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Nintendo Switch Liteの登場によって何が変わるか

先日、任天堂から新ハード「Nintendo Switch Lite」が発売された。このハードを単なるNintendo Switchの廉価版だと認識してる人も多いだろうけど、自分はこの互換機にはもうちょっと大きな意味があると思っている。このハードの発売によって任天堂は“据置機と携帯機の統合”を本当の意味で実現させることができるのではないか。1989年のゲームボーイ誕生以来ずっと続いてきて、誰もが当たり前だと思っていた据置機と携帯機の区別がなくなる歴史的転換点が今なんです。

そもそもSwitch自体、据置機と携帯機をひとつにするというコンセプトで開発されたハードなわけだけど、でも現実はどうかというと、外でSwitch遊んでる人とか見たことなかったですよね。やっぱりちょっと重いし、スティック周りデコボコしてるし、バッテリーの持ちもよくないし、ジョイコン外れてばらばらになりそうだしで、カバンにスッと入れて出かけようという気にはならなかった。

Switchは家の中で遊ぶゲーム機としては申し分ない。テレビへの出力やスリープ復帰もスムーズで本当によく考えられたハードだと思う。ただやっぱり外に持ち出して遊ぶ感じじゃなかった。さらにSwitchの発売後に2DS LLがリリースされたこともあり、携帯ゲーム機はDSシリーズの時代がもうちょっと続くのかなと思っていた。

とはいえ、ゲームボーイアドバンスの時代が終わり、ニンテンドーDSが発売されたのが2004年のこと。そこからDS→DSi→3DS→New 3DS(→2DS)とバージョンアップを重ねてきたものの、2画面の基本コンセプトを変えずに15年も続いてきたDS時代はちょっと長すぎた。任天堂としても、据置機がWii UからSwitchに移行した今、携帯ゲーム機市場でDSシリーズがいまだ現役という状況は本意ではなかったと思う。

その状況を変えるため、Nintendo Switch発売から2年半が経った今、満を持して登場したのがNintendo Switch Liteなのであります。無印SwitchはDSの後継機たり得なかったけどSwitch Liteならいける。持ち運べる。しかもSwitchで魅力的なソフトが揃ってきたタイミングで、価格も18,800円(税抜)の3DS LLとほとんど変わらぬ19,980円(税抜)に設定して、そしてなんといっても11月には任天堂の携帯用ソフトの象徴であるポケモンの新作ナンバリングタイトルがSwitchに来るわけで、これはもう決定打と言っていい。というわけで、Nintendo Switchは名実ともにWiiシリーズとニンテンドーDSシリーズ両方の後継機になりました。やったね。

あとソニーが先日PS Vitaの出荷を終了して携帯機市場から撤退したことも追い風になるはず。これによってNintendo SwitchはPS Vitaの後継機としての位置付けも得ることになる。世界的に携帯機市場が縮小して、スマホゲームにユーザーが流れてる状況ではあるけど、スマホ持てない子供とか、あと物理コントローラのメリットを考えるとやっぱりゲーム専用機の優位性というのはあると思うので。

そしてもう1つ、Switchで据置機と携帯機が統合されることによって携帯機=ロースペック / 据置機=ハイスペックという前提が過去のものになって、すべてをSwitchで賄えるようになるのも大きい。例えばこないだSwitchへの移植が発表された「moon」がいい例で、20年前のPS1用ソフトをリメイクなしでPS4に移植するのはスペック的にアンバランスな感じあるけど、そういう旧作ソフトの受け皿としてもSwitchはちょうどいい気がする。ゲームキューブ発売以降、加熱するスペック競争から距離を置き続けた任天堂の意志がいい形で実ったんじゃないですかね。

なのでこれからのゲームマーケットはいい感じで棲み分けできそうな気がしてます。スマホゲームは課金で楽しさ増す気軽な娯楽として支持され続けるだろうし、PS4やSteamはゲームの最先端を開拓するプラットホームとして超重要だと思うし、Nintendo Switchは任天堂っぽさの集大成としてますます盛り上がってもらいたい。

最後に、やっぱりNintendo Switchの今後の展開で気になるのは過去のソフト資産をどう扱うかという点です。先日やっと「Nintendo Switch Online」でスーファミのソフトが遊べるようになったけど、WiiやDSにおけるバーチャルコンソールの本数と比較すると現状はちょっと寂しいものがある。でもこれ要するに任天堂はWiiやDSで推してたバーチャルコンソール(単品販売)をやめて「Nintendo Switch Online」で月額固定料金のサブスクリプションモデルを採用したということなんですよね。ただ音楽のサブスクリプションサービスなんかに比べると12カ月で2400円は安すぎて今のところオマケ感が強いので、もうちょっと高くていいからラインナップをもっと拡大させてくれるとありがたい。プレミアム会員とかあってもいいかもしれない。そして今はファミコンとスーファミしかないけど、早く64のソフトもやらせてください。

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