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宇宙就活 in アメリカ

 今僕は遷音速で太平洋を横切っている。片道切符。行き先はNASAだ。ついに夢が叶うのだ。最初の10年漠然と心に抱き、次の10年本気で思い続けた、この夢が叶うのだ。夫になり、父になった僕が、しばらくの間、再び少年へ戻り、自分のためだけに息をする時間を取り戻すのだ。

はじめに

 本記事は、僕がNASAジェット推進研究所(以下、JPL)に就職するに至った経緯に沿って、留学・外国人としての宇宙就活・永住権申請・内定〜給与交渉というニッチな体験談をまとめた記事である。あくまで一例にすぎないが、これからアメリカの宇宙産業に就職を考える人、あるいは漠然とNASAに憧れる昔の僕のような人の人生設計の一助になれば、と思い筆を執る次第である。

 本記事は、非常に具体的な内容や僕の個人的な情報を含むため、有料記事とさせていただくこと、ご了承いただきたい。それを本当に必要とする方(あるいは特に興味はないが物見遊山に投げ銭してやろうという奇特な方)にはぜひ読んでいただきたいが、本当に必要かわからない方にはまず、僕の留学から就職までを振り返った以下の記事(無料)を読んでいただいた上で判断していただければ幸いである。また就職してからの話は、不定期で日記を付けているので、そちらも合わせてどうぞ。

 − ◯◯な話
  留学〜博士号取得まで
 − 雨乞いダンス
  宇宙就活〜NASA就職まで
 − JPL日記
  NASA就職〜(不定期更新)

NASAジェット推進研究所でジョブトークを兼ねたプレゼンを終え、スペースシャトル・エンデバー号が展示されているカリフォルニア科学センターへ。エンデバーは、僕がフロリダで初めてシャトル打ち上げを見て涙した思い出深いオービターだ。表紙の写真はそのときに撮ったもの。

 これより先は、宇宙就活〜NASA就職までをまとめた記事「雨乞いダンス」では割愛した各ステップの細かい内容を詳述する形で書いていこうと思う。具体的には、JPL就活の経緯や面接内容、グリーンカード申請の手順・推薦状の内容・他の必要書類、ノマドク生活、JPLのジョブオファー、開始時期と給与の交渉、JPL以外の宇宙就活、コネクションの話、内定承諾など。質問やリクエスト等、コメント欄に書いていただいて構わない。また、参考になる資料等を思い付いたら/思い出したら、随時追記していきたいと思う。

※外国人が(永住権取得や留学をはさまずに)直接NASAに就職する方法や、永住権申請の最近の成功例の具体的な情報(国籍、分野、居住地、認可にかかった時間、被引用数など)を掲載しているウェブサイトの紹介など、1,800字ほど加筆しました。

2017年2月14日の西日本新聞朝刊で僕のJPLでの仕事内容や就職に至る経緯が紹介されました。Yahoo!JAPANニュースにも一定期間転載されていましたが、こちらはタイトルに誤りがありました。「不採用から1年」ではなく2年半(永住権申請に1年、認可に1年半)です。詳しくは本記事で。

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