは基本的に声優は明かさないしエンジニアも出てこない。この世界において声優について話すのはタブーとされていた。その結果こうなるまで声優を苦しめてしまうことになったのだ。声には出てないがエンジニアも相当な苦労だったことは容易に想像できる。この雰囲気がなければもう少し早く声をあげれたかもしれない。VTuberが流行りだした段階でこの雰囲気を直さなかった時点でこうなることは目に見えていたはずなのだ。我々は目をそらしていただけだったのだ。


そして今回はアズマリム、牡丹きぃとは全く本質が異なる。彼女らは(言い方は悪いが)キャラを盾に企業を変えようとした。その事実はともかく私はキャラを盾にすることはあまりいい気分はしない。VTuber、いや、Vtuberに限らず全てのコンテンツは裏方の存在があってこそ成り立つものなのだ。今私はインターンで裏方の仕事をしているからこそ痛感しているし、会社で裏方の仕事をしている人は私以上にわかることだろう。もちろん人気が出るのは声優とキャラデザによるものが大きい。しかしその裏では動かすためのエンジニア、運営するために資金巡りをする人、企画を考える人、それらすべてが合わさって初めて成り立つものなのだ。

しかしゲーム部の場合は違う。彼女らは自身の声優のアカウントで仕事を辞めると言っただけだ。キャラを盾にすれば当然運営は折れるしかない。そうでなければ続けられないからだ。しかし彼女らはそうはしなかった。

諦めたのだ。そうなるほどに疲弊していたのだ。最も人気なVTuberとしての地位を捨てても構わないと思うほどに。


そして今我々になにができる?なにもできないのだ。もし仮に私がVTuber事務所の代表であったら版権を買い取ってより良い環境を与えて再開させてあげられるかもしれない。もし弁護士であったら彼女らを法的に救ってあがられるかもしれない。もし多大な信用があるインフルエンサーであればクラウドファンディングでお金を集めて彼女らを支援できるかもしれない。

しかし現実は私にはなにもないのだ。金も、地位も、知識さえも。

変えられないのだ。大好きな、溺愛したコンテンツが破壊されようとしてもなにも変えられないのだ。この事実に気づいたとき、私は自身の無力さをしった。絶望した。そして切望した。こんな世界は間違っている。変えたい。変えるしかない。


私はこんな空虚な世界をこのままにしたくなどない。大好きなコンテンツが破壊されるのを見たくないし、大好きなコンテンツで人が苦しむのも見たくない。不当に搾取されるのを見たくないし、技術が安売りされるのも見たくない。このままでは他の企業系VTuberも落ち着いてみることができないし復活しても今までのようにはできない。


希望を与えてくれたVTuberの世界をこんなところで終わらせたくない。まだ始まりに過ぎないはずなのだ。




私はこの世界を変えたい。いや、変えてみせる。




最後に、今回の件について声優にリプを飛ばすのはあまりにも常識がない。応援していることが足枷になっていることに気づいていない。この記事を読んだ人でリプを飛ばしている人がいたら今すぐ消してほしい。なんならフォローもしないであげてほしい。彼女らが声優として動いたときに改めてフォローしてあげてほしい。

大丈夫。彼女らがもし我々の応援を受けたいと思っているのであればきっとエゴサしてツイートを見てくれるはずだ。だから応援メッセージをツイートしてあげてほしい。これがただの1ファンでしかない私からの皆さんへのお願いだ。