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アケコンをカスタムした話⑩~Victrix 『Pro FS』編(ENTH 『KRMボタン&ホローボールトップ』)~

 どーもこんにちは、いよいよ今年も雪が降り始め、憂鬱な気分になっているたくさんです。

真っ白な世界が何度でもワイを苦しめる

 さてそんな今回は、前々から欲しかった高級アケコン、Victrixの『Pro FS』をようやく手に入れたので、以前購入したもののまだ使っていなかったENTH Creationsの『KRMボタンとホローボールトップ(レバーボール)』に換装していきたいと思います。

通常は直接海外のサイトから購入する必要があるんですが、叢雲商店さん
代理店として取り扱いしていただいていたのでありがたく購入させていただきました

 クッソ高い高品質なアケコンにクッソ高い高品質なボタンを組み合わせるという何とも贅沢な今回のカスタム、果たしてどんな操作感になるのか!?

 今からわくわくが止まりません、それではさっそくやっていきましょ…て何?何ですか?


そんなことよりたくさん、自作アケコンはどうなったんだよ?


って?


…はい、申し訳ありません。色々と必要なパーツや工具は集めていたものの、初めてやる作業が多すぎてめんどくさなかなか進められておりませんでした。

実は塗装ブースなんかも買ってたりしたんですがまだ開けてすらいません

 まあー必要なものは揃ったはずなので、そろそろ手を付けていきたいとは思ってはいます。…ホントだよ?

 と、とりあえず今回のところは、私の現実逃避も兼ねた『Pro FS』のカスタムにお付き合いいただければと思います。よろしくお願いします。


1.Victrix『Pro FS』とは?

 というか私は『Pro FS』に関して何かやたら高いアケコンくらいの認識しかなかったわけなんですが、そもそも「Victrix(ヴィクトリックス)」ってどんな会社なんでしょうか?

公式HPより。イケメンが持てばアケコンもオシャレに見えちゃう不思議

 今回記事を書くに当たって少しVictrixについて調べてみたんですが、基はPDP(Performance Designed Products)というカリフォルニア州に本社を持つゲーム周辺機器の製作販売を行ってきた会社になるようです。

20年以上の歴史がある由緒正しい会社

 そのPDPが2017年にeスポーツ向けの高品質な周辺機器を作るために立ち上げたブランドが「Victrix」なんだそうで。そして2019年に「Victrix」が初めてアケコンを作り、それが『Pro FS』になるわけなんですね。はーなるほど。

日本での発売は2020年から、色も現行品と違って黒です

 今回私が購入したのは、2023年に発売されたモデルで白・紫のカラーバリエーションが存在し、「Hit Box」のようにレバーレスタイプのものもあります。

私が購入したのは白のレバータイプ
ちなみにレバーレスは『Pro FS-12』という名称です

 そして性能に関しても十分なものとなっています。細かいものは省きますが、私が魅力的に感じたのは↓のような部分でしょうか。

【Pro FSの主な特徴】

航空機なみ(らしい)のアルミボディで作られており開閉式でありながらも超耐久設計
Victrixオリジナルの基板で低遅延
・三和電子のレバーとボタン
を採用し、シャフトは「The Link2」の着脱式 (普通のシャフトも付いてる)
PlayStationオフィシャルライセンス製品でPS4、PS5、PCで使用可能

 まあレバーやボタンに関しては、大体のアケコンが後から交換可能なのでそれほどでも、て感じですがケースがアルミで開閉式ながら剛性十分な点と、オフィシャルライセンス製品なので安心してPS5で使える点は非常に魅力的なんじゃないかと思います。

EVO JAPANなどの大会でPS5版が採用されることも増えてきていますしね

 今私が使用している「TE2+」もその性能に不満があるわけではありませんが、けっこう古いアケコンのカスタム品なのでいつ逝ってもおかしくありません。

すごく良いアケコンではあるんですが

 それにオフの大会なんて私のような田舎暮らしのゲーマーにはあまり縁は無いかもしれませんが、備えておいてもまあーいいんじゃあないでしょうか。PS5版ならファイティングスティックα使っとけよってのはナシで

2.『Pro FS』と対面

 はい、というわけで散財する言い訳は済んだので、さっそく届いた『Pro FS』を開梱していきましょう。

しっかりした梱包で到着

 ちなみに今回買った『Pro FS』はAmazonアウトレットで新古品が4万8千円くらいで売ってたものになります。動作不良等が無いか少しだけ不安ではありますが、下手な中古品ではないんだから大丈夫でしょう多分

外箱は普通に日本語表記でした

 しかしアウトレット品なので外箱に傷くらいはあるかと思いましたがキレイですね。これはひょっとして良い買い物をしたのでは?

