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助けてもらう勇気

全然まとまらないけど最近考えていることを書いておきます。

このところ事情があって世界人権宣言を読んでいる。急に意識高くなったわけではなく必要に迫られて、という感じです。

上記リンクの谷川俊太郎さん訳がとても平易な言葉づかいでわかりやすかった。で、第一条はこういう感じになっていた。

第1条 みんな仲間だ
わたしたちはみな、生まれながらにして自由です。ひとりひとりがかけがえのない人間であり、その値打ちも同じです。だからたがいによく考え、助けあわなければなりません。

©John Burningham / 条文訳:谷川俊太郎 アムネスティ日本

助け合わなければならない、ってすごく難しいことだなあと思います。助けるっていうと助ける側と助けられる側にわかれてしまうような気がして、助ける側(助ける能力がある人)から助かられる側(自助できない人)への一方通行な感じがある。でも助け合わなければならないんだそうです。

助け合うっていうのはどういうことなんだろうか?
演劇では舞台上で明確に助け合っている感覚があります。お互いにお互いのミスをフォローし合い、影響を与え合って「相手のために」表現することでどんどん前に進んでいく。先日、僕の師匠であるのぶさん(松田信行さん)の即興公演があったんですがこれがとても面白かった。

まあとても独特な表現なので面白さがわからん!という方もいるかもしれませんが僕がすごく楽しめました。特に後半の即興ミュージカルではピアニストの木内よしえさんと即興で合わせていく感じがスリリングでゲラゲラ笑ってしまいました。
みなさん想像してみてくださいよ。はい、今から即興でミュージカルをやってもらいます。場所とタイトルはこちらで勝手に決めます。ではピアニストの方も即興でよろしく。はい、よーいスタート!
……どんな気持ちになるでしょうか。いや想像できないかも知れないけどやらなきゃいけない状況だと思ってみてほしい。めちゃめちゃ怖くないですか?すごく不安を感じると思います。そんな状況のなかで自分の心を開いて相手のために表現するんです。とても勇気が必要ですよね。

話がとんで申し訳ないんですが、最近ネットでは施設の車椅子対応についての話題が出ていました。自力で通れない場所をスタッフに抱えてもらって通行するのはどうなのか。危険ではないのか、いやいや車椅子でも通れるべきだ、スタッフの負担が、感謝の気持ちが、コストが……と有象無象の罵詈雑言に耐えられなくなっていよいよTwitterが嫌いになりました。(Twitterのせいじゃないけど)
で、みなさんは「助けられる側の勇気」って考えたことがあるでしょうか?たとえば自分が車椅子に乗っていたとして、予想していなかった段差があり目的地に行けなくなったとき、近くの人に「助けてください」と言う勇気があるでしょうか?
車椅子を素人が持ち上げるのは危険、という話がありまして、それは僕も重々承知しています。以前に劇場で働いていたときに車椅子の方がいらっしゃって、三段くらいの段差なので男三人で持ち上げられるだろうと思っていたら電動のすごく重い車椅子でいらっしゃり、頑張って段差をおろしましたがあれは本当に危険だった。車椅子といってもいろんな種類があるという想像ができていなかった自分が愚かでした。
で、あのとき僕はすごく怖かったんですが、車椅子に乗っていた方はもっと怖かったんじゃないかなと思うんです。お芝居を見たくて、でもどうしても段差があるのでそこを降りなきゃいけない。スタッフは降ろしてくれると言っている。車椅子のことなんてなんも分かってない男三人に抱えられて段差を降りるその怖さ、自分だったらそんな三人に身をゆだねることができるだろうか、と考えてしまいます。危なっかしく段差をおろした僕たちに向かってその人は感謝の言葉を述べてくれました。危ないじゃないか!と怒られてもおかしくなかったと思います。

みなさんどうでしょうか?助けられるの得意ですか?助けてもらうっていうことは他者に身をゆだねるということでもあります。相手を信頼して身を任せなきゃいけない。助けてもらった結果、その結末がどうなるか他者まかせになってしまう。でも勇気を振り絞って相手にゆだねなきゃいけない。
前述したのぶさんは舞台上で他人に身をゆだねるのがすごくうまい。他者(共演者やお客さん)に助けを求めてその助けにフワっと乗ってしまう軽やかさがあります。
助けてもらうって簡単じゃなくて助けてもらう勇気をもっていなきゃいけないんだな、と最近よく考えるようになりました。

助け合いの精神っていうと助ける方ばかりを考えてしまうと思うんですが、助けらえる方の勇気にもっと注目したらいいんじゃないかなと思います。僕も助けてもらうのが苦手なのでここは頑張らなきゃいけないところです。
助けてもらう勇気、他者を信頼して身を任せる勇気をみんなが持っていたら、もっとお互いに関わり合うことが楽になるんじゃないのかなと思っています。


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