「igk^s / R2 monumentED」の記録

これは「たくみちゃん杯」とは直接関係ない、たくみちゃん(Takumi Hashimoto)のFacebook投稿からの転載です。記録として、ここにも残そうと思います。ちなみにFacebookには写真も上がっています。------------------

帰ってきてから、2週間あまり経ってしまいました。
フィリピンで参加したパフォーマンスアートのプロジェクト
「igk^s / R2 monumentED」

http://agimat.net/igkas/…
について、簡潔ですが書き記したいと思います。

 まずプログラムの前半は、マニラに着陸してから車で3時間ほど走ったガパンという土地でアーティストMideo M CruzとRacquel D Cruz夫妻のスタジオに滞在しました。
 そこでは田んぼの中でパフォーマンスをしました。美しい田園地帯で人通りもほとんどなく、自分としてはフィリピンに入るイニシエーションのようなコンセプトでやりました。一部の農家の方々が現在の政治状況に苦しめられているということは、のちにRacqueから聞いたことでした。

 ガパンの日々の中で、地元のアート系ハイスクールでレクチャーをしました。ぼくはまず自分のやってることの説明をし、短いパフォーマンスをしました。200人くらいの生徒たちが信じられないくらいの歓待と真剣さで観てくれました。

 プログラムの後半はマニラで。最初にMギャラリーという街中のギャラリーで、フィリピンのアーティストも入ってのショーケースでした。
 時系列が飛びますが、最終日はショッピングモールの中(ギャラリーもある)でのパフォーマンスでした。
田んぼからの流れの中で、観てくれた皆さんの言葉も咀嚼しながら自分なりにあり方を変えていきました。得難い経験でした。(中国からはいまUP-ONというフェスティバルをやっているJieという若いコーディネーターが来ていてとても色々言ってくれた)

 海外でパフォーマンスを発表したのは初めてです。一連の経験は自分の推し進めている方法に大きなフィードバックがありました。言葉によって共有されるものと身体によって共有されるもの。されないもの。この試行の価値が確認され、今後も進めてゆきます。

 このResponding(R2)というプロジェクトは、パフォーマンスアートが様々な社会的イシューに対して応答していく(それは可能なのか)、そういうコンセプトがあります。

 マニラ近郊のリラ・ピリピナ事務所にて、フィリピンの元慰安婦の方々へのパフォーマンス/食事会。(ここでは自分のパフォーマンスはありません)
 ここは、太平洋戦争中のフィリピンの慰安婦問題/性暴力被害の資料をまとめたところで、元慰安婦の方々のネットワーク拠点になっているところです。
 こちらの逡巡などと次元の違うような大きなたたかいをしてきたリラ・ピリピナの皆さんはとても強く、日本人の(男性でもある)自分たちが赴いてパフォーマンスを発表する、ということを温かく迎え入れてくれたことを忘れません。
 もっと歴史を知らないといけないしやるべきことが山ほどある。アートは決して万能ではない、しかし美的判断の追求に対して、希望を捨てない。

 ガパンでは日本軍の性暴力の遺構として有名なレッドハウスを視察し、マニラでのリサーチ日には大文字のMONUMENTとしてのサン・オウガスチン教会、そして小文字のmonumentとしてのマニラ市街戦慰霊碑を訪れました。これは歴史家牧田義也さんの組んでくれたプログラムです。フィリピン大学での視察と報告会もありました。

 そして、ミラマーホテルというところがあります。そこは日本軍兵士がフィリピンの少女たちに集団的な性暴力をおこなったところです。(知名度の高いベイビューホテルのすぐ近くにあります)。そのホテルでもアーティストたちによるパフォーマンスが行われました。これについてはいま文章化することが難しいです。

 2018年に様々な思惑で撤去されてしまった慰安婦像の跡地にも行きました。即興的にMideoがサウンドインスタレーションを設置し、韓国のYeon Jeongによるパフォーマンスの”Responding応答”がありました。

 滞在の最終盤のときに、あいトリの文化庁補助金不交付が持ち上がりました。表現者としては、連帯というより「縁」のようなものの価値を見出してゆきたい。今回のプロジェクトを通じてそんなことも考えました。

 で、今月末から中国のOPENというフェスティバルに参加させていただきます。

たくみちゃん

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?