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中学受験界の進化が想像以上だった話

前回のブログでも書きましたが、我が家は中学受験の子供がおり、昨年からてんてこ舞いで対応していましたが、ようやく受験を終えることが出来ました。

私自身にとって中学受験業界は未知の世界でした。塾に相当のお金がかかるとか、子供が小さいのに夜遅くまで通塾でかわいそう、なんてことは想定していたのですが、受験システムの進化は想定以上でした。
今回はそのことを書いてみたいと思います。

1.受験日程が臨機応変

試験申し込みが本当に気軽に出来ます。
小学校で推薦書を書いてもらったり、内申書を提出しなくてよい学校が大半だと思いますので、Webで住所氏名を入れてポチるだけです。しかも前日や当日朝まで出願可能な学校も多くあります。
また、中学受験は受験科目が4科目と少なく、たいてい午前中で終わるのですが、午後15時ごろから試験を行う学校もあります。この場合、午前→午後と受験校をはしごすることも出来ます。
また、試験結果がその日のうちに出る学校もあるので、当日の試験結果を見てから、翌日の学校の出願をする、なんてことが可能です。

受験の自由度が大きいので、受験校の志望順と日程を踏まえ、試験プランの事前検討が重要となっています。

実際に我が家はこんな感じのプランニングを行いました。

2/1
 午前A校、午後B校 受験
 当日23時にB校の結果が出る。
  ・B校に合格なら、2/2は予定通りC校受験
  ・B校に不合格なら、 2/2は安全校のD校に変更し即座に出願
2/2
 C校かD校を受験。親は体育館など指定された場所で待機。
 A校の合格発表が2/2の午前中。待機場所でスマホで確認。
  ・A校に合格なら受験終了後に子供をピックアップして帰宅
  ・A校に不合格なら、さらに安全校のE校にその場で出願
   午後はE校へ子供を連れていく
2/3以降
 F校受験
 以降は前日までの状況を踏まえ、プランを再検討しつつ進める

条件分岐が多様なので、メモしておかないと訳が分からなくなります。
各ご家庭でも、多種多様なプランニングをしていると思います。

2.「ミライコンパス」の独壇場になっている

試験申し込みは上記の通り気軽にポチることが出来ます。合格発表も構内の学校掲示は行わず、Webのみで行い、さらにそこから入学金支払いまでワンストップで対応しています。これは「ミライコンパス」というサービスで実現しています。
このサービスはほとんどの学校で採用している模様です。

ミライコンパスは三菱総研DCS株式会社のサービスです。

三菱総研DCSは、元々は三菱銀行系のシステムインテグレーターでしたが、紆余曲折の末、現在では三菱総研の連結子会社になっています。

受験票は郵送されてきたものに写真を貼って持参する、というスタイルではなく、ミライコンパスからダウンロードして自分で紙に印刷するスタイルです。顔写真についてはアップロードしたものが自動で受験票の枠内にはめ込まれて出力されます。
写真の切り取りや糊付けなんて作業は一切不要です(大人向けの資格試験でも採用してほしい!)。

ミライコンパスで一度登録した写真や情報は、別の学校の出願でも使いまわし可能です。さらに、ミライコンパスは学校説明会のエントリーでも採用されているのですが、そこで登録した情報も使いまわし可能です。

ミライコンパスは、私立中学だけではなく、私立高校の多くも導入しています。ですので、お子さんを持つご家庭はどこかの段階でお世話になる可能性が高いです。

3.ミライコンパスでの決済と、ビジネスチャンス

ミライコンパスはクレジットカード、ペイジー、コンビニ払いでの決済に対応しています。
ペイジーは、銀行窓口やATM、ネットバンク経由で決済を行うのですが、普段からペイジーの操作に慣れていないとあわてる危険性はあります。コンビニ払いも事前にミライコンパスのサイトで支払するコンビニを指定し、払込票番号などを発行しておく必要があります。

合格直後は時間との戦いで入学金の支払をしなければなりません。さらに親は子供の付き添いで外出中なので家で落ち着いて決済というわけにはいきません。
ネットバンクの場合は外出先のモバイル環境でうまく操作できるか、銀行窓口、ATMやコンビニ払いをする場合には、試験会場の周辺に銀行やコンビニはあるのか、混雑の可能性はあるか、事前に調査しておく必要があります。

クレジットカードの場合は上記のような心配は無用で、ミライコンパスのサイトにスマホでアクセスして合格発表を確認後、そのままクレジットカード番号を入力するだけで決済完了です。
しかし、手数料がそこそこ高く、1.9%程度となっています。例えば25万円の入学金を支払う場合は手数料は4,750円程度になります。
まあそのくらいは安心料だと思いましたので、私はクレジットカードで決済しました。還元率1%のクレカを使えば手数料は実質半額程度まで緩和されます。

このように、多少手数料が高くても安心のためなら支出するという層は少なくないと思います。この状況をキャッシュレス業界が(とくにあのY社が)黙っていないのではないでしょうか。参入の機会をうかがっているかもしれません。

ペイジーは旧来の金融機関が作ったスキームで、ネット銀行等の新興勢力は入り込むことが出来ていません。しかし、ミライコンパスを運営する三菱総研DCS自体が、銀行系に義理立てしていつまでもペイジーのみを使い続けるかは分かりません。

キャッシュレス決済はモバイル決済がメインターゲットですので、出先での受験料や入学金の支払と相性は非常に良いと言えます。
数年後、受験会場の親の待合室で「paypay!」の音が鳴りまくる、という状況を想像して一人でほくそえんでいます。

IT系企業に所属する企業内診断士です。