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LOG ENTRY: SOL 38

 今朝起きたら10:50。昨夜寝たのは1時台だっただろうか。少々寝過ぎだ。が、ここ1ヶ月は無意識の緊張感からか、3〜4時間しか眠れなかったり、ほとんど眠れなかったりする日が多かったので、むしろいつもの自分が戻ってきた感じがしてちょっと嬉しかった。

 この1週間は、先週新調した仕事用PCでひたすら仕事した。新しいPCはやっぱり動作が速くてストレスフリー。捗る。一点だけ、なぜか外部モニターへの接続がうまくいかない。あれこれトラブルシューティングを試みるのだが、ググっても出てくる情報は「電源は入っていますか」「ケーブルは正しく接続されていますか」「この情報は役に立ちましたか」。。って、そもそもググってこういう情報にたどり着ける人間は、そんな初歩的なミスしないだろ。

 今週はMITからの10年来の友人である小野の火星ローバーのプロジェクトで、しょっちゅう彼と会っていた気がする。二人きりで話すときはもちろん日本語だが、他のメンバーもいる場所では二人の会話であっても英語だ。面白いのは、他のメンバーが近くにいることに配慮して英語で会話しはじめたのに、彼らが徐々に去っていき、日本語に移行する瞬間。二人ともアメリカ歴は10年を超えるので、周りに人がいるときに英語で会話することに違和感はないのだが、二人きりで英語はやっぱりむずがゆいのだ。

 もうひとつ、地球観測衛星の安全設計審査の仕事。とにかく大量のドキュメントをひたすら読む。知らないAcronym(頭字語)がたくさん登場するのだが、どこにも説明がないものばかり。何と不親切な書類なんだ。中にはググっても答えにたどり着かないか、あるいは答えがありすぎて、複数当てはまる気がするようなものもある。Acronymリストはすでに200個を超えている。

 初めて知るミッションで、初めてやる類の仕事なので、僕が抱えている3つのプロジェクトの中でも一番自信がなく、何をしたらいいのかさえモヤモヤしている。この「何をしたらいいかわからない」「もしかしたら見当外れのことをやっているかも」という不安は、きっと典型的な新入社員あるあるなんだろうな。おまけにこのプロジェクトの上司N.D.も、インドの妖精のような顔の割に、いつも表情が鋭くて、どことなく高圧的だ。とにかく今は、ひたすらメモ帳に字を書き絵を描きして、カラダでつかもうと足掻いている状態。

 それで今日、とある人に会って話を聞くミーティングが13:30に入っていたのだが、13:30ぴったしにその人のオフィスに行くと、すでにN.D.も、もう一人の同僚K.D.も来ており、3人で話が始まっていた。挨拶しながら部屋に入ると、N.D.が僕に椅子に座るよう促して「君は最初の部分を逃したね」「この人は何たら局の副局長だ」「Don't be late」とあくまで冷静にまくし立てた。あ、これ怒られてる?と思って「すいません」と返した。すると何たら局の副局長さん「学校みたいだな。ところで君は就職したて?」「はい、1ヶ月ほど前に」「じゃあ卒業したばかり?」「いえ、3年前にMITの博士課程を卒業しました」。そして副局長がジョークなのか皮肉なのかよくわからないことを言うと、N.D.「彼は嫉妬してるんだよ」。…??

 どういうテンションで座ってればいいかよくわからないミーティングだった。話の内容も専門的だし速いし、ほとんど意味がわからない。そのミーティングが終わったあと、別室でN.D.とK.D.と3人で話して、僕が何をやればいいかは何となくわかってきた。それにしてもあの副局長さん、何者なんだろうと思ってあとで調べてみると、JPL歴30年、数年前まで太陽系探査局の副局長、今は惑星ネットワーク局の局長だった。とにかくエライ人なんだな。

 今日の夜は小野とご飯を食べてシン・ゴジラを見に行くことになっていたので、20時過ぎまでオフィスで仕事。これといった定時などないが、人がほとんどいなくなったあたりからは、将棋番組を流しながら、火星ローバーのもうひとつの仕事の方のプログラミングをやっていた。人の書いたコードを読むってけっこう勉強になるなー。僕も長いこと使ってきたMATLABだが、僕の知らない関数や文法がいろいろ出てきて、その都度調べる。そうこうするうちに時間が来たので中断して退社。明日はRDOなので仕事用PCは持ち帰る。

 小野との待ち合わせは、パサデナのとんこつラーメン「Tatsunoya」。ここ最近ロサンゼルスエリアのラーメン屋に3軒ほど行ったが、どこもうまい。3軒中3軒とも、ボストン10年で一度も食べたことのないレベルだ。ラーメンを食べながら、小野の新連載『一千億分の八』の話を聞いた。漫画『宇宙兄弟』の作者・小山宙哉さんの公式サイトで、これから毎週更新予定だそうだ。彼は読むのも書くのも速いとはいえ、仕事をしながら連載もこなして、僕からしたら信じられない。彼の1日は48時間くらいあるのだろうか。何星人だろうか。

残念ながら今日のTatsunoyaのラーメンは写真を撮り忘れたので、最近行った2軒を。左は「Tsujita」。今冬に僕の街にも店舗ができるそう。右は「Shin-Sen-Gumi」。ロサンゼルスエリアに5店舗ほどあるようだ。

 そして『シン・ゴジラ』。北米では1週間だけ上映される。実は僕は日本ですでに3回観に行っている。しかしどうしてもアメリカでもう一度観たかった。この映画が大好きだからなのはもちろんだが、それに加えて、字幕の付け方や、アメリカ人の反応を見たかったのだ。チケットは$12。劇場はかなり小さめだ。席も決まってないので、早い者勝ち。声を掛けておいたJPL仲間のK.O.くんも夫婦で参加。もう一人別のJPL仲間Y.T.くんは昨日見たようだ。

僕にとって、映画にポップコーンとコカコーラは付き物だ。僕はゴジラでポップコーンを4杯も食べたことになる。しかしMでこれはでかすぎ。。

 日米で4回観終わっての感想は、いろいろある。日本で3回観て、僕なりの感想は固まりつつあったが、日本人とは全く違う反応をするアメリカ人に囲まれて観ると、ちょっと違って見えた。ゴジラに込められたメタファーを日米の両面から見た気分。これについては、近々別の記事として書きたいと思う。とりあえずポップコーン食いすぎた。。(; *Д*)=3

 明日はRDO(隔週に1度金曜はお休み)だ。カリフォルニア州の免許取りに行こう。試験勉強しなきゃなー。

★★★

先週末はサンディエゴへ。車で南に3時間(渋滞あり)。ビール好きの友人たちと連れ立って、Stone Brewingという有名なビール醸造所(左)と、White Labsという酵母だけいろんな種類のものを使って醸造されたビールを飲めるマニアックなお店(右)に行ってきた。

サンディエゴのリゾート地&高級住宅地で有名な町ラホヤ。海岸の岩場に集まる野生のアザラシ。その後僕だけ別行動で高校時代の友人家族の家に泊めてもらい、翌日は帰り道のニューポートビーチというリゾート地でまた別の宇宙仲間とBBQ。カリフォルニアを堪能した週末でした。

※追記:後日「シン・ゴジラに見る日本とアメリカ」書きました。

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