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かがやく人に出会った

出会いは突然だった。
それは、我が子(小学生)のクラスの保護者が集まる茶話会での出来事。

たまたまくじ引きで隣に座ったお母さんと話をした時である。
たぶん、お互い人見知り。無難に「○○の母です」とか「△年生に、きょうだいがいて」とか「習い事、何させてます?」とか当たり障りのない会話で場を繋いでいく。
基本情報も言い終わり、ちょうど良い話題も思い浮かばず、つい手持ち無沙汰で

「ご、ご趣味は……?」

などと聞いてしまう私を許してほしい。
ここは合コン会場か?はたまた見合いか?どちらでもないが、とりあえず許してほしい。

しかし、お隣さんはイキイキと話し始めた。
「わたし今、とあるドラマーさんにハマってて……!」

く、食いついたぁ!!


正直、珍しいパターンである。
私は口下手&人見知りのくせに、茶話会とか懇親会と名の付くものに一通り参加しては玉砕してきたドMだが、たいていのお母さんは「趣味は何ですか?」という話題に「え? えーっと…」と言葉を濁す事が多い。かく言う私もそう。

率直に言って、これは実に面白い展開。この話題を全力で盛り上げていく。それこそが私の使命。

私「ドラマーさんですか?」
隣「そうなんです、YouTube見てハマっちゃって」
私「カッコいいですよね、ドラム!私はギターに興味があって、いつか弾いてみたいな~って思ってたんです」

隣「え?!そうなんですか?!」

あれ?食い付きすごい。こんなのハジメテ。

隣「私もドラム叩けるようになりたくて!実は、最近ネットでドラムセット買っちゃって!」

どぉええええええええええ?!

予想のナナメ上をいく展開であったため、思わず漫画みたいなリアクションをしてしまった。

私「か、買ったんですか!?あのデカイやつ!?」
隣「はい!もうすぐ届く予定なんです!!」

すごい良い笑顔。それはもう良いおかお。

私「それは!楽しみですね!!いいなぁ!」
隣「ホント楽しみで…。あ、✕✕さんはギター買わないんですか?!」
私「私ですか?!まだそこまでは……」(にっこり)

大人になって、お母さんになって、こんなにキラキラとした表情で趣味を話す人に初めて出会いました。

すごく良い。
すごく良かったです。
(語彙力どっかいった)

もし私がクラスの俺様系イケメンだったら、去りゆく彼女に「おもしれー女……」とつぶやいていた事だろう。

「おもしれー女」とは、
フィクションや創作物に登場する男性キャラクターが、女性キャラクターに興味を持つ際に発するセリフあるいは感想のことである。
主に少女漫画やラノベで用いられるストーリーの導入手法であり、近年では悪役令嬢ものの作品でも多く見られ、一種のお約束、あるいはインターネットミームとして扱われる。

ピクシブ百科事典より抜粋

──この出会いから、恋が始まる予感がしたんだ。※始まりません。

こういう事が起きるので、保護者が集まる場所に行くのはおもしろい。同じ歳の子を育てているという共通点がある中で、自分の知らない価値観に触れられるのが嬉しかったりする。
少なくとも、茶話会後に「私もギター買っちゃおうかなぁ」と考えてしまうくらいの影響力があった。
いや。ギターは難しそうだから、やっぱウクレレやりたい。(ネットでウクレレを検索しながら)

その後、お隣の席だったお母さんには会えていないので、ドラムセットが届いた感想とか、叩いてみたときの感動とかは聞けていないのだけれど。
今度また出会えたら、こっそり「ドラムセットどんな感じですか?」って聞いてみようと思う。

今までいただいたサポートを利用して水彩色鉛筆を購入させていただきました☺️優しいお心遣い、ありがとうございました🙏✨