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タイトル「無題」もしくは「美しい街並みや優しい人々、美味しい食事」

人生で初めて頬にニキビができた。「想い、想われ」〜いわゆるニキビ占いでいう位置の「振り、振られ」。そこに小さな赤が一つ二つ。帰国し実家でほっと一息つく今、思い起こすならどうもこのニキビは、あの一ヶ月間の留学生活そのもの、並びにウラジオストクという街、ひいては私から見たロシアなんてものを象徴しているかのように思える。ロシアと私、振り振られ…なんて言うと多少大袈裟だが事は至ってシンプル。

先ずは、こんなのごめんだ!こちらから願い下げだ!と「振り」たくなるのも致し方のない彼の地の衛生環境について。それは端的に言うと極悪。否、極悪非道とまでも言ってしかるべき事案であった。足の踏み場もない、悪臭その他漂うトイレ。有史以前のものと思われるパイプから渾渾と供給される飲料不可な水、偶に供給される事の無いお湯。何故野放しにされているのか皆目見当がつかない邪悪な害虫ども。あまりにも不可解でSAN値が削られ続ける一方の毎日にうんざりした私は、ウラジオストク駅のトイレ前でその利用料金を要求する仕事に勤められている、強面だが話せば一転チャーミングな女性に聞いたのだ。何故こうも?彼女はあっけらかんと答えた。社会主義の遺物よ、と。

少しネガティブがすぎただろうか。次に、良い意味で「振られ」た、予想を「良い意味」で裏切られた一般市民との心温まる交流を書記すことでバランスをとろう。これでも私の対露感情は国内外のそれと比較し、何時だって良い方向に振れていると自負している。そんな私が思っていた以上にロシア、ウラジオストクに住む人たちは外国人観光客に対し優しいなと感じる瞬間は何度もあった。観光に明るい県(沖縄)で生まれ育った身からすると、(大学のある)北海道の人なんて特に冷たいなと感じる。明らかに困っている外国人に対し自らアクションを起こすことは皆無、むろん向こうから来ようなら逃げ隠れ。観光地の名が泣いて廃るぞと危惧しているのだがそれはさておき。私は特に方向音痴な訳ではないが、某有名地図アプリに毛嫌いされているきらいがある。留学中何度も方角を見失い、何度も道行く人に助けてもらった。道中イヤホンをしている人は多いが、声をかけると嫌な顔ひとつせず親切に答えてくれた。1番感動した、助かったのが街外れに位置する中国市場からの帰り道のバス。意気揚々と真逆の方向行きに乗り込み、きゃっきゃとお話をしていた。地図を指さし日本語で話していたのだ。「乗り換えは中央広場で...」すぐ後ろの席の男性が大きな声で話しかけてくれた。勿論ロシア語で。「逆!」

この赤い二つ、両頬のニキビはいずれ跡形もなく消えてしまう。恐らく、いや願望としては今月中に。しかし私は頬にニキビが出来た!という初めての経験を、その驚きと衝撃を一生涯忘れることができないだろう。時が経ちそれが不衛生の賜物、ストレスや単純な栄養不足だという事実は綺麗に忘れさり、生まれて初めての海外留学とはズバリ、美しい街並みや優しい人々、美味しい食事が良かったなんて、安い思い出にすり替えられたとしても。

#留学 #ロシア #ウラジオストク

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玉城

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