後輩が解散した

後輩が本日解散した。

僕が解散したのは一年半ほど前だ。
解散の味を覚えてから「バンドするなら解散はした方がいい」とあちこちに言いまくった。その解散した人間にも言った。

もちろん「早くやめろ」という意味ではない。

グダグダに消滅したり、休止したり、メンバーを入れ替えたりと多種多様な変形がある。すべてに共通するのは「現状と変わってしまう」ということだ。

この中でも「解散」というのは一番意味合いが重い。

「再結成」という技があるので、二度と戻れないわけではないのだが、やはり「終了感」が凄まじい。
反対に「休止」だとめちゃくちゃ再始動しそうだ。というよりしないと「休止」ではない気がする。「休止」をとるならば再始動しないと言葉の意味合い的には虚偽になるだろう。

まぁそんな「実際どう思われるか」なんて話はどうでもいい。
ただ、「解散をちゃんとする」というのはじつに真摯的な行為だ。

解散ライブをやるならば、「こいつらと付き合っててもこの先は無い」が確定しているメンバーと数ヶ月、数週間と過ごさないといけないのだ。

別れが確定している人間と一つのプロジェクトを成功させる、というのはじつに尊い気持ちになる。

人間をやっていると、バンド以外にも「夢」らしきものが、なんとなく自分たちをつないでいてくれるような感覚がある。
「いつかは武道館」だったり「いつかは出世」だったり「いつかは結婚」だったりだろうか。
成功期待感ハラスメントが無いと、やってられない時間が何時間あっただろうか。

そんな「この先」を完全に剥奪されつつも、力を合わせる集団というのはかなりのパワーがある。そしてその中で自分も微力を尽くした経験は忘れられない。

そして「これでもか」というほどのねぎらいと祝福が降り注ぐ。

「よくやったよ、俺」とそこまで思えることなんて人生そうそう無い。

そしてそのキャリアがまた次の日からの自分をより屈強にしていくのだ。
「未来のため」と言って心身にムチを打つことをやめてから、「未来が無いぐらいなんだよ、我慢しろよ」と言える自分が登場する。

解散ライブというのはだからいいものなのかもしれない。

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