外箱を外すと内箱
内箱を開けると専用の手提げ袋?に入れられた『Pro FS』が
内容物は本体+専用袋、あと説明書にUSBケーブルと着脱式ではない方の三和シャフト

 では内容物の確認は済んだので、さっそく『Pro FS』を袋から取り出してみましょう。その定価58,000円、他の追随を許さぬ高級アケコンの実力、今ここに示してみせよ!


オープン・ザ・Victrix Pro FS!!


商品ページによると「よこ48cm ×たて 34cm × 高さ12cm」で重量は3.52kgとのこと

 いやー、このアルミボディの重厚感&高級感、たまりません。初期状態ではレバーのシャフトは内部に収納されているため、穴を塞ぐためのキャップが付いていますね。

レバーは着脱式なので裏返して置いても安心、滑り止めも
しっかりしており赤丸のところに開閉スイッチがあります
中を覗いてみます、レバーやレンチ、目隠しキャップ、
使用ハードの切替スイッチは内部にありました
ばっちりPS5にも対応やったぜ

 今のところ見た感じでは特に問題無さそうなので、実際にレバーを取り付けてみましょう。

シャフトは矢印の部分を押し上げながら差し込むと固定されます
レバーを取り付けるとこんな感じ、はいカッコイイ
手前にオーディオジャックがあります、マイクにも対応
側面には取っ手とLED、想像していたより持ちやすいですね
上部には赤丸のUSB-C端子と、青丸のケーブルを巻いたり
ショルダーストラップを付けられたりする金具があります

 一応、収納されている六角レンチを使えば上部の金具は取り外すことも出来るらしいですね。開閉式とはいえ内部はけっこうキツキツだったので基本は付けておいた方が良さそうですが。

 続いてPS5に繋いで動作確認です。PS5版のGGSTで試してみました。


(プレイ中…)


 うん、何も問題ないですね。遅延もありませんし、気になる人は気になるらしいですが、着脱式のレバーも特に違和感無く操作することが出来ました。

 それにけっこう重量がある(3.52kg)ので膝置きして使った場合はどうかなーと思っていたんですが、よく考えれば今使っているTE2+と似たような重量(3.3kgくらい)とサイズなので重すぎてダメ、なんてことはなかったですね。

10Fスタートで天チャレ発生~成功まで無敗でフィニッシュ
これが『Pro FS』の力…?

 むしろ造りがしっかりしている分、他のアケコンに比べて安定感があると思います。また、同じレバーやボタンでも取り付けるアケコンが変わると使用感が変わってくるんですが、アルミボディの『Pro FS』は良い意味でそういった変化が感じられるように思います。

 さらに『Pro FS』はボタン配置が「ビュウリックス配置」なんですが、RAP.Vなんかと比べるとレバーとボタンの間隔が1cm以上広くなっています。そのため、これまでビュウリックス配置のアケコンで感じていた窮屈さが無く快適な操作が出来ました。

正確な数値はわかんにゃい、けど広くはなってる

 これは私にとってはけっこう大きな発見でしたね!私は今までノワール配置のアケコンこそ至高と思っていましたが、どちらかというとボタンの配置よりもレバーとボタンの間隔の方が大事なのかもしれません。

 そういえば以前ししょーが「レバーとボタンの間隔が広ければビュウリックス配置でも大丈夫だよ~」って言ってたことがあったんですが正直ウソだと思っていたのにその通りでしたね。

疑ってごめんね

 そんな感じで『Pro FS』の性能には大満足だったわけなんですが、とはいえそこにアケコンがあるのであれば、自分好みのカスタムをしたくなっちゃいますよねー(病気)。

 てなわけで前述した通り「KRMボタン&ホローボールトップ」への換装と、ついでにレバーに「OTTO DIY V5」の取り付けを行っていきたいと思います。

3.ENTH『KRMボタン&ホローボールトップ』とは?

