長沙の女の子

インドへ向かう途中、北京に立ち寄ることは最初から決めていました。3年連続、3回目の北京訪問。実際のところもう行くべき観光地は残っておらず、どこへ行こか迷った挙句「何も考えずに歩く」ことにしました。僕は北京の街並みが好きで、胡同と呼ばれる細い路地に迷い込んでみようかなと。胡同には、洗濯物が思いっきり干してあったり、子供達が無邪気に遊んでいたり。古き良き北京を肌で感じられる場所です。

1日中歩いていたのだから足が重くならないわけもなく、什刹海と呼ばれる観光地で休憩することにしました。見栄えのいい「今どき」なカフェに入り、ホットコーヒーを注文しました。二人掛けのテーブル席に腰を下ろし、コーヒーを啜ります。ああ、沁みる。北京の冬は思っていたよりも寒くて、身体の芯まで冷え切っていました。

夕方になり、徐々に店が混み始めます。すると同い年くらいの女の子がてくてくやってきて、なにやら僕に声をかけました。中国語が全く話せない僕がとっさに頷くと、彼女はちょっと照れたような、でも嬉しそうな表情で僕の目の前の席に座りました。僕が彼女の表情を伺っていると、彼女もそれに気がつき、会話が始まりました。

会話といっても、僕は日本語と英語、彼女は中国語しか話せません。最初彼女は僕が日本人だと分からなかったらしく、戸惑ってましたが、翻訳アプリとWeChat(中国版LINE)の翻訳機能を駆使して、僕にいろいろなことを教えてくれました。

湖南省の長沙に住んでいるという彼女は、小柄で幼い顔つきに見えましたが、学校の先生をしている24歳。歴史の分厚い本を手に携えている彼女の専任は歴史で、昨日も博物館を一日中見ていたと言います。国は違えど、自分と同世代の女の子が一生懸命勉強し、新米教師として頑張っている。ちょっと不思議な感覚だけど、なんだか刺激的で、嬉しい気持ちになります。

話はなぜかお腹が空いているかどうかという話になり、一緒に軽食を食べに行くことになりました。僕が水餃子が食べたいと翻訳アプリに打ち込むと、彼女は携帯の地図片手に、慣れない北京の街を懸命に案内してくれました。

彼女は終始笑顔で、ずっと鼻歌を歌ってました。早足で駆けていって、早くきてよー!みたいに振り返ってくれるときの可憐な表情が、忘れられません。控えめでちょっとシャイなのに、嬉しいときの顔は本当に嬉しそうな、感情に素直な女の子でした。

食事が済み、僕は地下鉄で空港へ、彼女は友達と会うために違う駅へ。最後まで彼女は一生懸命に僕の電車を調べてくれました。北京空港に着いた頃、彼女から、きっと翻訳アプリで訳したであろう少しぎこちない日本語のメッセージが送られてきました。

「中国には縁という言葉がある。本当に楽しかったです。」

こちらこそ、本当に親切にしてくれてありがとう。1日の北京滞在でしたが、充実感にあふれた1日でした。またどこかで会えるといいな。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

TAKURO MATSUMURA

days in india

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。