"考える"考 01_考える、と、思う
「いま、考えてます」
オフィスで過ごす週5日のうち、4日は耳にするレスポンス。
とても大切なものづくりプロセスなので、ジャマするつもりは毛頭ない。でも、つらいことに時間とお客さんと世間としては、のんびり待ってもいられない。
なので、聞いてみる。
「どんな感じで考えているの?」
「まずは課題の設定だなと思っていて。どうしようかなと考えています」
目的を果たすための課題設定。
企画して、モノを作るうえで重要な視点だ。目的は言わずもがな、ココを見誤ると、打ち手が機能しない可能性は高い。設定しないと、実際の打ち手があさっての方向へ放たれたりなんてことも。
そっか、考えてるんだね。
その調子だ、と順調さに安心する。
──なんてことは、ない。
どうしようかな
どうしようかな、という言葉が示す状態。
それは、考えているのではなく、思っている、だ。
あのコがすき、お腹がすいた、さむいなぁ、と変わらない。
どうしようかな、と思っているだけでは進まないのだ。進むとしたら、それは偶然の産物。いわゆる、思いつきだ。
思うことが悪と言うわけでは、決してない。
ひとたび仕事を離れれば、とたんに思いに突き動かされて暮らす。
そんなひとたちが、ぼくはすきだ(思い)。
でも、つらいことに時間とお客さんと世間としては、のんびり待ってもいられない。
進めなきゃ。
考える、とは
ここまでの整理にならうと、進めなきゃ、は思いだ。
では、どうしたら進むのだろうか。
身もふたもない手段をあげてしまえば、意思決定だ。
「こうしよう」と決めれば、必要なだれかの賛同が得られるかは別として、一歩前進。
賛同を得るために、そのだれかに話しかけにいくことができる状態に移行する。
つまり、考えた先には判断という着地点がある。
言い換えれば、考えるとは、判断をすることだ。
大辞林の編者の方は、そんなことが言いたいのだろう。
かんが・える〔かんがへる〕【考える/▽勘える】
1 知識や経験などに基づいて、筋道を立てて頭を働かせる。
㋐判断する。結論を導き出す。「こうするのが正しいと—・える」「解決の方法を—・える」「よく—・えてから返事をする」
㋑予測する。予想する。想像する。「—・えたとおりに事が運ぶ」「—・えられないことが起こる」
㋒意図する。決意する。「留学しようと—・える」「結婚を—・える」
https://kotobank.jp/word/考える-469308
改めてみれば、ありとあらゆる局面で、ひとは考えている。
今日の晩ご飯はお好み焼きにしよう。
明日、9時に出社しよう。
歯を磨く前にトイレに行こう。
あのコがすきで仕方ないので思いを告げよう。
仕事における「考える」行為も、これらと何ら変わりないのだ。
ちがうのは、考える対象の大きさと、ゆえの複雑さ。歯を磨く前にトイレに行くことを速やかに判断できるのは、対象が小さく、ひいてはリスクが小さいから。
つまり、話が大きくて考えが及ばないならば、小分けにしてみる。判断ができるサイズにまで。これが、思いつくではなく、考えつくの正体だ。
そんなことを昨日も今日も、しつこく話す。
「またコイツは当たり前のことを」そんな顔を見ながら。
それでも一向に構わない。いずれ君たちにとって、考えることが真に当たり前になり、楽しい作業になる日がくるならば。
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