ある日の夜会のこと[ゲミュートリヒの作り方 #1]
ベルリンに来て間もない頃、僕ら夫婦は佐藤有希さん(@yuki_sat )宅を訪ねました。
3人だけの、小さな夜会でした。
あたたかで和やかな時間。居心地が良かったんです。飲んで話していたら、いつの間にか帰らなくてはならない時間帯に。
ベルリンではこうした小さな集いが、日本でよくあるホームパーティーよりも、気軽な存在だそう。手のかかりすぎない料理とお酒で楽しむことが多いそうです。
今回、「御苗場展」のFUJIFILMが企画する「写真と暮らし」ブースで展示をするにあたり、「ゲミュートリヒ」をテーマに撮影することになりました。
ゲミュートリヒとは日本語で「心地よい」を表す言葉です。ヒュッゲのドイツ版とも言うそう。詳しくは、このテーマのきっかけを与えてくれた久保田さん(@kubomaga)の著書で紹介されています。
話を戻すと、企画段階で思い浮かんだのが、佐藤さん宅で夕食を食べた、あの時間。
撮影をお願いし、また夜会に招いていただきました。しかも、今度は僕らがベルリンに来るきっかけをくださった久保田さんまでいらっしゃるという嬉しい夜会。
その時に佐藤さんがこんなふうなことをお話してくれました。
家はキャンバス。だから、人の家を訪ねることはその人の世界に入り込んでいくようなもの。
思わず、すぐにメモしてしまいました。
住空間をキャンバスと捉えて、佐藤さんは何をしているのだろうかと思いつつ。住まいの話題になり、僕の心が動いたのは、使わなくなった水切りをランプシェードとして活用しているところ。
白い壁を、好きな色に塗り直しているところ。
自分がいい状態でいられる空間をつくるには「整理整頓」が大切なようです。
佐藤さんは身の回りにある一つ一つの要素に対して、必要であるかそうでないかを見直し、もし不要であったり存在感が薄くなっていたりしたら、役割を与えているんです。
役割の与え方は、きっと二つ。一つは、ランプシェードのように、何かの代わりとして役割を与える方法。
それでも役割を見つけられない場合は、もう一度全体を見直し、それまでに存在しなかった役割を見つけるのが、もう一つの方法。「ここにホッとする壁が欲しい」「ここに本棚が必要だ」というように。
佐藤さんはとっても論理的なのに、取捨選択の軸は気持ちが高まるかどうかという心で決めている。すごいバランス感覚だと思うし、そこに人柄も感じられて、共感してしまいます。
日々気持ちよく過ごしていくための整理整頓。空間だけでなく様々な仕事の場面でも活かすことができそうです。
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【ベルリン暮らしの作品を展示します!】
2月28日(木)~3月3日(日)「御苗場展2019」のFUJIFILM「写真と暮らし」ブースに出展することになりました。他にも素晴らしいフォトグラファーさんが出展されるとのことです。写真に興味がある方、そしてベルリンにご興味を持ってくださる方、是非ご覧いただけると嬉しいです。
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