建築情報学会キックオフ準備会議第2回 ログ

概要
建築情報学会キックオフミーティング第2回
- 登壇者
モデレーター:石澤宰
ゲストスピーカー:提坂ゆきえ(Autodesk)
- 日時: 2018年5月24日(木)
19:00-21:00(開場18:30)

https://kenchiku.co.jp/event/evt20180426-3.html
http://10plus1.jp/information/2018/04/archinfo-kickoff02.php

BIM の解像度をあげよう

スピーカーのキャリア紹介

- 提坂 ゆきえ
設計コンサル BIMコンサル → アラップ → Autodesk

- 石澤 宰
SFC池田研究室 → 竹中工務店 設計 → シンガポール BIMマネジメント


BIMに纏わる質問に1件3-4分でひたすら答える質問コーナ開始


イントロ:BIMで誰が損をするのか?

- 几帳面な人が損をする。BIM って全てのデータが埋まってなくていい。携帯のアドレス帳のようなもの。

構造計算に向いていないので、メリットが少ない?
- モデルを 0 から作る必要はない → 構造モデルはあるので 0 ではない。
- 構造モデルは切れてるので、設計モデルに移すには作業はいる。
- ジオメトリに頼るのではなく、Detaベースに必要なデータを入れてしまって、そこから必要なデータだけ取り出せればいい。柱の番号とか、位置と長さ。

BIMは誰がやるか/誰の仕事か?
- BIMモデラーとか存在するのか?
- 設計レイヤーの人がやるのか? → 規模による
- 設計が100人いるとかいうプロジェクトでは BIMだけやる。でも規模が小さければやる。自分でやれれば楽。毎回0から作れるようにならないといけないか?という話とは違うけど戻しとかしなくていい。

小さいアトリエとかで使うメリットは?
- 空港とかのでかい規模だと把握が大変だから、小さい規模で初めてみるメリットは大きい。

BIMが抱える問題点
- 担当者のデスクトップのモデルが動けばいいけど。クラウド上のデータにアクセスするとき、いろんな人がデータをアクセスするという状況を考えた時に重かったりいろんな問題はある。
- ある程度を越えると、一気に重くなる。統合モデルに一括でデータを持つっていうところに限界はある。

大変だったこと
- あるプロジェクトで Revit の導入をサポートした。CADは一度承認されたら内容はに変更ないけど BIM だと内容が変わる。どうして後から変更されるのか?と担当社が困っていた。

▼ 現場はjwしかない / 変換の時間がかかる
- うまく合意しておく。僕はここまでやる。あなたはここまで上がってきてください。という前捌きをしておいてお互いが無理のない妥協点を探す。

BIMを使っていると、「情報体系」が必要。そのコーディネーターが必要で、それを設計者が兼ねるのは負担が大きい
- 海外の一般的な設計フォーマットは見積もりからつけることが多い。
- でも誰かがやらないといけない。

▼ BIM管理のメリットよりコストが高いくなる閾値は?
- 20,000平米以上だと 設計を兼ねながらモデルを作るは無理。
- 平米数と投入できる人数とスキルで判断とかする。
- Archi も Revit も 基本的には形が四角いものを扱う。10000平米は超えないようにという目安はある

▼ モデルと面積の取り方が一致しない場合、実情どのように対処しているか?
- 日本だと壁芯でとる。BIMの面積は内法の面積で出る。
- 床面積と容積の計算が特殊だったり、法規上ピロティがあるとセットバックスできるんだけど、それってどうやって BIMで管理するのか?
→ 答えはない。変にハックして専用のオブジェクトを作って、計算解かせてもいいけど、他の人がデータを見たときに混乱する。
- 国によっても違う。分割点で分割するとかやり方はある。

