“-able”のデザイン:脱ユーザー化しよう


武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコースのクリエイティブリーダシップ特論 第1回目の授業

講義タイトル:“-able”のデザイン

4月10日(火)初回の外部講師は、RE:PUBLIC Inc.の田村大さん。とても刺激的なお話を伺いました。

"Good Innovation"

イノベーションの良い、悪いとはなにか、という問いからはじまり、

サイエンスは結果論ではないか?

サイエンスの目的もデザインできるか?

結果に至るまでの道筋を生み出す環境はデザインできる?

そして、本論につながる問い

イノベーションを起こすために最も重要なリソースはなにか?

「人」ですよね。

その「人」に今何が起きているか。

サービスを受領するユーザーである領域がどんどん拡大し、

100%ユーザーになる世の中が近づいている?

「限界費用ゼロ社会:The ZERO」で提起さてれている内容をご紹介

1つの新しいものを生み出すのに必要なコストが0になる時代がくる。

つまり、人が生産側にいなくなる。

余剰なものをつくらない、コストをゼロにする。

たとえば服。ただで手に入るけど、1種類しかない。

というような世の中。

全人類がユーザーになれる。お金かからない。

医療・教育・育児にさえ、画一化されたサービスを受容する。

だけど違和感があるよね。

バルセロナ:自分たちで生み出そうぜ!-FAB LAB

バルセロナではFABCity宣言をしていて、1万人につき1つのFABLABを作ることを目指している。

まず、スペイン国内の状況として、若者の40~50%が失業している。

オランダでも似たような状況で、”1人の仕事を2人で分けよう”というワークシェアなども行われている。

バルセロナに話を戻すと、仕事がなくて、お金がないなら、自由な時間を使って、いろんなものを自分たちで作ってみようという動きが起こり始める。

Fab Labを拠点として、自作してく活動が広がっており、農地、食材、家具など、自分たちで作れるよう作り方のデータが取得できる仕組みになっているそうだ。

SuperBlock -多様な生活空間を生み出そう!

さらにドラスティックなお話として、民間の団体が主導して政府に実行させている街中の区画への自動車の通行を禁止し、歩行者の空間を拡大するプロジェクト。

現状、歩行者45.1% 自動車54.9%の比率で道路を利用しているが、SuperBlock計画、歩行者68.9% 自動車31.1%を目指している。

道路としての用途以外に、人々の活動を広げるアイディア。

公園、カフェ、ダンス、音楽、スポーツなどなど。

移動のためだけに使う必要ないよね。という発想である。

自動車ユーザーからは反対も多かった取り組みであったが、町が美しくなることで不動産価値が上がるなど、新たな価値が付随し、住民の理解が広がる。

また面白いポイントとして、各区画で同じアイディアを実現するのではなく、それぞれ競い合い独自の方法で空間を利用方法をデザインしている。

そして、こうした変革の基盤には、都市生態学庁という、市民の生活の質の向上を目的とし、都市を科学的に分析して評価や政策立案を行う専門部局が存在し、バルセロナの都市改革の鍵となっているのだそうだ。

佐賀はなんもなか?

佐賀のプロジェクトのお話

佐賀地元のみなさんは、佐賀はなんもなかという方が多いそう

しかし佐賀は、なんもなくない!有田焼、伊万里焼、和紙、織物、唐津焼など、伝統工芸が多数あるすばらしい地域である。

では、伝統工芸をどうやって売り出すか。

現代の生活に当てはめると使う場面が、ないものが多いよね。

いいものだけど、物の良さを語るだけでは一般には受け入れられないのかも

それなら、伝統工芸を暮らしにとりいえるライフスタイルを提案しよう。

佐賀は美しいものを生活の中に自然に取り入れている、美しい街であるというイメージを発信していくそうである。

このプロジェクトでは地元のみなさんの自信を生み出し、もっと広域に展開し、インバウンド狙って取り組みを継続していくようである。

このようなモデルが全国各地に展開しても面白かもしれないし、別の自治体刺激を受けて、独自の方法を誘発していくかもしれない。

文化とはなにか、消費社会のとらえ方

文化とは常にズラされた概念で、他のものとの対比でそれを 位置づけるものであり続けてきた Courtesy of 山内裕

田村さん曰く、

消費社会の外は文化の世界である。

SoundCloudなどのサービスはアンダーグラウンドの文化の中でうまれたものが、消費社会へ取り入れられ成功している例である。

“-able”のデザインとは、人間の可能性を高める。

”できること”から文化を創造し、脱userになる。

できることの領域が拡大していくことで、多様な分野で脱ユーザー化できる!

AIに仕事とられたっていいじゃない。にんげんだもの。

文化から価値をいくらでも生み出せるから。人間ならね。

というような印象を受けた、講演内容でした。


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