 で、その前にENTHのKRMボタンとホローボールトップについても軽く説明しておきます。といっても私も詳しいことは知らないんですけども。

ししょーが「すごくイイ!」と言ってたので私も欲しくなっただけ

 分かる範囲で説明をすると「ENTH Creations」はイタリアの会社で、2019年からアケコンのケース、配線、ボタン、レバーボール等を独自に制作販売している会社のようです。

 競技性や操作性を独自に追及したその個性的なパーツを好む熱狂的なファンも増えてきているのだとか。問題点があるとすればやはり送料を含めたその値段でしょうか。

今回は30mmのボタン×8個で13,000円くらい
一個当たり約1600円(!)です

 ボタンの特徴としては、3Dプリンターで成型されていることとゲーマーフィンガーのように銀軸を採用していることです。少し異なるのはゲーマーフィンガーは「CHERRY MX製」の銀軸であることに対して、KRMボタンは「Kailh製」の銀軸を採用している点でしょうか。

何か色々違うらしい(雑)

 同じ銀軸でもメーカーによって性能や押し感も違うらしいんですが、とりあえずは「似たようなもの」だという認識で構わないと思います。

 そして同時に購入した中空の軽量レバーボールですが、こちらもボタンと同じような素材で作られており、通常のレバーボールの約半分ほどの重量になっているそうです。

お値段2,300円のレバーボールは重さ約15g(!)
おまけでホールリデューサーとロングスプリングをいただきました!
ちなみにレバーディスクも叢雲商店さんが販売されているものです

 軽いレバーボールは低張力(やわらかめ)なレバーのセッティングに合っているそうで、最近は中空のレバーボールを海外の企業などのポスト(ツイート)等で目にすることが増えたような気がします。

ゴールデンレバーで有名なインドネシアの
ASIも中空のレバーボールを販売しています

 軽いレバーボールにすると一体どんな操作感になるのでしょうか?今回はレバーとボタンのカスタムだけですので、サクっとやってその操作性を試してみましょう。

4.レバーとボタンをカスタムする!

 では最初にレバーから。アケコン内部にアクセスしてコネクタとネジを外してレバーを分解し、「OTTO DIY V5」とロングスプリングを取り付けていきます。

この辺は過去のカスタムと同じです

 特に問題も無かったのでざっくりカット。違う点は、シャフトが着脱式になっているためレバーボールの付け外しが少し異なるとこくらいでしょうか。

取り外したシャフトに付属の六角レンチを差し込んで固定します
問題無く『OTTO DIY V5』の取り付け完了!
最近は一番攻めた13mmのアクチュエーターにしてます

 次にボタンを取り外し、KRMボタンに交換していきます。ちなみにKRMボタンはネジ式なんですが、以前取り付けたことのあるセイミツのネジ式ボタンと比べるとちょっと緩い感じがしました。

少し穴径が小さい?感じ

 ただこれ、KRMボタンに付属してきた↓を使って取り付けると違ったんじゃないかと思います。私はいまいち使い方が分からなかったので手で普通に取り付けてしまいました

多分これで締めれば良かった?のかも

 その他はこれまでのアケコンボタンと大体同じ要領でしょうか。ボタンの取り外しはファストン端子の突起をラジオペンチ等で押さえて抜けばOKです。

 しかし『Pro FS』の配線は非常に美しくまとめられていますね。ただまあ一応なんですが各配線の色が全て同じなので、テキトーに全部外してしまうとどのボタンの配線か分からなくなるかもしれないので注意しましょう。

換装終了!芸術的なチュービングですね~

 あと最初のほうで少し言いましたが、けっこう内部のスペースがギチギチで余裕が無い感じです。USBケーブルを入れるのにも苦労しそうですね。アルミボディのアケコンに穴を開けようと思う人がどれだけいるか分かりませんが、ボタンの増設を行う改造なんかも厳しいんじゃないでしょうか。

 とまれ、特に目新しい作業はありませんでしたがこれで完成です!元の色合いとほぼ同じながらも、深みのあるオシャレなアケコンに昇華させることが出来たんじゃないでしょうか。

マットな色合いの黒に変わり落ち着いた印象に
叢雲商店さんのレバーディスクも良い感じ

5.レバーとボタンの感想

 で実際にKRMボタン&ホローボールトップ装備の『Pro FS』を使用してみた感想なんですが、とにかく「軽い!!」この一言に尽きますね。ボタンを押すのに全く力が必要ないかのようなこの押し感、これは他のボタンでは味わえない独自の感覚です。

