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5.恋愛で落ち込まないための自己防衛術

⒈私、落ち込まない地蔵女です

恋人と喧嘩したり別れたりした時に落ち込んで泣いたりすることがない。
厳密にいうと、落ち込むことがなくなった。
以前は泣いたりすることもあった気がする。

高校生の時に3年間付き合った恋人に高校卒業1週間前に振られた時はそれはそれは泣いた。
やっとの思いで立ち直った頃、お揃いの痛いアドレスを変更して新たに関係をやり直そうとした時に、その連絡が宛先不明で届かず今後一切の関係を絶たれたことにさらに落ち込んだのが恐らく最後だ。

よく恋愛で後悔したり、落ち込んだり、元カレ元カノを引きずっていて忘れられない...という話を聞く。
SNSで相談をされることも多少あり一応は聞くのだけど、理解は出来るが共感が出来なくて申し訳ないと思っていることをここで謝罪したい。

では、そんな自己防衛の塊、地蔵女の私がどうしてそうなったのかを少し話したい。


2.男に開けられた心の穴は、男で埋める

高校卒業間際、大好きだった恋人と別れて数日経ったある日、私を元気づけようと男友達に連れられて地元の先輩、タロウちゃんの家に遊びに行った。
3人でゲームをしたり、他愛もない話をして過ごしたり、落ち込み沼から抜け出せなかった私にとって、その時間が本当に気晴らしになった。
寂しさは暇な時間にこそやってくるもので、寂しくならないようにその日から先輩の家に入り浸るようになった。

タロウちゃんは地元でも有名なちゃらついた男で、オンナ!俺!大好き!と顔に書いたようなさっぱりとした逆に気持ちがいいキャラクターだった。
タロウちゃんはいつも明るく私を励ましてくれた。
あえて元カレの話を笑い話に変えたり、近くのスーパーまで一緒に散歩したり、私が持っていた女の子のお尻を追いかけるタロウちゃんのイメージとはかけ離れるものだった。
今も昔も惚れっぽい私は、すぐにタロウちゃんに惹かれた。

もちろん、元カレを完全に忘れたわけではないし、思い出すとこの世の終わりみたいなつらく悲しい気持ちになった。
だけど、タロウちゃんに会うと悲しい気持ちを一瞬でも忘れることが出来た。


3.脳内お花畑モード炸裂

その日は、珍しく私一人でタロウちゃん家にいた。
初めての2人でウキウキしている私に、タロウちゃんは「泊まっていく?」とサラッと言い放った。
驚いたが、条件反射的に「うん!」と言ってしまい、その晩当然のように体の関係になった。

その頃の私は、セックスは好きな人とするもの、彼氏彼女じゃなくても好きな人同士がするもの、だと思っていた。
セックスをしたということはもちろんタロウちゃんも私のことをよく思ってくれているんだ…と思い込み、すごく嬉しい気持ちになった。
この先、私たちはどうなっていくんだろう。
ただの仲の良い先輩から、好きな人になり、2人の関係は先輩後輩から、恋人に発展していくのかな。
自分の中でストーリーを思いっきり展開させ、頭の中のお花畑を満開にさせた。
私はタロウちゃんがいつ関係を進めてくれるのか、ドキドキしながら待った。


4.花畑だと思っていたのは、またしても沼

しかし待てど暮らせど、タロウちゃんの口から私が欲しい言葉を聞くことは無かった。

今どういう関係なんだ?
言葉がなかったけどお付き合いはスタートしてるのかな?
と自問自答したが、答えは見つからず一人でオロオロと無駄な時間を過ごした。
だけど、どちらから切り出すかは関係ないし時間がもったいない、そう考え私から付き合って欲しいとお願いすることにした。