▼ BIMのワークフローをマネジメントしていくために、欠かせない職能は?
- BIMのマネジメントやる専門を PMや実務とは別にいるのが望ましい。
- BIMマネーシャー:組織の中にいて、会社のライブラリとかテンプレートを作る人と、他社を含めたプロジェクトのBIMマネーという役割の人がいるべきだ。

▼ 日本では、海外の成功事例を参照しすぎるあまり、BIMを使う意味が混乱してる気がしている。

▼ 設計図は今後無くなるか?
- 確認申請の詳細度は変わってくると思う。
- このモデルさえあればいいというふうにはならない。設計の意図を伝える設計図書は必要で、必ず残る。
- 例えば。外科医者診断。どくどく動いてる心臓のモデルを渡されても見れない。判断するためには心電図が欲しい。記号になって抽象処理されたものの優れている点があるので図面は残る。

▼ BIMマネージャーとプロジェクトマネージャーとプロジェクトマネージャーはどのような力関係であるべきか。

▼ 竣工後の維持管理ではどのように役立つのか?
- 設計者がケアできない情報とか、そういうものって沢山ある。だからできないというわけではない。お客の役に立てようとするとどこまでケアするのかは難しい。業務の範囲の話。電話番号とかそういうものはデータに入っていない。
- でも、そもそもデータが残っているだけ良い。

▼ 登壇者がBIMのスペシャリストとして会社を起こすとしたらどのようなものを作るか?
- BIMのプロセスの一部をBizにするというところに魅力はなくて、BIM全体のプロセスをみる、プロジェクトごとにアドバイザリーとしてコミットしたい。
- データをどうやって持って運営したらいいのか?という部分を掘って見たい。

▼ BIMにおけるクオリティというものはどういうものか?
- LOD / LOA モデルの質をどれくらいにするかというメジャメントがある。
- 契約上の指針。実行可能な感じでかんばる。サクサク動くデータは正義。
- アラップの成熟度判定。その評価の指針が、モデルを作り込んだか?いうことではなく、コラボレーションでどれくらい使われたか?というのが判定なので、そういう指針もある。

▼ 外注がBIMモデルを入力してくれる状況で、自分は何ができるようになればいいのか?
- BIM外注がどこも忙しい。とりあえずチュートリアルやるのは無駄なので、プロジェクトベースで始めてみる。のがいい。
- パイロットプロジェクトをやってみてオンザジョブでやってみる。
- シンガでやってた1年半くらいは、モデル作ってなかった。モデル作れない BIMマネジメントやってる。

学生 BIM → モデラーとしてしか使えてない気がする。何をしたらいい?
- ワークフローをよくしていくために、使っているだけなの今はそれでいい。
- BIMっぽく強いモデルを作る → 変更に対応できるか? 柱割とかそういう耐えれる。情報の流れとか繰り返し対応できるか?でBIMっぽくなる。

BIMを一般化するのに必要なボトルネックは何か?
- BIMって標準化に近い。コーディングシステムとか、データのもちかたなども含めて近い。ライブラリの話でいくと、Sketch UP はうまくいっている。
- Revit ユーザークループが共通のものを作って共有する とか 日建がテンプレートを公開した。

▼ 面積の情報化の難しさ・そのほかの難しさはあるか?
- 申請がらみで → 避難距離。避難するオブジェクトはない。
デジタルツイン(建物を作るとデジタルとしてバーチャルが存在する)とは言われているが、デジタルで回収できないのはいっぱいある。
- 構造系の絡みだと → 接点がない。xyzはあるけど接点がないので、ダイナモで再現する。

▼ IFCの実行性 BIM以外の対応
- IFCというのは、共通プラットフォーム。いろんなソフトが IFC を開けるようにする。互換性のためのファイル。
- IFCの改良とソフトの乖離とかあるので、今後よくなるけどまだない
- お互いのソフトのプラグインでインポートした方がまだいい。なんでものデータは逆に弱い。
- 環境シミュレーション系は、IFCがデータを渡せたのは大きい。

