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短編SF『アリスの物語』を読んで考えた、近未来のPIMサービスってどうなるのか?

 倉下忠憲さんのSF『アリスの物語』を読んだ。本作は、Evernoteや仕事術関連の著作で知られる倉下さんのSFデビュー作で、『ライトなラノベコンテスト』の最優秀作だ。コンテストの審査員をした、セルフパブリッシングの成功作GENE MAPPERの著者である藤井太洋さんが、監修をしたという意味でも興味深い。148円で、30分ぐらいあれば読める文字量なのでぜひ(Kindle版)。

 その中でアリスは秘書的な役割を果たすプログラムとして描かれるのだが、冒頭の『タスクリスト』の中で、『重要度大だけを表示してくれ』的に、現在のToDoアプリを口頭で操作しているような感じで表現される。

 ここは倉下さんのビジネス書籍系の愛読者の方は面白がるところなのかもしれないが、僕的には「えーっ! 未来になっても、まだ重要度の設定でオレは悩んでいるのかよ!」って思った。せっかくバーチャルセクレタリーがいるなら、そんな面倒なことはそのプログラムに任せたい。

 では、未来ではこれらのサービスはどうなって欲しいのだろう?

 たとえば、今、僕らは名刺の住所の管理に追われ、大量のメールの分別と返事に追われ、「お会いしたいんですが」という連絡が入ったら、確定と未確定が入り乱れたスケジュールアプリの中から、すき間を探し、増えるばかりのToDoリストのタスクの山を減らそうとする、賽の河原で石を積むような作業に追われている。

 それに対して、実際には何がしたいのかというと、資料を俯瞰して意思決定をしたり、そこから文章を書いたり、プレゼンテーションで表現する内容を考えたり……つまりクリエイティブワークに集中したいわけだ。

 ならば、アプリやサービスはどうなればいいのだろうか?

 たぶん、メールやメッセージはインテリジェントに選別して欲しい。スケジュールだって、重要度とか行きたい度とか勘案して(当然のことながら移動時間もかんがみて)自動的に組んで欲しい。元気だったらバリバリと、元気じゃなかったら割引いたタスクを表示して欲しい(この描写は「アリス〜」にあった)。資料や、名刺なんかは勝手にとりまとめておいて欲しい。

 つまり、GメールやEvernoteでやっていることをインテリジェントにやって欲しいってことかなぁ。あとはインターフェイス。
 Siriに向かって、「体調悪いンだけど、どうしても今日でないとイケナイ用事だけ表示して!」と言ったら、あとの予定は繰り延べのメールを打って置いてくれるような感じかなぁ。

 先日SFで取材したDG717のModuleQのメールシステムは、言語解析をして対応しなきゃいけないメールを選別してくれると言ってたから、これに近いものかもしれない。

 また、どうしても「インテリジェントに」というのが難しければ、名刺管理サービス『Eight』の文字認識が一部人力なのと同様に、情報をバラバラにしてネット上のどこかにクラウドソーシングしてしまうのも手かもしれない。

 というわけで、期待するのは『インテリジェントなクラウドセクレタリー』。実現はいつ頃になりますでしょうか?

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