触り心地も見た目よりサラサラしており、心地よい押し感のボタンです

 そしてレバーも本当に軽く、けっこうタイトなセッティングにしてあるんですが窮屈な感じが全くしませんでした。これに関してはレバーボールだけでなく、おまけで付けていただいたロングスプリング等の影響も大きいのかもしれません。

「柔らかい」というより正に「軽い」といった印象

 なかなか他に似たようなものが思い当たらないので伝えにくいんですが、手に優しい「軽い」操作感による恩恵は、長時間対戦を続ける時なんかには実感出来るんじゃあないでしょうか。

 ただ、「じゃあ今後KRMボタンやホローボールトップを自身のメインボタンやレバーとして使っていきたいか?」というと、そうは思わないというのが正直なところですね。

 使ってみて良かったし好きになったボタンではあるんですが、やはり単純な値段や購入までの手間、届くまでの時間等を考えるとちょっとハードルが高いんじゃないかなあと。他のメカニカルスイッチを採用したボタンや、軽い重量のレバーボールでガマン出来てしまいそうなんですよね。

 まあそれも今後ENTHが販路を拡大して、気軽に購入出来るようになる日が来れば変わるんじゃないでしょうか。

6.『Pro FS』についての補足

 あと最後に補足として、『Pro FS』を使う上での注意点を挙げておきます。基本的にはわざわざカスタムしなくても十分なくらい高性能な本機ですが、それでも留意事項がいくつかあります。

 それは、

【Pro FSの注意点】 
 アルミボディなので冬場は冷たい
 ・
重く大きいアケコンなので持ち運びに不向き
 ・やや静音性に欠ける
 ・L3・R3ボタンのどちらか一方しか使えない

といった点でしょうか。

 冷たいのはアルミの宿命なのでしょうがないんですが、レバーが着脱式で専用の袋が付いているなど、オフ大会等の持ち運びを視野に入れている割に、そもそもデカくて重いアケコンなため嚙み合っていないように感じます。

ショルダーバッグスタイルもTE2+でやってみましたが
車移動前提で「ギリやれるかな?」くらいのレベルかと

 そしてアルミボディが故になのか、ボタンやレバーの操作音が大きいです。そういった意味ではKRMボタンもゲーマーフィンガー等の他のメカニカルスイッチを採用したボタンに比べ打鍵音が大きいため相性はあまり良くなかったのかもしれないですね。

 逆に、以前紹介した隣のボタンが誤反応することがあるという問題を抱えていたクァンバの『グラビティ KSボタン』とは相性が良いんじゃないかと思います。『Pro FS』の剛性で振動による誤反応を防ぎ、グラビティ KSボタンの静音性も遺憾なく発揮することが可能です。

元々の性能やデザイン、押し感は良いボタンなので相性はバツグンかも

 もちろん三和電子の静音ボタンや、ゲーマーフィンガー等の静音性に優れたボタン全般とも相性は良いんじゃないかと思います。実用性と自分の好みに合わせたボタンを考えてみるのも楽しそうですね。

 あとけっこう困りそうなのが「L3・R3ボタンが同時に使用出来ない」ことですね。

『PROボタン』に割り振るしかないんですが、
PROボタンは一つだけなのでL3かR3のどちらかは使用不可になります

 通常の対戦だけならともかく、トレーニングモード時の操作も考えるとボタンが足りなくなるなんてことも普通にありそうです。前述した通りあまり内部に余裕が無いので、物理的にボタンを増やすような改造も難しいのでここは改善してほしいところですね。

7.まとめ

 というわけで今回も長々とここまでお付き合いいただきありがとうございました。総評としては『Pro FS』と『KRMボタン&ホローボールトップ』はトータルで見て素晴らしいけど値段に難あり、てところでしょうか。簡単に替えの効くものではないので大事に使っていきたいと思います。

図らずもTE2+と対照的な色合いになった『Pro FS』が良き

 そして次回こそは自作アケコンの進捗をお見せ出来ればなと。大したことをしているわけではないんですが、時間ばかりかかってしまっていてお恥ずかしい限りです。

 年内にもう一つくらい記事を投稿したいと思っていますので、もしよければそちらにも目を通していただけると嬉しいです。それではまた次回の記事でお会いしましょう。ではでは。

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