見出し画像

3.人見知りがつらい話

私は、重度の人見知りだ。

せっかく人が話しかけてきてくれても、「どうせこの人は私自身じゃなくて別のところで何かしら自分の利益になることがあるから接触してきたんだろう」などと余計な事を考えたり、人と会話する機会があっても「自分の発した言葉がこの人にどんな影響を与えるんだろう」を、まず先に考えてしまい言葉が口から外へ出ていかない。


そんな事が人と接触する時まず先に疑問という形で邪魔をして、生まれてから数十年「人見知り」という持病を抱えて生きてきた。

これが本当につらいというかしんどい。


例えば飲み会ひとつとっても本当にしんどい。

飲み会といえば会社、コンパ、同窓会などいろいろなパターンがあるが、私にとってどのパターンがつらいという訳ではなく、もれなくすべての飲み会がつらい。

全部だ。


だからなるべく会社の飲み会も女特有のいきなり体調不良になるという特権を活かして誰にも角が立たないように断ってきた。

よくよく思えば角が立っていたかもしれないが、そんなことはどうでもいい。

その飲み会に行かなかった自分を褒めてやりたい。

飲み会は地獄なのだから。


飲み会に出れば、「飲んでる?」「乾杯しましょう」「足りないんじゃない?」と、頭の中を介さずに口から出たような言葉に真面目に答えなければいけない。

しかも私は下戸だ。

全くお酒を飲まないので、元彼には
「お金がかからなくていいね、エコだね。」
と言われた事があるが、エコではない。下戸だ。


人見知り下戸が飲み会に出るとどうなるか。

大人数の団体がそれぞれ島になっていく中、人見知り下戸の私一人が離れ小島みたいになって誰とも会話をしていない気まずい状態になってしまう。

以前にオードリーの若林が「メニューを見てる人になりきるとか鍋のアクを取っている人になりきるとか、何かをしている人になる事でその場をやり過ごす」と言っていたが、まさにその状態で飲み会中はモブになる。

たまに島の誰かが、無人島の私に気を使って話しかけに来てくれるが、それも定住はせず経由地みたいな感じで「じゃそろそろいくわ!」とどこかへ行ってしまうのだ。

余計なお世話、余計に惨め、いらぬ気遣いだ。

物珍しさで構われて、その後放置されるこっちの身にもなってほしい。


つらいのは飲み会だけではない。

本屋さんで探している本の棚がわからない時も店員さんに聞けない。

飲食店でおかわりくださいが言えず、氷が溶けた水を飲む。

美容院で好みの髪型と違った時にあともう少しここを切ってくださいが言えない。
家に帰って自分で何とかしようとして変になり、後日別の美容院に行って整えてもらったりもする。

職場の人と帰る時間が被ると、忘れ物をしたフリをしたり行きたくもないトイレに10分こもり、無駄に二度目の挨拶をしなくていいようにやりすごす。

言い出せばきりがないぐらいに人見知りは生きていくうえで不便だ。


ただ、人付き合いをしたくないかといえばそうでもない。

1:1であれば話も(頑張れば)できる。

人の恋愛相談も聞いたりアドバイスしたりも(頑張れば)できる。

本当はいろんな人と仲良くしたい。

友達もたくさんほしい。

楽しい飲み会も経験してみたい。

でも、人見知りが勝ってしまうのだ。


いい年の女が「私、人見知りで…」と言っても誰も可愛いなんて思ってくれない。

多少うざがられて終わりだ。

私もできる事なのであれば、人見知りたくない。

出会って4秒で合体とまではいかなくても、出会って4秒で自分からハグぐらいはしてみたい。

その日出会ったばかりの人たちともすぐに仲良くなり、水着でウェイウェイ言いながら浜辺で瓶のお酒を振り回せたら、なんて楽しい人生だろうと思う。


ただし、そんな私にも人見知りに勝るものを持っている。

それが性欲だ。

性欲があれば、会った事のない男性にも意を決して会う事が出来る。

知り合ったばかりは人見知りをしていて、会おうというお誘いも華麗にスルーしてしまうのだが、性欲が人見知りを上回った時にだけ会いたいと思う事が出来る。

性欲があってよかった。

性欲のおかげで、私は人並みに男性経験を積むことが出来ている。

前回のnoteでは性欲が強くてつらいと記述したが、悪い事ばかりではない事をこの場を借りて訂正したい。


人見知りはできれば克服したいが、性格のようなものだと思っているので今更変わらない気もする。

だけど、頑張って声をかけてみた相手は自分がどうしても頑張って仲良くなりたかった相手なので思い入れもあるし、仲良くなれた時の達成感もかなり高い。

頑張って人見知りを克服しようと奮闘している姿も自分的には割と嫌いではない。

私はこれからも、性欲に助けられながらこの人見知りと共存していくのだと思う。

この先、私が「こ、こんにちわ…」と、もしこれを呼んでいるあなたに声をかけてきたら、優しく抱きしめてほしいと思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?