転職天国!

他人に転機を迎えさせてしまうシーンが多い。

「今いるところを辞めて僕の会社に来る」という、ターニングポイントの真上に立つ機会が激増した。

しかし局面に立つと、人間は中々動きたがらない。

これは動物の本能に組み込まれた「恒常性維持機能」が関わっているからだ。これは猪も馬も豚も、僕たちホモサピも備わっている機能だ。
現実に、野生の動物たちは、今いる山から動かないものだ。

餌が取れなくても、自然の猛威がキツくても離れない。

今いる場所に多少不満があっても、ひもじくても、生きていけるのであれば、別の山に移って餓死する最悪のリスクを避けようとする。

例えば「この山から引っ越すぞ!」と、そのリスクを取ることを考え始めたときに、僕たちの脳はあらゆるストレスを発して、自分自身の行動を止めようとする。不安や緊張はその産物なのだ。

この本能のせいで、僕たちの理性的な判断にも常にバイアスがかかっている。

どれだけバイアスを排除しようと意識しても、本能の枠から逃れることは難しい。動物なんだもの。

『現状維持』と 『変化』の選択ではもちろん、 『右』か 『左』か、どちらに進むのか選択を迫られたときでさえもだ。

理性的に正しい判断をしたつもりでも、変化やリスクの少ない方を、頭の中で正当化して選んでしまうのが人間だ。

それでも決断できるならまだマシな方で、鍛練を積んでいない多くの人間は、どちらにしようか悩みに悩んだ末に、結局は何も選ばないことを選ぶのが常だ。

結果的に現状維持が続くことになる。「理性」と比べると「動物としての本能」の勝率は極めて高い。

目的に対して純粋に確率を高くする道を見極めて選び、そして決断することは容易ではない。

この能力を『決断力』と呼ぶわけだが、決断力に優れた素養を持つ人間は極めて少数だ。

強い意志で経験を積んで、出来るようになるひともいれば、生まれつきサイコパス指数が高いひともいる。理性が情緒に邪魔されないので、物事を躊躇無く進められる。

ほとんどの人間は本能を克服する訓練をしていないので、結果的に「受動的な転職」しかできなくなってくる。

居心地が悪くなった、現状に芽が無くなった、会社が潰れた。

そのような理由で仕事を変える。

昔も今も転職者の一番多い本音は「職場での人間関係のストレスから逃れたいから」である。

「ここにいたら餓死する」と思えば何も大きな決断をすることなく、山を変えられる。これらは受動的な動きだ。「避難」に近い。

動物の本質は自己保存だ。

できるだけ、選ばなくて良いように、決断しなくて済むように、不安やストレスがないように、痛くないように、変化が少ないように 、安全なように、楽なように、傷付かないように、ほとんどの社会人が生きている。

痛がり屋が多い日本社会では特にそうなっている。

多くのひとは 『積極的な転職』という手段を取ることができない。良い悪いは別として、事実ではある。

その中で本能に抗い、目的に合わせて『転職』という、生きるためのオプションを使いこなすことができたら、それは大きなアドバンテージになる。

過半数のひとと同じことをしていても、同じようにしかなれない。違う結果を出したいなら、違うことをするか、同じことを違うようになるしかない。

多少は「ヤバイ山に引っ越すリスク」を取れるようになると、アレもコレも生きやすくなると思うのである。



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