子どもたちの眼差しの先に──君のいまがより良くなるように。
島根の大森町でのこと。
駆け回る4人の子どもたちと一緒に準備し、お喋りしながら、夕飯を食べていた。
溢れるパワー。
まさに親は休まるところを知らない、刺激に満ちた暮らし。
ふと気づくと、静かになっていた。
いつの間にか子どもたちは全員集合。リビングのテレビの前に座っていた。
魅入っているのは、『魔女の宅急便』。
じつは前日も観ていたのだが、子どもたちは何度も魔女の宅急便を、(あんなに駆け回っていたのに)こんなに真剣に観るという。一方で、複数回は観ることのできない映画もあるそう。
僕も子どもの頃からジブリの映画を観て育った。
20歳以上年下の子たちも、おなじように、ジブリ映画を観て育っている。
隣のテーブルで、大人たちはジブリのキャラクター占いを楽しんでいる。
衝撃を受けた。どうしたら、こんなに幅広い世代がたのしめるものをつくれるのだろう。僕も、仕事をこんなふうにできないだろうか。
自分のためから、取材など日々関わってくれる相手のためへ。そして今、次世代のためへと考えているこの時期に、僕の目の前で起こっていたことこそ、次世代のためであり、市井の人々のための、ジブリの活動。
僕は自分たちの仕事をクリエイティブな仕事というよりも、リレーのように考えています。僕らは子どもの時に、誰かからバトンを貰ったんです。そのバトンをそのまま渡すんじゃなくて、自分の身体の中を一度通して、それを次の子どもたちに渡すんだという……
これは宮崎駿さんの言葉だそうです。
君が、子どもの頃から、大人になっても楽しみ、学べるものをつくりたい。
君のいまがより良くなりますように。
父さんは今日も願っています。
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