見出し画像

偶然の女神たち 〜ロッキン2023 Juice=Juice感想



ROCK IN JAPAN 2023の最終日に参加してきました。台風予想だったけど遅れてくれたので無事開催。とはいえ天気は不安定で、雷注意報により30〜40分ほど中断を余儀なくされました。
ロッキンの目当ては当然ハロプロ勢のアンジュルム、モーニング娘。'23、鈴木愛理、そしてJuice=Juice。
まずトップバッターであるアンジュルムが素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。竹内さんご卒業後の初フェスということでどういう雰囲気になるか気になっていました。(注:心配はまったくしていなかったけど)結果、上國料さんリーダーのアンジュルムは大きく印象が変わっていて素晴らしいチームになっていました。

前述した不安定な天気の煽りを大きく受けたのがJuice=Juiceでした。中断によりタイムテーブルが1時間遅れることになり、さらに出演時間にまた雨雲が迫っていてよもや中止か?と不安になっていました。
しかしそんな不安をよそに、大雨の中Juice=Juiceは堂々たるパフォーマンスを見せてくれ、そしてそのライブは近年稀に見る素晴らしい出来で僕の中で本日のベストアクトとなりました。アンジュルムの感想を書こうと思っていたんですが、アンジュルムはまた後日に回してJuice=Juiceのすごさを熱い思いのままに書いてみようと思います。

Juice=Juiceの出演時間前、ステージに駆けつけた僕はある予感を覚えました。「これは伝説のステージになる」。後出しじゃない証拠として友人に向けて送ったコメントを貼っておきます。

Juiceの出演は18:50から

演者として舞台に立つときは毎回ゼロから作ることを意識します。だから公演ごとに差をつけることはなくて、いつ観にきても一定のクオリティを保てるように努力します。
しかし色々な偶然の要因から「これは伝説的なステージになるはず、ならない方が不自然」と思えてしまう公演があるのです。そしてそういう予感を得たステージは必ず特別なものになる。ロッキン2023のJuice=Juiceはそういうライブだったと思います。

まずは前述した天候。大雨によって無事開催されるのか直前まで不安でした。それはJuiceメンバーも同じだったんじゃないでしょうか。
そしてもうひとつ、大雨によってタイムテーブルに変動があり人気アーティストVaundyの真裏になってしまったこと。本来はJuice=Juiceが少し早めに開始しその後にVaundyのはずが、Vaundyが始まってからJuice=Juiceが始まるスケジュールになってしまった。はたしてお客さんは集まってくれるのか、これも不安でした。

こう書いていくと「はいはい、逆境を乗り越えると良いものができるって話ね」と思われそうですがそういうことではないんです。逆境が重なれば潰れてしまうこともある。僕が言いたいのは、色んなことが噛み合ってまう時があるということです。

開演前、前方のお客さんを中心にコールが始まりました。娘。やアンジュルムでもコールは起こるのですが、今日のJuiceコールには意思が宿っているようでした。つまり「絶対に中止になんかさせないぞ」という意思です。コールが始まったときにちょうど雨が強くなってきたので、雷が鳴り始めたら中止もありうる状況でした。しかしコールが途切れることなくヒートアップしていき、中止なんて選択肢にないような熱い雰囲気が生まれていました。運よく雷が鳴ることはなく、無事に開演することができました。
もうひとつ、時間が1時間遅れたことによって日が沈みペンライトの光がきれいに見えていたこと。僕は野外フェスにペンライトを持っていくなんて考えもしなかったのですが、たしかに夕方以降のライブならアリですね。用意のいいファンがたくさん持ち込んでいました。しかし通常通りの17:50スタートだったらまだ日が残っているのであそこまできれいに色がでなかったと思います。ペンライトの光があることでJuice=Juiceのホーム感がより演出されていて、舞台にでてきたメンバーもホッとしたような緊張のほぐれた表情に見えました。

ライブの内容自体については書きません。もう素晴らしかったとしか言えないから。年長組3人、植村さん、段原さん、井上さんは恐ろしいくらいに美しくかっこよかった。もう好きにしてください。あと松永里愛さんが歌うたびに雨が強くなっていったような気がするんですがそういう特殊能力をお持ちですか?最高でした。
それから有澤さんと入江さん。この二人は体を故障していてパフォーマンス制限があったんですが、それすらもプラスに働いていたように思います。もちろん本人たちにとってはそんなことなくて悔しいとは思うんですが、動きを制限するために右翼左翼に大きくはずれた位置でパフォーマンスされていて、それがとてもかっこよかった。
大雨のなかで歌い踊る彼女たちの美しさがいまでも鮮明に思い出せます。

偶然によって生み出された素晴らしいパフォーマンスを評価しない方もいるでしょう。それは実力ではない、と。でも僕はそうは思いません。偶然はどんな場所でもいつでも起こりえます。偶然が作用しない公演やライブは存在しないといってもいい。その偶然を良いものにするのか悪いものにするのかは本人たちのとらえ方次第でもあるし、アイドルパフォーマンスにおいてはファンのとらえ方次第でもあるでしょう。
同日のアンジュルムライブで音楽が止まってしまうハプニングがありました。しかしファンたちがとっさに歌い始め、クラップを行い、熱が下がらないよう支えたのです。あそこでファンががっかりして熱を下げてしまっていてもおかしくないと思うんです。でもそうはさせない。絶対に悪いものにさせないぞというポジティブな意地を感じました。

今日のJuice=Juiceは数々の偶然をすべて自分たちとファンの力によってプラスに変えた。その結果、伝説のライブにならないわけがないという状況までもっていくことに成功したのだと思います。

ただ最初の方に書きましたが舞台は毎回ゼロから作るもの。今日のすばらしさは今日だけのもの。今日起こった良いものをなぞろうとしても絶対にうまくいきません。これは僕の経験上断言できます。どんなに面倒くさくてもまた次回、ゼロから作るしかない。このサイクルを真摯に行えるかどうかが舞台の良し悪しを決めると思っています。

今日のライブを観られたことは自分にとって大きな財産です。本当に楽しかったなあ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?