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それは「みんなで踊れていた」ものか?

こちらの写真。昭和ではありません。令和です。
森町ではまだ、こんな風景が日常でみられます。でも、右側に見えている建物はもうすでにありません。日に日に街の姿は変化していくものです。

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その、新しさの中で

なにか新しいことを、初めて見ると多くの学びを得ることができます。
僕が、2014年ころ、「公務員」としてでは無く「ひとりの住民」として「ICTを利用して街に何かしたい(今っぽく言うと「デジタルを利用して」でしょうか。)」と思い始めた取り組み「ハウモリ」。

正確に言えばイベント開催(ウィキペディアタウン)のためだけにスタートさせたものでしたが、やってみるとそれはそれは面白いもので、次々とアイデアが浮かんで、協力者も増えてきます。

人は不思議なもので、人が増えると、組織立てて何かをやりたくなるもので、僕もその例に漏れませんでした。イベントを組織立ててやることに、いや、組織を作ることに主眼をおいてしまい、結果息切れ。自分自身でつくった「もやもや」に縛られることになります。

そんな「もやもや」期に目にし、心が揺さぶられたとある記事。

その社会課題の解決方法は「みんなで踊れる」のか?プリンスが社会活動家と考えたとっておきの方法

その年、ちょうどプリンスが亡くなったばかりだったということと、「プリンスが社会課題の解決?音楽で?」と思わず考えてしまうような、僕の中で上手くつながらない文脈の記事名だったこともあり、思わずクリックしてみたら...自身の「もやもや」をクリアにしてくれた記事でした。(まさかこの後で、記事を書いた矢崎さんとお会いできるとは思いもしませんでしたが)

くわしい内容はぜひ元記事をご覧いただければと思いますが、記事内では、社会課題の解決に向けてプリンスが問いかけていた言葉が紹介されています。
それが

『それは「みんなで踊れる」ものか?』

です。

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みんなで踊る

僕がこれまでやってきたことは、本当に「みんなで踊れていた」のか。

そんな問いかけを、自身にし続けながら、現在まで「ひとりの住民」としての活動を続けてきました。町内外多くの人と出会い、話し、いまでは森町に、ハウモリとは別に「モリラボ」というデジタル活用を行う団体もでき、僕もそこのメンバーとしてやっとみんなで「踊れている」感じがしています。

でも、そこでまた一つの問いが生まれました。

みんな」とはなんだろう。

僕の住んでいる町、森町の人口は15000人弱。
でも、生活する上では、森町内だけにはとどまりません。
近隣の街、八雲町・鹿部町・七飯町・北斗市、そしてなによりも中核都市である函館市の存在が非常に大きい。

「みんな」は自分の周りの人だけなのだろうか
「みんな」は自分の住んでいる町だけの話なのでだろうか
「みんな」は、もしかしたらもっと違う意味合いがあるのではないか

デジタル、というか、インターネット登場後の世界では「場所」の概念が大きく変わったと思います。

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インターネットで世界が近づいた分、物理的にも近くなった

インターネットで世界が近づいた分、物理的にも近くなる..ワケはないんです。
物理的な距離は同じです。
なにか、間違った解釈をしているかのようにも思えますが、インターネットが普及してからは「心理的物理距離」は近くなったはずです。

たとえば札幌にいる友人。滝川や名寄、北見や帯広、釧路にいる友人。会津にいる友人。東京に、横浜に、京都に、神戸に、熊本に、鹿児島肝付にいる友人。そして沖縄にいる友人。

手紙の世界、電話の世界、そして、メール、SNS。人は、リアルタイムなコミュニケーション手段をポケットの中に手に入れてから、心理的な物理距離はグッと近づいたはずです。

普段からやりとりをしているおかげで、「ああ、今何やってるのかな?」「ちょっと遊びに行ってみようかな(実際にいけるかどうかは別としても)」と考えてしまえるようになってきているはずです。

僕にとっての「みんな」はなんなのか。
僕にとっての「みんなで踊れる」とはなんなのか。

流石に、僕にとっての「みんな」は全世界ではないかもしれないけど、僕の友人達の顔が思い浮かぶ地域、そして今を暮らすこの地域に対しては、僕の持つ経験が役に立つのであれば何かの役にたってみたい。

いや違う。

住んでいるこの街も、この地域も、そして関わるすべての人たちと、なにかを創りたい。少なくとも、なかなかスムーズに行かない「デジタルを利用する文化創り」は一緒に創っていきたい。創っていたい。
特にこの1年間は強く思うようになってきました。

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立ちはだかる壁

しかし、職業地方公務員として、他の町や地域のことに関して活動するには、(総務省地域情報化アドバイザー制度はあるにしても)正直限界もあり、どうしたものかと、また癖である「もやもや」が発生していたとこでもあります。

たかが身分、されど身分。特に僕たち公務員は、割と制度の矢面にたちがち。
そんな、「もやもや」を抱えていた時、ありがたいお誘いを受けました。

他の地域や街のことはCode for Japanと一緒にやろうよ

本当にありがたいお誘いで「はい!よろこんで!!」とすぐにでも言いたいとこでしたが、本音を言うと、僕は「自分で何かを起こす」のが好きです。一人でやるのは気楽で全部を自分で抱えればいいだけですから。

なので、これまでの活動も自らが率先して、どこかに「所属する」という選択肢はほとんどありませんでした。しかし、今回の「もやもや」はどうも自分一人でやるには難しい....というよりも、どうしてなんでも自分だけでやろうとしていたんだろう?

そうか、なんでも自分一人で解決しようとしてもだめなんだよな。もっと人にお願いし、もっと頼って、頼られてもいいんだよな。「みんなで踊れる」ことを意識し始めてから数年、僕自身にも変化が生まれていたようです。「もやもや」が発生すれば、それをクリアにしてくれる出来事が必ず起きる。

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それは「みんなで踊れる」ものか?

そんなこともあり、意を決し、森町へ申請、許可を得ることができ、2021年3月1日、本日より

Code for Japanへ所属

して、研究員として自治体向けプロジェクトへ参画し、北海道をはじめとする行政のデジタルトランスフォーメーションの推進に関する業務をすることになりました。いわゆる兼業です。

これにより、森町はもちろんですが、近隣の街やその他多くの街への協力、いいえ、むしろ、他の街に協力、街を見ることで、森町に対する有効な「なにか」を見つけることができるようになる気がしています。

冒頭の写真。

こんな風景にノスタルジーを感じ、残したいと思うのか、いいえ、残すのでは無く、確実に風景も進化はするのでしょうが、大事なのは「残したい」と一瞬でも思ったその感情なのかもしれません。

今、まさに起きているパラダイムシフト。
デジタルと言えばすこし冷たい印象を持ってしまう人も多いかもしれませんが、僕はそう感じていません。

僕たち行政に携わる人はもちろん、いわゆる企業の人も、じいちゃんばあちゃんも、ねーちゃんもにーちゃんも、お子たちも。

デジタルを利用することで生まれるであろう「ちょっとの余裕」で今とそのちょっと先のことを考えられる時間をつくり、みんなで話し合いたいですね。
僕はそんな時間を作ってみたいです。そしてみんなに問いかけ聞いてみたい。

『それは「みんなで踊れる」ものですか?』


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