Rhinoceros とかにBIMの機能のプラグインはどうなん?
- その人のデスクトップでしか動かない。チーム全体のインフラを共有するという意味では、ハンディキャップを背負っている気がする。
- 建築用ではないモデリングソフトに組み込むコストは高い。と思う。使い分けた方が良いとは感じる。という意味で力技。

▼ プレマットマシンとの互換性これからの展開
- 特に鉄骨とかだと、機械は10年前のものなので。そもそもそこのアップデートは遅い。3Dの効きは少ない。

▼ 大学でBIMの授業を担当。普及に必要なものは?
- 設計にソフトウェアのトレーニングをするのは勿体無い。コラボレーションの環境を作るとこからスタートするというような授業の始め方が良いのでは?
- 9割の人はソフト開けたことない。実際にそういうものがあって使われているということを理解する。このソフトウェアが何をしてくれるのか?というのを知るところまで行く。

▼ BIMが効率を上げる利便性とかがフィーチャされてて、楽しみとかそういうのがなくなってる?
- 困ってる? 設計を進めるに当たって多くある問題解決のためにはデータがないと始まらない。データを作るためにモデルを作ろう。というモチベーションはダメか?

以上質問コーナ終わり。
個人用のメモなので、メモってないところところどころ。

最後に池田先生からの一言
建築情報学会準備会議が結構抽象度の高いレイヤーが多かったので、一旦目の前のBIMという建築x情報の組み合わせの一番身近なところの具体的なレイヤーのアプローチをとったとのこと。
実務に関わってる人が自分ごと化できるレイヤー話をトピックに据えるという事自体も情報設計的な操作なので、その辺りもこの学会のあり方が見えて良かった。

以上。


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以下、個人の感想。

今日話聞いててなるほどって思ったのが、設計業務にまつわる物理的な情報を3DモデルというIDに紐づけるツールが BIM っていう思想。
情報を紐づけるIDとして3Dモデルを使っている(に過ぎない)っていうのが本質ってところが面白かった。
要は DB の取り出し UI としての役割(と理解した)

別に紐づいてさえいれば 2D でもいいんだろうけど、3D で持っておけば射影として2D 取り出せるのでそっちの方が早くねっていう話。

でも質問でも出ててた通り、扱うコストとか作るコストはそこそこあるので、まだ BIM を導入するメリット以上にリスクとコストがあるから日本ではあまり受け入れが進んでない。という話に感じた。

BIM自体はアイディアであり、それによって発生するメリットを想像しにくいっていうところ。
成熟を迎えた産業が、異なる思想やフォーマットを受け入れるのが辛いという日本産業の構造の問題でもある。現場レベルのおっちゃんとか、設計でも初老のおっさんがバリバリと仕事できている(そしてエライ)という状況が既にあって、現状維持ではなく様々なコストを払ってでも新しい世界に行った方がハッピーっていう話にはなかなかならない。

BIMが普及に足りないのは、データ作る人 - 使う人 - 管理する人 全員がハッピーになるエコシステム。行政が主導だと結局1-2世代待つことになるので、ビジネスのスキームに乗ったエコシステムができるのが最速で最短。
アカデミーを巻き込むことでそこを耕し始めるハードルは下がっている気がする。豊田さんのリードのうまさ。


個人の超感想。

DB の取り出し UI であれば、もっと色々な取り出し方はあり得て、
土木・都市レベルの計測データや 材料や設備/インテリアに関して、オープンデータとして提供側が APIレベルの データを持つ。というアイディアとかあってよくて、その辺の生態系の設計に興味があったのだけど。

ソフトウェアエンジニア文化的な、オープンソースやコミュニティーがどれくらい存在できるのか?とか、その辺含めてコミュニティにアプローチしてみないとなと思った。

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コメント1件

貴重な情報、サンクスやで、ワイはペリカンやけど、勉強になったわ、ホンマの話。
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