だいぶ大事なこと
「いいことも悪いことも長く続かない」と自分に言い聞かせ続けてきた。「人生楽ありゃ苦もあるさ」とも言えるし「山あり谷あり」とも言えるアレだ。
これらの言葉は調子いいときには気が引き締まるし、悪いときには救いになる。 万能なものが少ない世の中において、この万能具合は驚異的である。
「長く続かない」ということは転じると「いつか終わりは来る」となってくる。「万物は離れ、消えていく」と、これまた自分に言い聞かせ続けている。
いいことも悪いことも長くは続かないし、いつか終わってしまうというのは誰もが知る真実だ。
この事実を直視できていると、続いてるときは有り難みに気がつくし、終わったときは慰めにもなる。
あたりまえだし、法則的なものだ。「いつか終わる」なんてすべてに当てはまる。永久機関は無い。
だけど都会で暮らしていると、あたりまえのことがどんどん分からなくなるのだ。ずっと続いていくような気もするし、以前よりも痛みにも鈍感になっているようにも感じる夜がある。
たとえば便利になったくせに、時間は無くなったなぁと思わないだろうか。
新宿のビルは高すぎるほど高いけど、街を行く人々の気はやたらと短いではないか。首都高速は広くなったけど、ドライバーの視野は、同じものを運転しているひとの気持ちが分からないほどに狭い。
お金を使うわりに得るものは少ない。モノは増えたのに自分の価値はどんどん下がっている。
専門家は増えたのに問題は増えているし、正論を持つひとはルールや規則の中で優しさを失って、間違えたひとを惨殺している。
飲み過ぎ食い過ぎ吸いすぎで、笑うことは減り、よく眠れない。朝起きたときにはすでに疲れている。
読書をしなくなった分、いいねを探す時間が倍増した。神仏や先祖に祈る時間もめっきり減った。
生計を立てるやり方には詳しくなったけど、生きることには安易で稚拙になった。急ぐことばかりで待つことは減った。
月まで行けるわりに隣人とはトラブルばかり。
大規模なことに挑戦しているわりに善いことは成し遂げられていない。
空気を洗浄した分、魂は汚れている。
核までコントロールできるようになったのに差別は一向に消えない。
飽食に任せて身体ばかりでかくなったくせに人格は小さい。
支配できるものは増えたのに自分の行動一つ支配できない。
そして見栄とプライドばかり肥大化して、うつ病の果てに次々とひとが死んでいる。
忘れちゃいけないことがある。
今いるひとたちと多くの時間を過ごすこと。たくさんハッとすることだ。なぜならその時間は、もう永くは続かないのだから。
自分の近くにいるひとはいずれ遠くに行く。あなたと近くにいる誰かもいずれ遠くに行く。
あなたを慕うひとにも目一杯優しく接する方がいい。彼らも大きく強くなっていずれは遠くに去って行くのだから。
死ぬまでに一度でも多くハッとしたい。一度でも多く心震えていくことだ。
大事なひとと大事なことをしていく。限られた時間の中で。たぶん本当はそれだけでいいのだ。そうしてすべて消えてしまうのだ。
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