酔いが
『若さ』とはなんの努力もなく得られる特権で、それに酔い疲れていた男たちは確実に堕落する。
いろんな意味で酔いが覚めたせいだろうか。そこんとこシラフなのだ。
現実に対して、日々に対して、人生に対してリアリスティックである。
壊れたいような願望は未だ止まらないし、一人で酒を飲むとおもいきり死にたくなるので本質は変わっていないのだろうが、シラフ時はシラフだ。
年齢は記号だが、それだけ記号の和が足りたのは間違いない。伴って脳の作りは変わっている。
女性はまぁ年齢のことを気にする生き物である。僕自身、それを知らずに幾度も失敗してきた。
二十歳の女の子に「24,5歳ぐらいに感じる」と言って怒られたことがある。
僕としては「それぐらい人間性が整頓されていて、話していて面白い」という意味合いだったのだが、あれは失敗であった。
その話は誰に言っても「そりゃ怒りまっせ」と言われた。僕は馬鹿なりに「嘘でもいいから若めに言っておくといいのだな」と学んだ。
女のひとたちは、それほど年齢に対してタイトな生き物なわけだが、男はどうだろう。
僕たち男は「若く見られたい」は気薄だが、若さに酔っ払っているときがある。
「まだ若いから大丈夫」と言って、現実も野心も志も育てないまま20代後半になってしまいがちだ。こうなるとエグい。
僕たちには女性の母性に相当するような感覚が無いからだ。しかも倫理観や危機認知能力も少なめだ。殺人者の80%が男性だ。僕たちはカッなったぐらいで他人をブッ殺す恐れがある。
遺伝子上から見ても「優しさ」というパラメータに欠けている僕らが、その中で唯一、誇れるものは責任感や使命感ぐらいだ。
好戦的で、征服的な僕たちでも自分たちの身の回りを守るためなら、ある程度のことができる。
極論になるが、「AとBならAの方が大事」という場面で、Bを切り捨てれるところがある。その結果、Aが救われるならばかまわない。
24時間すべてがそうなっているわけでもないが、ゼロではないのだ。
自分を育ててくれた両親のことを思ってみるといい。
大人たちは綺麗事だけで、やりくりできない修羅場を越えているものである。
程度の大小はあれど、「無菌で誰かを養える」なんてことはほとんど無い。何不自由なく生きてこれたならば、だ。
何もせず、豊かに過ごせるのは明治から続く財閥の一族ぐらいだ。
言うなれば「清濁併せ呑む」という能力は男性的なのだろう。
『思えば長い事一緒にいたな。人は騙すものじゃないのだと。人は壊すものじゃないのだと。教えてね。これからも。もう間違えないように。その為に誰を騙し壊す事になろうが』
という曲を4年前にリリースした経験がある。
ちょうど26,7歳ぐらいだった。
ガキだったので勢いで、大きな事務所を辞めてしまった。
自主的な活動をしなきゃいけなくなった僕に課せられたのはシンプルな資金繰りだった。現実から目を背けていた僕に回ってきたツケはをカネ」という現実そのものだった。
「音楽をやるのにカネカネ言いたくないんだよね!」と言う人間に悪口を言われながら、走り回った。
「言いたくなくても、要るものは要る。そんなこと言うやつに限ってペラペラではないか」とそいつらへのカウンターで頑張ってみた。
結果、デザイン会社の代表に口八丁で売り込んで、投資してもらったり、クラファンだったりで、600万ちょいぐらいをかき集めた。
あの頃は孤独と不安とストレスで爆死しそうだった。よく生き延びれた。
しかしあの難度も今思うと、可愛いものなのだ。あの後、もっと難度の高い無理ゲーもやってきたからだ。正直、詰みゲーもあった。
解散なんかはそれである。完全に詰んでいるのだ。「音沙汰無く死んだ」とかにならないだけで精一杯だった。最後のワンマンのライブ以外は飲み過ぎてて何も覚えていないが。
すべてのステージを全クリはしていない。無理だ。でもゲーム・『危機』はプレイするだけでも、キャリアアップになる。
その中で少しずつ現実に対する見聞を深めていったように思う。勝ったり負けたりしながらギリギリを泳いでいくしかない。
エグくてキツイ。が総括だが、綺麗事だけではないそのくだりがなければ、その後の作品も出せなかったのだ。そうすると、今も僕が音楽を続けることはできていなかった。これもまた現実だ。
そしてその後に作ったものや、やってきたことがほんのり誰かを救ってたりもする。それもまた現実だ。
エグくてキツイけど、噛む回数によっては案外味わい深いのかもしれない。
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