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アルバム『juJoe』を2000枚重版した。

アルバム『juJoe』を2000枚重版した。

初回分と合わせると25万円ほどになる。もちろん自腹である。もはや「売り物」ではなくて完全に「買い物」の領域に差し掛かってきた。

第一問『たかしくんがCD1枚を1000円で売ったら、3000枚でいくらになるでしょうか』

答.300万円

第二問『つくるのに25万円かかったなら、利益はいくらでしょうか」

答.275万円

雑経費をすっとばしためちゃくちゃ乱暴な話だが、結局音楽ソフトで稼ぐとはこういうことだ。

この完成した流れから逸脱するのはラクではない。

しかも僕はこれまで「音楽ソフトの製造と販売」を何年もやってきた人間だ。コンピとDVDを合わせると20枚以上のソフトをリリースをしてきた。

慣れないことをすると、ストレスもプレッシャーもある。

だけどこれで間違っていないはずだと信じている。信じているのが自分だけだったとしても信じている。いつだってそうだった。
後は仲間が「まぁやりたいことやってみな」とほんのり応援してくれてさえいればそれでいい。

「どういうつもりでやってるんですか?」と聞かれるときがある。頭おかしいと思われているのだろう。

幸い正常なので支払いに心拍が上がらないわけでもない。

「収益化のタイミングを後ろにずらす」という遊びも楽しいし、これでビジネスとして成立させる自信もある。

だけど、6ケタの数字をバコバコ振り込んでドキドキしないわけがない。

では、払えるのはなぜだろう。

考えたのだが「聴いてほしい」が勝つからなのだ。音楽屋として根本的にこれが無いとやってられない。

こういったフリーミアムモデルの効果は多くのひとが知ってるが、実行に移せる人間は少ない。特にバンドという商品でやっているケースはほぼいない。

数少ない実行者も曲数を減らしたり、簡易化したり、サンプリング化にとどまりがちだ。

だけど僕は「聴いてほしい」を詰めていきたいのだ。「サンプルで触りだけでも知ってほしい」ではなくガッチリ聴いてほしい。「試聴」という気構えで聴かれるリスクは思うよりデカイものだ。

そうは言ってもこの作品自体、大衆に向けて作ったものではない。ていうかイカレた自分が復調するまでのプロセスそのものだ。

結果、出来たものは自分そのものだった。だから似たようなひとには響く自信がある。

僕と同じような感覚にいるひと、同じような傾向にあるひと、同じようなものを好んだり求めたりするような、そんなほんの一握りのひとのためにある。

ひとりの作家として、ひとりのバンドマンとして、ひとりの人間として聴いてほしいし、そんな似た人間が遠い空の下にいるというだけで、お互いに孤独感は和らぐ。そう思うと25万どころか100万ぐらい「買い物」しても惜しくない。

しかし「バンドマンとして」と書いたが、現状の自分が元バンドマンなのか、現役のバンドマンなのかは正直分からない。

2011-2017年の自分とは少し違うように感じるのだ。いっぺん辞めてるからだろうか。

もう二度と取り戻せない感覚なのか、ブランクから目覚めてないのか、取り戻す必要のない新しい領域に差し掛かっているのかはわからない。蘇生が完了していないのだろうか。だとすると蘇生も楽ではない。

なんというか、あの頃あったプライドのようなものがもう無いのだ。不自由さも感じない。「バンドとはこういうものである!」といった枠のような感覚が消えた。

これが良いのか悪いのかまだ判別がつかない。

高みを目指さなきゃいけない義務感は消えているけど、だからこそ高みを目指せる面白さも感じている。







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