介護職におけるアドボカシー(代弁)とは

介護職には、ご利用者のニーズを代弁をすることが求められている。このことは、介護福祉士倫理要領でも「重要な役割」としている。
では、実際の介護の現場では、介護職は、ご利用者の代弁者としての役割を果たしているのだろうか。
介護職の中には、ご利用者が置かれている状況を踏まえ、ご利用者の代弁者として行動している人もいるだろう。
しかし、ご利用者の代弁者となるという役割があることを理解していない介護職も多いのではないだろうか。
先日、こんなことがあった。
私が成年後見人をやっている方が入居する認知症対応型グループホームに面会に行ったときのこと。
そこのグループホームは、玄関スペースと扉一枚隔てて、ご利用者が食事をするリビングがあり、面会に行った午前11時頃は昼食のために少しずつご利用者がリビングに集まっている様子だった。
面会は、コロナ禍ということもあり、私が玄関スペース、ご利用者がアクリル板を挟んだリビング側に座って行われた。
その面会の最中、リビングから「寒いから、(玄関とリビングの間にある扉を)閉めて!」と、大きな声が聞こえた。リビングで食事を待っていたご利用者が私たちに言ったようである。
その瞬間、リビングで仕事をしていた職員が「○○さん、今、面会中だから我慢して!」と、大きな声でそのご利用者に伝えた。
この場合、介護職がご利用者の代弁者となるのであれば、面会に来た私に対し「中にいるご利用者が寒がっているので、扉を閉めさせてください。」と言って、玄関スペースとリビングの間にある扉を閉めるのではないだろうか。
決して、その職員に悪気があったわけではないと思う。
もしかしたら、その職員は、介護職員にはご利用者の代弁者となる役割があることを知らなかったか、知っていたとしても日々の仕事の中でどのように実践するか落とし込めていなかったのではないか。
介護職員は、日々忙しい業務をこなさなければならない中で、自ら気づいたり、学んだりすることはなかなか難しいように思う。
だとすれば、事業所内での教育や、外部講師による研修を受講することが必要になる。
事業所内の教育で効果の上がらない職員については、外部研修を受講してもらう方が効果的であるように思う。

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