すると意外な回答が返ってきた。
「いや、付き合うとかはないわ(笑)。」

えっ、ないの?なくなくない?私付き合うと思ってたけどないってなに?
キョトンとしている私に、タロウちゃんはなんの躊躇いもなく
「今日も泊まっていくでしょ?鍵置いとくわ。」
と言い残してバイトに出掛けた。

私はこの数日間、愛かもしれない何かを一人で育てただけだった。
それは愛ではないということだけがはっきり分かった。
一人残されたワンルームで、今置かれた状況を飲み込むのに必死になった。


5.愛した分だけ愛してほしかったのに

タロウちゃんはどうして私の気持ちに答えてくれなかったんだろう。
タロウちゃんは初めて私が作ったハンバーグに、なんの愛情も感じなかったのか。
雨の日に傘と温かい缶コーヒーを持って、駅まで迎えに行った私を愛おしいとは思わなかったのか。

どうして?どうして?と、その場にいないタロウちゃんに疑問を投げかけた。
悲しい気持ち、ガッカリした気持ち、いろんな気持ちが自分の中でグルグルして前に進まない。
息苦しい、こんな気持ちは早く捨て去ってしまいたい。

まただ。
数週間前恋人に振られた時に味わった気持ちと同じ気持ちだ。
好きな人に想いを受け取ってもらえなかった時の嫌な感情が頭の先からつま先までパンパンに詰まっていく。
どうしてこんなことになったんだろう。
私は、自分の中だけで愛だと思っていたものを大事に育て、それを渡したのに何コレクソワロタ状態で突き返された。
なぜ彼は私をこんな悲しい気持ちにさせるんだろう。

いてもたってもいられなくなり、タロウちゃんの家を出て、二度と訪れることはなかった。


6.期待を膨らませすぎないために

しかし、帰りの電車の中でふと思った。
私の期待値が必要以上に高かっただけなのではないか。
「彼も私を気に入ってくれているはず」「私がこんなに会いたいなら彼も会いたいと思ってくれているはずだよね」と、勝手に思い込み、自分の中だけでストーリーを進めてしまったのだ。

告白するまでタロウちゃんの気持ちや感情を直接確認することなく、期待の風船がパンパンになったところで渡してしまったのだ。
そりゃ引くだろう、と初めてタロウちゃん側に共感してしまい、ものすごく恥ずかしい気持ちになった。

確かに、出会った男性とこれからどんな未来が待っているのかに想いを馳せる妄想ほど楽しいものは無い。
だけど、期待はしてもいいけど相手の気持ちを踏まえずにふくらませる必要はないのだと気付いた。

期待が外れるという事は、適切なコミュニケーションが出来ていないからなのだということに気付かされ、私はとても反省した。

それ以来、悲しい気持ちにもなりたくない、恥もかきたくないという気持ちが前に来るようになり、期待はしなくなった。

今思い返せば、3年間付き合った恋人にも、過度に期待をしすぎてしまったのだ。
高校を卒業して、進路はどうあれ2人で同棲すると勝手に思い込んでいたし、何の迷いもなく結婚するものだと決めつけていた。

これらの出来事が後の私の恋愛に多大なる影響を与えた事は言うまでもないが、案外それがとても上手く転んでいて今はすごく感謝している。

過度な期待はしなくなったし、相手の気持ちには敏感になった。
もちろんこれが人生初のセフレという存在で、セックス以上の関係にはならない男性がいることも知った。

目の前にある事実を踏まえた上での最低限の期待だけをすることで、無駄に傷付いたり悔しい思いをする事が今ではほとんどない。

私たちは占い師でもなければ、予言者でもない。
相手が考えていることなんて、相手しか分からないのだから、相手の行動や発せられた言葉をヒントにして、自分で答えを導き出すことなどする必要はない。
逆を言えば、自分の考えていることを何も言わなくても察してくれるなんて都合のいい事も起こるわけがない。

無駄に傷付き落ち込んでしまわないためには、まず相手と向き合い、コミュニケーションをとる事が過度に期待をしない秘訣だと思う。

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