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ないものはないが「あるものは、ある」。捨てられるモノに役割を与える方法──君のいまがより良くなるように。

以前「モノを活かしきる」とは、不足から創造(イノベーション)を生む源泉でもあるという話をしたね。

紙の山は、女の子にとってゴミの山ではなく、宝の山。女の子は大人になっても、自分が惹かれる紙を、ずっと、ずっと、集め続け、袋を作り続けている。安らぎの時間と、作る喜びがあるからだ。それは子どもの頃からずっと変わらない、遊び心というものでもある。作った紙袋やポチ袋は、小物を収納するバッグインバッグにしたり、誰かに贈り物をする時の包み紙にしたりして、暮らしに役立てている。

今日は、より具体的に、モノを活かしきる方法について話したい。

まず「素材」とは、どんなものだろう。

素材とは①日々の暮らしで使い役割を終えたら、捨ててしまうものであり、②なにかを作るために、素材のいち部分を使い、使わずに捨ててしまうものだ。

たとえば3煎淹れた茶葉は捨ててしまうものだが、乾燥させてお香にできるかもしれない。

このように価値のなくなったモノを素材に見立て、もう一度役割を与える方法は、2つに分類できる。

①使わなくなったモノを集めて、けずって、形にする方法

いま僕が執筆している『クロ』という児童向けの小説のなかで「ヒトツナギ部」という、主人公のクロが所属している部活動がある。

じつは島根県の海士町にある島前高校に、ヒトツナギ部は実際に存在する(ただしあくまでも参考にする程度にとどめている)。取材をつうじて集めた素材は、記事化したら役割を終え、すこしづつ僕の記憶から失われていく。

取材など実体験をつうじて知り得たことを物語の素材として見立て、集めて、けずり、形にしようとしているのが、『クロ』という児童向けの小説だ。

②テクノロジーを利用して、まったく別の素材に変化させる方法

たとえば、ビールをつくるためにはビール酵母が必要。一般的には捨ててしまう余分のビール酵母を使ってパンをつくっている人たちもいる。

・参考:鳥取県・智頭町の菌と生きるパン&ビール屋「タルマーリー」|田舎で僕らと同じ闘いに挑む人が増えてほしい

大吟醸酒をつくるためには、お米をけずって心白と呼ばれる米の中心部を使う。削り取り、捨ててしまう酒粕を、最新の機械であれこれすることで、ポン酢に様変わりするかもしれない。

この写真は、羽田空港から離陸した機内から撮影した、朝の東京湾。

最新のアプリを通すことで、写真はイラストになる。『クロ』のイメージカットとして、フォルダのなかで使われずに忘れられていく写真に役割を与えることができる。

モノを活かしきるとは、役割を終えて捨てられるモノに、もういちど役割という価値を与え、ゴミから素材へ変換し、自分の好きなモノや暮らしに役立つモノをつくること。

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才能も、お金もない……と嘆きたくなるときは、ないものはないが、「あるものはある」と考えてみてはどうだろう?

君のいまがより良くなるように。
父さんは今日も願っています。

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