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9月から変わること、変わったこと・・・①

9月7日の新型コロナウィルス感染症のアドバイザリーボードで、9月から行われるコロナ対策の変更が記載されていました。

「世の中は5類感染症に変更をした方がよいのではないか」
「全例調査はいらないのではないか」
そんな声をよく聞きます。
実際それに近い形になるのではないかと思っています。
変更点を一つ一つ挙げていきます。

※分かりやすくするため簡略化して書きます。正式には厚生労働省の資料を参照してください。

1.感染隔離期間の短縮

まずは変更前は、
軽・中等症:発症日から10日間and症状軽快後72時間経過
無症状感染:検体採取日から7日間経過
濃厚接触者:陽性者接触から7日

でした。
感染者や濃厚接触者がこれだけの日数隔離されてしまうと、日本で一日20万人も感染するピークの時期になると、人員不足から医療はおろか経済が回らなくなります。
電車やバスが減便したり、店が休業したのを見かけました。

そんな理由やコロナの死亡率が低下したということもあり、9月7日から変更になりました。
軽・中等症:発症日から7日間and症状軽快後24時間経過
無症状感染:検体採取日から5日、検査して陰性確認。
濃厚接触者:陽性者接触から5日(7月22日から変更)
ですが本当に隔離期間を短縮して、本当に大丈夫なのでしょうか。
検討してゆきたいと思います。

1-1.軽・中等症者の隔離期間変更

発症日から10日間and症状軽快後72時間経過
→発症日から7日間and症状軽快後24時間経過へ

まず、軽から中等症患者の隔離期間が短縮されました。
これはオミクロンでウィルス排出期間が短くなった訳ではありません。

オミクロン株感染者のウイルス分離試験陽性鼻咽頭検体中の感染性ウイルスの定量(左)と
発症日から最終ウイルス分離陽性日までの累積密度分布関数(右)
新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料より

実際に8日経過しても、16%程度に感染性があるとされています。
11日経過すると3%程度まで低下しますので、ここまで隔離するのが最善なのですが、隔離期間が長ければ社会活動が滞ってしまいます。

感染拡大のリスクより、社会経済を回すことを優先しての隔離期間の短縮なのでしょう。

また、まだ症状があると鼻腔のウィルス力価が高いとされています。
なので症状も消失していることが、条件となります。

1-2.無症状感染者の隔離期間変更

検体採取日から7日間経過
→検体採取日から5日、検査して陰性確認

また無症状感染者の隔離期間も短縮されました。
もとより無症状の患者は、有症状の患者より感染リスクが低いとされていました。
さらに感染リスクのある期間も短いことが報告されています。

オミクロン株感染無症状病原体保有者由来の上気道検体における感染性ウイルス検出割合の評価
新型コロナウイルス感染症対策 アドバイザリーボード資料より

オミクロン株では6日経過すれば、ウィルスが検出される患者の割合は12.5%まで低下すると言われています。
なので6日目に陰性確認をして隔離解除となるわけです。
陽性と出たらどうするのか!?
少ない数の研究ですが、8日目には全例陰性化しておりますのであと2日待てば大丈夫です。
ただしこの研究はオミクロンBA.1においてなされた研究で、BA.5が同様の結果になるかは不明です。

1-3.濃厚接触者の隔離期間変更

陽性者接触から7日
→陽性者接触から5日

また、7月22日から濃厚接触者の隔離期間も短縮しております。
オミクロン株では、潜伏期も短かいとされているからです。

HER-SYSデータを用いたアルファ株とオミクロン株の曝露-発症間隔の分布
国立感染研究所の報告より

実際に90%以上が発症するボーダーラインは、アルファ株では8日目でしたが、オミクロン株では6日目とされています。
なので6日に短縮されたものと思われます。

ただもちろん7日目8日目に発症する方もおりますので、自身の健康チェックを怠ってはいけません。

2.海外と比較してどうなの?

もはや隔離なんて日本だけじゃない?と思うかもしれません。
では諸外国はどうなのでしょうか?比較してみましょう。
(日本)
軽・中等症:発症日から7日間and症状軽快後24時間
無症状感染:検体採取日から5日、検査して陰性確認。
濃厚接触者:陽性者接触から5日
米国
軽症:発症日から5日間and症状軽快and解熱後24時間
中等症:発症日から10日間+医師に相談
無症状感染:検体採取日から5日
濃厚接触者:隔離は不要、10日間マスク着用推奨
英国
軽・中等症:発症日から5日間+マスク着用5日間
無症状感染:発症日から5日間+マスク着用5日間
濃厚接触者:隔離は不要、10日間マスク着用推奨
仏国
ワクチン接種者または12歳未満:発症or検査日から7日間隔離
ワクチン未接種者:発症or検査日から10日間隔離
濃厚接触者:隔離は不要、7日間マスク着用推奨
独国
一般の人:発症or検査日から5日間隔離(+抗原検査で陰性確認を推奨)
医療・介護施設勤務者:発症or検査日から5日間隔離+解熱後48時間+検査で陰性
濃厚接触者(一般の人):5日間
濃厚接触者(医療・介護施設勤務者):5日間+検査で陰性

各国でばらつきはあるものの、日本だけ特別に長いとか厳格であるわけではないことが分かります。

そして各国の隔離基準の資料を確認していると、隔離解除後も高齢者やハイリスクの方との接触を控えるよう書かれていたり、一定期間マスクの着用をすすめられているものを多くみかけます。

日本では、隔離期間解除後はそのような文言はついていませんが、前述したとおりリスクがゼロになるわけではありません。
海外と同様に隔離解除後もしばらくは、高齢者や重症化リスクのある方との接触を控え、マスク着用を心掛けたいものです。


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